認知度は韓国が断トツ、関心度はタイが一番…日本のメディアあれこれ(最新)
2024/03/01 02:34
閉鎖的な業界スタイルの経年劣化的現象や、新メディアの勢力拡大に伴う相対的な存在価値の低下により、大きな揺れ動きの中にある日本の従来型大手メディア。それらは海外からはどの程度認識されているのだろうか。今回は新聞通信調査会が2024年2月7日に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」の内容から、その実情を確認していくことにする(【発表リリース:諸外国における対日メディア世論調査】)。
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今調査における調査要項は先行記事【諸外国における新聞の信頼度、そして今後も役割を維持できるか否か】を参照のこと。
次に示すのは新聞を中心とした日本の大手メディアについて、諸国の人たちがどこまで認知しているかを示したもの(今設問は毎年調査対象としているものの、直近調査では中東情勢関連の設問を加えるために省かれていることから、調査が行われた最新年度分の結果を検証する)。要は海外における知名度である。例えばNHK(ワールドTV、ラジオジャパンなど)はアメリカ合衆国では9.7%を示しているので、アメリカ合衆国ではNHKのことを知っている人は1割程度いることになる。
↑ 日本のメディアの認知度(複数回答)(2021年度)
一見すると低い、知っているものは無いとの回答値が高いように見える。しかし立ち位置を変えて、日本居住者からアメリカ合衆国やイギリス、フランスなどの各国の国内、あるいは海外にも展開しているかもしれない報道機関をどれだけ知っているかを考え直してみれば、この低い値は納得できるはず。日本でよく伝えられるCNNやBBCの名前ぐらいは認知しているかもしれないが(設問は「ご存知ですか」なので、内情を詳しく知らなくてもよい)。
一方、韓国は今回取り上げられている諸外国の中ではもっとも高い値を全部の具体的項目で示している。NHKが8割以上、共同通信社は6割台、時事通信社でも3割近く、読売や朝日のような大手新聞社なども8割強が認識している。そしていずれも知らないとの回答は1割足らずでしかない。内容に関する評価はともあれ、多くの人が知っているのが分かる。あるいは電波系メディアなら場所によっては直接受信できるのも一因かもしれない(もっとも昨今ではインターネットを使えれば距離を感じることなく、各メディアの情報は取得できるのだが)。また中国も韓国に次ぐ高い値を全部の具体的項目で示しており、日本のメディアを認知している人が多い実態が確認できる。
それではこれらの報道機関も含め、各メディアで日本のことが報道された際に、どの程度関心を抱くのだろうか。要は日本(の情報)に対してどれだけ興味があるかを確認した結果となる。
なお中国は毎年調査対象国ではあるが、今回調査では値が出ておらず、その理由について「今年度は中国での調査ができなくなりました。中国の他の調査機関にも依頼しましたが、いずれも現在の国内状況では、国外から依頼された世論調査を行うことは難しいとの回答でした」との説明がある。
↑ 日本のことが報道されると関心を持つか(2023年度)
「とても関心がある」と「やや関心がある」を足した関心派の視点で見るとタイがトップで、次いでタイとほぼ同じ値で韓国、そしてフランス、アメリカ合衆国が続く。イギリスは今回調査対象となった国では一番関心派の値が低く、そして強い無関心を意味する「まったく関心が無い」の回答値もフランスに次いで高い。距離的な問題からだろうか。
韓国では無関心派は2割強にとどまっており、「まったく関心が無い」もわずかに7.2%。どのような方向性で関心を持つのかも合わせ、非常に興味深い話ではある。
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