答えは二極化、日本に好感を持てるか否か(最新)
2024/03/05 02:39
国家同士の関係はその国全体の利益、歴史観、周辺国とのつながり方など多要素によって形成されるため、単純な国民感情のみで決定されることは滅多にない。一方で多くの国で採用されている民主主義的政治体系においては、国民の意志が多分に反映されるため、国民の強い意思により国政そのものが変化を受ける事態も少なくない。今回は新聞通信調査会が2024年2月18日に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」などの内容から、国そのものの施策にも影響を及ぼすかもしれない、国民ベースにおける日本に好感を持つか否かについて確認をしていくことにする(【発表リリース:諸外国における対日メディア世論調査】)。
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今調査における調査要項は先行記事【諸外国における新聞の信頼度、そして今後も役割を維持できるか否か】を参照のこと。なおイギリスの値は新型コロナウイルス流行悪化の影響で2020年度の調査は実施できなかったため空欄となっている。また中国は毎年調査対象国ではあるが、今回調査では値が出ておらず、その理由について「今年度は中国での調査ができなくなりました。中国の他の調査機関にも依頼しましたが、いずれも現在の国内状況では、国外から依頼された世論調査を行うことは難しいとの回答でした」との説明がある。
次に示すのは日本への好感度合い。設問は日本に加え調査各国を評価回答対象としており、選択肢も強弱肯定的、強弱否定的の計4つのみとなっている。次に示すのは肯定的=好感を持つ人の割合。直近年分に関しては属性別の回答率も開示されているため、こちらもグラフを作成する。
↑ 日本に好感を持てるか(とても+ややの合計)
↑ 日本に好感を持てるか(とても+ややの合計、属性別)(2023年度)
欧米3か国は肯定的な意見が6割台から8割台(イギリスは新型コロナウイルス流行で調査が中止された2020年度分が抜けているが、恐らくは他年度と同程度の値だろう)、イギリスがやや低めだが、これは2015年度時点で公開されていた回答内容から勘案するに、「分からない」が多く他項目を圧迫しているだけであり(選択肢には存在しないが、回答しなかったものと考えられる)、実情としてはアメリカ合衆国やフランスとほぼ同じと解釈できる。他方、他項目でも日本への好感度の高さを示しているタイは肯定派がほぼ9割台と突き抜けて高い。これらの国の動向は経年変化では大きな変わりは無し。中国は上記説明の通り、2023年度分の値が無い。
韓国はといえば、この類の他調査同様、日本に対する反発心が強い。肯定派は3割前後でしかない。2019年度では大きな下落を示し2割台前半となってしまうが、これは調査期間が韓国では2019年11月25日-12月3日であったことから、GSOMIA問題や貿易管理問題が大きく影響したものと考えられる。直近年度の2024年で44.0%と4割台を示しているのは珍しい話ではある。少なくとも記録の残っている2014年度以降では初めてのこと。
中国は2014年度と2023年度の時点では質問自体ができなかったので空欄となっているが、動向としては韓国とほぼ同じ。
直近年度の属性別動向を見ると、欧米諸国では男性の好感度が高く、女性は低め。フランスやイギリスでは高齢者の値が低いが、アメリカ合衆国では逆に高齢者の値が高めに出ている。タイは70歳以上の値がいくぶん低いが、ほぼ押しなべて高め。
さまざまな理由、思惑、背景があるにせよ、日本に対する各国のスタンスが透けて見えそうな結果ではある。それゆえに、直近年度の中国の動向を確認したかったところではある。
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