飛ばす? 観る!? やっぱり気になる録画番組のCM対応(2015年)(最新)

2015/02/04 11:25

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録画機能を持つ機器の普及に伴い、テレビ番組を放送時にリアルタイムにではなく、後でまとめて視聴するスタイルがごく当たり前になりつつある。視聴側の時間を拘束されないのが最大のメリットだが、同時に「録画時にテレビCMは視聴されるのか」という新たな問題が生じている。テレビ番組は番組中に差し込まれるCMに告知効果を付加させ、そのCM枠を販売することでビジネスとして成り立つ面があるからだ。録画視聴側は再生を自由に出来るため、CMを飛ばし(スキップ)て観たり、逆に何度となく繰り返し視聴される可能性を有することになる。今回はこの点について情報通信政策研究所が2014年9月26日に発表した「平成25年 情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の詳細版から、現状を確認していくことにする(【情報通信政策研究所:平成25年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査】)。



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今調査に係わる調査要項は先行記事【「LINEの次にGoogle+が高利用率」総務省の調査結果を検証する】を参考のこと。

まずは具体的な、1日あたりの録画した番組の平均視聴時間。録画番組を観ている人・観ていない人も合わせた、全体としての平均値を算出している。全体像としての値との認識で問題ない。

↑ テレビ(録画)視聴時間(分、平均、2013年)
↑ テレビ(録画)視聴時間(分、平均、2013年)

リアルタイムでのテレビ視聴時間は概して未成年者と高年齢層が長く、若年層から中堅層が短い傾向があるのだが、録画番組に関しては世代別の明確な差異は確認できない。40代にへこみがあるが、平日はおよそ20分足らず、休日は30分前後と、休日がやや長めな状況なのが分かる。平日に貯め撮りした番組を、休日にチェックするという形だろうか。

この録画番組視聴に関して、CMを飛ばして観るか否かを尋ねた結果が次のグラフ。そもそも論として観ていない人も回答しているため「録画は見ない」との回答者もいる。このグラフは「全体像として録画番組を観ている人はどれほどいるのか」「録画番組を観る際にCMを飛ばす人は全体のうちどれほどいるのか」を知ることが出来るものとなっている。

↑ テレビの録画番組を観る時、CMを飛ばすことがあるか(2013年)
↑ テレビの録画番組を観る時、CMを飛ばすことがあるか(2013年)

全体では録画番組を観る人は8割超、CMを飛ばす傾向にある人は3/4ほど。番組を録画し、しかもその番組を再生して観る際にCMを飛ばさずに観る人は1割足らずしかいない。録画した番組の視聴時間そのものは通常の番組視聴時間と比べれば短いものの(テレビの利用時間は【各ハードの利用状況を確認する】などを参照のこと)、驚きの値には違いない。

世代別に見ると、若年層ほど録画視聴をする人が多く、またCMを飛ばす人も多い。歳を経るほど録画視聴をする人は減り、録画視聴をしてもCMを飛ばす人も少なくなる。テレビの観方のスタイルに対する慣れ方による差が出ているのだろう。若年層ほどドライに物事を考え、CMをバッサリと切り捨てている感はある。

全体比ではなく、番組録画をしている人の中で、CMを飛ばす人はどれぐらいいるのか。これも気になる要素ではある。そこで上記の値を元に、その値を算出した結果が次のグラフ。

↑ テレビの録画番組を観る時、CMを飛ばすことがあるか(2013年)(録画視聴者限定)
↑ テレビの録画番組を観る時、CMを飛ばすことがあるか(2013年)(録画視聴者限定)

やはり若年層の方が飛ばす比率は高く、高齢層の方がしっかりと観る人は多い。もっとも全体比の動向と比べ大きな差異は出ず、差は少なめに留まっている。「よく飛ばす」人は全体で7割、高齢層でも6割近くに達している。



録画によるテレビ番組視聴はリアルタイム視聴と比べれば短い時間ではあるが、同じ番組時間におけるCM内容の公知効果は確実に小さいものといえる。録画された番組は繰り返し視聴されるため、一度きりとなるリアルタイム視聴と比べれば複数回の周知可能性が生じるものの、よほどの内容でない限り1、2度の視聴で上書きされてしまうのが関の山である。

今後録画による番組視聴のスタイルがさらに浸透すれば、テレビCMの告知宣伝効果に関しても、新たな検証が求められるようになるかもしれない。


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