「自分の国って世界にプラスの影響を与えてるかな?」主要国に見る自画自賛度(最新)
2017/08/17 05:11
先行記事【世界各国から見た「この国、世界全体に良い影響与えてる?」度】において、イギリスのBBCが定期的に調査公開している「Global Survey on Country Influence」の最新版データを元に、主要国に対する「世界にどのような影響を与えていると思われているか度」を確認した。今回はそのデータを少し違った視点から見ていくことにする。具体的には今設問に関し、それぞれの回答国が自国に対する評価をどのように下しているかについてである。自画自賛度と評すれば良いだろうか(【Sharp Drop in World Views of US, UK: Global Poll】)。
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自画自賛度最高値はカナダ
今調査に関する調査要項は先行記事「世界各国から見た-」を参考のこと。
次に示すのは、今調査において回答国と対象国が一致した項目の値を抽出したもの。回答対象だが問い合わせをしていない日本や韓国などは含まれていない。例えばアメリカ合衆国は「良い」71%、「悪い」25%、「中庸その他」が4%とあるので、アメリカ合衆国国内に住む人は自国について、世界によい影響を及ぼしていると考えている人が7割、判断がつきかねる人はわずか、悪い影響を与えていると考えている人が1/4ということになる。
↑ この国は世界にどのような影響を及ぼすと思うか(2017年、自国に対する評価)
↑ 自国に対する「世界へ与える影響」から算出した自画自賛度(2017年)
いわば各国の自画自賛状況をチェックできるものだが、最大の自画自賛度を誇るのはカナダ。89%の人が自国は良い影響を世界に与えていると考えている。否定的意見は7%しかない。ほぼ同じ肯定的意見を持つ中国も否定派は1割を数えており、断トツの自己評価の高さがうかがえる。
中庸派が27%とやや多めだが、ロシアもカナダの状況に近い。むしろ否定派がカナダよりも少ないのには要注目か。ロシアはやや肯定派が少ないが、否定派はカナダと同程度。意外なのはアメリカ合衆国で、肯定派が7割だが否定派も1/4ほど確認できる。同国では現在政派別、思想別(リベラルか保守か)の対立が表面化しており、その思惑が影響しているのかもしれない。
否定派の意見だけで見ればブラジルがもっとも多く64%、次いでアメリカ合衆国の25%、イギリスの19%が続く。ブラジルは圧倒的多数で否定派が多いが、報告書を確認しても事実の説明のみで、その背景までをうかがい知ることはできない。自国に自信が無い状況を謙虚と見るのか、それとも国全体のモチベーションが低いのか、色々と考えさせられる。
なお日本は前調査では肯定派50%、否定派6%、中庸派44%で、この類の調査ではありがちな「どちらともつかず」的な意見が多分であったことを記しておく。
米中から見た諸国の「世界に与える影響」は!?
良い機会でもあるので日本をベースとし、他国の世界へ与える影響の評価をチェックしておこう……としたいところだが、今調査では日本を調査国としておらず、残念ながらそれはできない。そこで米中に関して他国への影響評価を見ていくことにする。
まずはアメリカ合衆国。
↑ この国は世界にどのような影響を及ぼすと思うか(2017年、アメリカ合衆国による他国に対する評価)
↑ 他国への好評過度(アメリカ合衆国、2017年)
隣国カナダとの相性が悪いとの話はよく聞くが、少なくともアメリカ合衆国自身ではカナダへの評価は高い。またイギリス、ドイツ、フランス、日本など西側諸国への評価は押しなべて好評価を成している。最も韓国やインド、南アフリカへの評価は思ったほど高く無い。
他方、中国やロシア、イランや北朝鮮のような共産圏や政治的・軍事的に対立している諸国とは、当然ながら評価も悪い。特に北朝鮮に対しては9割近くの人が「世界に悪影響を及ぼしている」と認識している。評価の良し悪しがくっきりと分かれているのは、アメリカ合衆国らしいと評価すべきか。
続いて中国。
↑ この国は世界にどのような影響を及ぼすと思うか(2017年、中国による他国に対する評価)
↑ 他国への好評過度(中国、2017年)
数字配置の構造はアメリカ合衆国と似ているが、配される国のポジションが大きく異なり、また中国の実情が透けて見える結果となっている。ドイツやフランス、イギリスなどの欧州諸国への評価は高く、イスラエルやイラン、アメリカ合衆国、韓国、そして日本への評価は低い。対立しているロシアへの評価が高く、歴史的背景から仲が良いはずのパキスタンへの評価がトントンであるのはやや意外な動き。
今件は単純な影響力のある無しではなく、回答者の国の人の考えを基準として良い影響か悪い影響かを意味するのを思い返せば、色々と思うところがある結果には違いない。
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