中国では大人の97%が携帯電話、スマホでも55%の所有率…新興国の携帯・ネット普及事情
2015/03/24 08:25
情報そのもののやり取りに留まらず、さまざまな社会の変革をもたらす要因となるインターネット。その浸透状況は対象地域・国の社会情勢を推し量る上で欠かせない指標となる。今回はアメリカの調査機関Pew Research Centerが2015年3月19日に発表した調査報告書【Internet Seen as Positive Influence on Education but Negative on Morality in Emerging and Developing Nations】を基に、新興国の携帯電話所有、インターネットの普及状況を確認していくことにする。
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中国では大人のほとんどすべてが携帯電話持ち
今調査に関する調査要目は先行記事【「モラルにはマイナスだよね」何をしてるか・影響の良し悪し…新興国のインターネット事情】を参照のこと。
次に示すのは調査対象国における携帯電話の所有率。非保有か、従来型携帯電話所有か、スマートフォン所有かのいずれかで答えてもらっている。諸国の中央値としてはスマートフォンの所有率が24%、従来型携帯電話は60%、非保有者率は16%との結果になった。
↑ 携帯電話所有状況(2014年、新興国)
携帯電話所有率の最大値を有する国は中国。スマートフォン持ちだけで過半数、従来型で4割超え、非保有者は3%しかいない。非保有者の同率はヨルダン、そして1%ポイント下がってロシアが続いているが、スマートフォンの所有率では中国がその3か国内では一番となる。もっともスマートフォン所有率に限れば、チリがさらにその上を行く58%の値を示している。
その中国やチリ、ヨルダンなどのように、携帯電話全体の普及率の半分前後にまでスマートフォンが浸透している国もあるが、大よそは携帯電話全体が浸透と共に、スマートフォンの普及比率も大きく上昇する傾向があるように見える。現在ではスマートフォンの廉価化が進んでいるため、新たに携帯電話を所有したいと考える人に、従来型携帯電話を選ぶメリットはさほど大きなものでは無くなりつつあるからだろう(無論利用料の安さやお手軽感など、見逃せない点は多々あるが)。
また今件は回答者が大人に限定されているものの、新興国でもほとんどの国ですでに半数以上、パキスタンを除けば6割以上の国で携帯電話が所有されており、2割以上がスマートフォンを実装している現状を改めて認識することができる。国による差はまだ大きいが、コミュニケーションの形は大きく動いている。
パソコンかスマホ利用か、とにかくインターネットにアクセスできる人は
従来型携帯電話はともかく、スマートフォンでは利用料金を気にしなければ、パソコンに近い形でのインターネットへのアクセスが可能になる。金銭面以外にインフラ面などでインターネットの利用を制限されていた人にとっては、スマートフォンは世界への扉を開く魔法のアイテムに違いない。
そこで何らかの形(主にパソコン)で時折以上にインターネットを利用しているか、あるいはスマートフォンを所有している(=いつでもインターネットを利用できる状態にある)、いずれかの条件に合致する人の割合を示したのが次のグラフ。この値はほぼ「インターネットの大海に漕ぎ出せる航海図と自前の船を有している」人の割合を示す。
↑ 時折以上にインターネットを利用している、あるいはスマートフォンを所有しているか(2014年、米国+新興国)
新興国の平均値は44%。すでに4割以上の大人がインターネットにアクセスできる状態にある。アメリカ合衆国の値が一番高く87%を示しているが、それにチリやロシア、ベネズエラのような、スマートフォン所有率の高い国が続いている。スマートフォンの所有率上昇が、その国のインターネットへのアクセス率を底上げする好例といえる。中国も63%と高い値を呈している。
もっとも新興国ですら、デジタルデバイスに関する世代間格差は生じている。
↑ 時折以上にインターネットを利用している、あるいはスマートフォンを所有しているか(2014年、新興国、世代別)
どの国も多かれ少なかれ、スマートフォンを所有しているかインターネットを利用している人の割合で、世代間格差が生じている。%ポイントの差ではタイが56%ポイント、レバノンが53%ポイント、比率ではインドネシアが4.1倍、ベトナムが3.3倍、タイが3.1倍もの差が生じてしまっている。
元資料では世代間格差以外に教育水準の差、そして英語を知っているか否かによる差も生じていると言及している。これらの差が大きいと、それだけ情報の取得量に関する差も生じ、生活のさまざまな面での格差を生み出すきっかけとなりうる。この差は先進諸国でも問題視されているが、今後新興国においても小さからぬ問題として物議をかもすことになるだろう。
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