全国では80.6%…下水道の普及率現状(最新)

2023/07/05 02:42

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2023-0625先行記事【上水道の普及率推移】にもある通り、上水道は多くの人にとって日常生活を維持するのに欠かせないインフラの一つに違いない。それと同時に対として語られる場合が多く、家計に携わる立場にある人には定期的な出費に挙げられる項目の一つが下水道。今回は日本における下水道の普及率の現状を確認していくことにする。

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データの取得元は【公益社団法人 日本下水道協会】【国土交通省・下水道資料室】。直近となる2021年度末(2022年3月末時点)における都道府県別の下水道普及率は以下の通りとなる。なお福島県は過去において震災の影響で調査ができない市町村があり、対象外となった年もあった。今回年度でも調査ができない市町村があるため、その地域の値を除外した上での値となっている。

↑ 都道府県別下水道普及率(2022年3月末時点)
↑ 都道府県別下水道普及率(2022年3月末時点)

徳島の18.7%から東京の99.6%まで数字の変動が大きく、先行記事の上水道普及率と比べても随分と状況が異なる実態が見えてくる。全国で均すと80.6%との結果が出ている。

これを分かりやすいように普及率の順に整理し、上位・下位を抽出したのが次のグラフ。

↑ 都道府県別下水道普及率(上位・下位地域)(2022年3月末時点)
↑ 都道府県別下水道普及率(上位・下位地域)(2022年3月末時点)

上位はおおよそ人口密集地域、下位は比較的人口の密度が低い地域で占められている。これは上水道の普及率動向でも触れているが、コストパフォーマンスを原因とするところが大きい。例えば値の上では一番低い徳島県だが、同県の公式サイトによると、下水道の普及率が低いことについて次のような説明がされている(【徳島県庁コールセンター すだちくんコール】)。

Q)徳島県はなぜ下水道の普及率が他県に比べて遅れているのですか?

A)本県は台風の常襲地域であり、浸水被害に悩まされてきたことから、汚水処理より浸水対策の整備に力を注いできた経緯があります。

また、吉野川などの大河川の流域に市街地が形成されており、人口密度に比べて川の水量が豊富で、水の汚れをそれほど意識する状況になかったことも、その一因だと考えています。このようなことが原因で、下水道の整備が遅れたと考えています。

また国土交通省の資料室内にある「汚水処理の普及」によれば、地域間格差が大きい理由として、人口が集約されていない場所は下水道による一括処理ではなく、合併槽などによる個別処理の方が望ましいとの解説もされている。

↑ 下水処理におけるコスト比較の概念図
↑ 下水処理におけるコスト比較の概念図

↑ 都市規模別下水道普及率
↑ 都市規模別下水道普及率

個々の環境の違いによるところも大きく、上水道以上に単純な数字の大小が環境のよし悪しを決める要素としてはなり得ないものの、整備が望まれているがコストなどの問題で立ち遅れている地域があるのも事実。今後の環境整備の推進に期待したいところだ。

他方、こちらも上水道と同様ではあるが、今後は人口の漸減と高齢化・地方の過疎化が予想されるため、地方、人口密度が低い地域における下水道事業の採算性の問題が、これまで以上に大きな問題点となる。効率面で多様な決断が求められることになるだろう。


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