日本と同じく少人数世帯化へ…アメリカ合衆国の構成人数別世帯数の推移(最新)
2024/07/05 02:23
社会生活を営むための最小構成集団は、一般的には世帯が該当する。一人暮らし、夫婦のみ、夫婦と子供、さらには祖父母も含めた大家族による構成もありうる。そしてその実態は社会全体の構造、変化の指標の一つとなる。社会は世帯の集合で構成されているからである。今回は【アメリカ合衆国国勢調査局の「Families and Living Arrangements」】の公開値を基に、アメリカ合衆国における世帯構成人数別の世帯数動向などを確認し、それを通して同国の世帯に関する実情を垣間見ることにする。
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人口増に連れて増える世帯数、そして少人数世帯
次に示すのはアメリカ合衆国における世帯数の、構成人数別推移。今件における世帯とは、同一居住単位に住む人の集合体を意味する。アメリカ合衆国の人口そのものは増加の一途にあるが(半世紀で2倍近くの増加)、それとともに当然世帯数も増加している。
↑ アメリカ合衆国における世帯構成人数別世帯数(万世帯)
↑ アメリカ合衆国における世帯構成人数別世帯数(万世帯)(2001年以降)
一方で多人数世帯の増加よりも少人数世帯の増加の方が勢いが強いのも見て取れる。この半世紀強の間に単身世帯は5倍以上、2人世帯は3倍強に増加しているが、5人世帯は2割近くの増加にとどまっている。
日本の場合は人口の漸減とともに少人数世帯化が起きているが、アメリカ合衆国では人口増加と少人数世帯化が同時に生じている。一方、全世帯数に占める構成人数別世帯数比率動向を見ると、日本と同じような構造にあることが分かる。
↑ アメリカ合衆国における世帯構成人数別世帯数(全世帯数比)
↑ アメリカ合衆国における世帯構成人数別世帯数(全世帯数比)(2001年以降)
少人数世帯、特に単身世帯は大きく増加。半世紀強で比率は倍増し、直近の2023年では単身世帯だけで全世帯数の3割に届きそうな勢い。二人世帯と合わせれば6割を超えてしまう。1960年時点では4割強だったことを考えると、この半世紀強の間に大きな世帯構造の変化が起きていることが改めて確認できる。
世帯全体数と平均世帯人数と1人暮らしと
構成人数別の比率動向で、世帯構成が少しずつ少数人数にシフトしつつあることは確認できた。これをもう少し引いて全体像として眺めてみる。次に示すのは総世帯数と、平均世帯人数。
↑ アメリカ合衆国における総世帯数(万世帯)と平均世帯人数(人)
↑ アメリカ合衆国における総世帯数(万世帯)と平均世帯人数(人)(2001年以降)
単身世帯を含めた平均でも直近値で2.51人。世帯総数は1億3143万世帯。少数世帯化は進んでいるものの、大人数世帯も減っているわけではなく(さすがに7人以上の世帯は減少しつつあるが、5人の世帯までは継続した増加傾向、6人の世帯は今世紀に入り減少から増加に転じた動きを見せた)、平均世帯人数の減少もゆるやかなものにとどまっている。人口そのものの漸減と連動して少数世帯化が進んでいる日本の状況(【世帯平均人数は2.25人…平均世帯人数と世帯数の推移(最新)】)と比較すると興味深い。
最後に、日本でも問題視されている単身世帯の動向。これは全世帯比で算出した値の動向を確認する。残念ながら今件では全世帯比率のみで、年齢階層別の動向までは確認ができないが、非婚・晩婚化、そして高齢者の増加に伴いアメリカ合衆国でも単身世帯は世帯数だけでなく全世帯比率でも確実に増加している。
↑ アメリカ合衆国における総世帯数に占める単身世帯率
直近2023年では29.0%、3割近くが単身世帯。しかもこの値は緩やかではあるが上昇過程にある。日本では2022年時点で単身世帯は32.9%(【3人までの世帯は8割超…構成人数別世帯数の推移(最新)】)であることから、世帯数はともかく、全世帯に占める比率では、単身世帯化の実情は日本とあまり変わらないことになる(!)。あるいは単身世帯対策に関して、アメリカ合衆国から何か学べることがあるかもしれない。
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