「誤認した者が存在する可能性」…「LINEの次にGoogle+が高利用率」問題の後日談
2015/02/04 15:01


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「LINEの次にGoogle+が高利用率」「な、なんだってー!?」
詳細は冒頭で参照した「「LINEの次にGoogle+が高利用率」総務省の調査結果を検証する」の記事で確認してほしいが、「平成25年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」において、2013年時点で日本においてソーシャルメディアの利用状況として、LINE(厳密にはソーシャルメディアでは無いが、今件では同一のものとする)がトップ、そしてGoogle+がそれに続くとの結果が出ていた。

↑ ソーシャルメディアの利用率(サービス毎・全体)(再録)
他調査結果や実際に見聞きする状況と比べ、あまりにもGoogle+の値が高すぎるとして疑問視されたのが、今回の問題点。そして前回分の調査票などを調べた上で(当時はまだ2013年分の調査票は未公開だった)「調査票の表記が誤解を招くようなもので、Google+というソーシャルメディアの表記を、検索などの他サービス、総合サービスのGoogleと誤認してしまったのでは」との推論を立てた次第。

↑ 2012年分における該当箇所と考えられる質問様式。この部分に「Google+」を入れてしまうと、「ソーシャルメディア」の一覧との解説が無いので、検索エンジンなどのサービスと誤認するリスクが生じる
「Google+(グーグルプラス)」そのものを詳しく知らない人が、この一覧に「Google+」が加わった状態でチェックを求められたら、どれだけの人がソーシャルメディアとしての「Google+」と判断し、その上で「いずれからも利用していない」と回答できるだろうか。
結果はやはり推測の通り
そして2014年9月に発表された詳細データ、資料を精査したところ、ほぼ推測の通りの状況であることが確認できた。まず今件2013年分の調査において使われた調査票において、該当する項目部分だが、やはり「ソーシャルメディア」の説明書きは無く、単に「Google+(プラス)」が加わっているのみだった。

↑ 2013年調査分の調査票、該当部分(着色は当方によるもの)。ウェブサイトやアプリであることは表記されていても、並べられている対象がソーシャルメディア(あるいはそれに類するもの)との説明は無い
これでは「Google+(プラス)」そのものを知らない人が、検索エンジンなどの「Google」と誤認しても仕方がない。
今件に関して詳細報告書では冒頭にある通り、調査結果値そのものの変更はしなかったものの、解説の上で次のように解説し、誤認の可能性が少なからずあると説明している。
「Google+については、平成26年1月に総務省情報通信政策研究所が都立高校生に対して実施した「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」では、高校生のGoogle+の利用率は19.2%で、Facebookの24.3%を下回った。今回調査のGoogle+については、10代の利用率が30.9%とFacebookの22.3%を8ポイント上回り、両者の利用率が逆転しているなど、Google+の結果が高めに出ている可能性は否定できない」
この文中に登場した「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」は以前【LINE、ツイッター、そしてFacebook…高校生のソーシャルメディア利用状況】で紹介したもので、Facebookは24.3%、Google+は19.2%の値を示していた。高校生に限定した結果ではあるが、こちらの方が実感に近く、今件に関して「高めに出ている可能性」を裏付けるものといえる。

↑ ソーシャルメディアなどの利用状況(個別、高校生、2014年1月)(再録)
「誤認があった」「無い」は、結局のところ最終的には回答者一人一人に確認するしかなく、現状では精査は不可能。ただし報告書にある通り、誤認の可能性があり、データが事実とはぶれてしまうリスクが生じていると調査側が認識したことは、大いに意義がある。今後今件データを何らかの形で利用する場合、そのことが前提に置かれるため、各種状況精査の際に不用意なトラブルを避けられる。
また次回以降の調査ではこのようなリスクが生じないよう、調査票において何らかの配慮がなされるのは確実で、より良い、確かな調査結果が期待できる。
次回分は2014年の動向を確認するものとなる。特にスマートフォン関連、そしてソーシャルメディア周りの動向に大きな動きが予想される。春先以降に公開されるであろう速報に、まずは期待したいところだ。
そして状況を正しく把握し、それを認め、明確に表記をして説明した情報通信政策研究所には、改めて敬意を表したい。
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