運動部と文化部、どちらが多いか!? 中高生の部活事情(最新)
2018/10/23 05:18
小学生はともかく中学生や高校生においてはほとんどの学校で部活動が行われる。多様な分野で生徒達が可能性を見出し、伸ばし、さらには人生の方向性を決定づける経験を得ることすらある。その一方であえて部活動に参加しない子供も多数存在する。また昨今では生徒・教師それぞれの部活動に対する負担に関して、問題提起が行われているのも注目に値する。今回は国立青少年教育振興機構が2018年8月22日に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書の各種公開データをもとに、子供の部活動の所属実情を確認していく(【「青少年の体験活動等に関する実態調査」(平成28年度調査)報告書】)。
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中学2年生は7割近く、高校2年生は約5割が運動部所属
今調査の調査要項については先行記事【果物の皮を包丁でむいたり、ぞうきんを絞ったり…いまどきの子供事情を探る】を参考のこと。
冒頭でも触れた通り学校の方針によるところも大きいが、中高学校では生徒活動の一環として部活動が行われる。授業とは別に趣向、芸術方面の特定ジャンルに関する活動に取り組むもので、全国規模の競技に参加するため、日々練習に励む部も多い。
次に示すのは直近2016年度における、所属部活動の状況。小学校で部活動を実施するところは原則無いため、調査対象からは外れている。
↑ 現在所属の部活動(複数回答)(2016年度)
中学2年生は67.9%が運動部、19.1%が文化部に所属している。そして未所属、いわゆる帰宅部は10.6%でしかない。「その他」が気になるが、運動・文化の双方の区分がしにくいものに加え、部活動への参加が義務付けられているものの、生徒会活動など部活動に類するものに参加していれば免除される事例が該当するのだろう(つまり「生徒会執行部」的なもの)。
高校2年生になると運動部の所属比率は大きく減り、その分文化部が増える…が未所属者も増える。勉学に励むため、あるいはアルバイトに時間を充てるため、部活動に参加しない選択をする人も増えるものと考えられる。
これを男女別に区分したのが次のグラフ。
↑ 現在所属の部活動(複数回答、中学2年生、男女別)(2016年度)
↑ 現在所属の部活動(複数回答、高校2年生、男女別)(2016年度)
中高とも男子は女子と比べて運動部、女子は男子と比べて文化部の所属割合が高い。具体的な部活名までは調査の対象となっていないが、実情は容易に理解できる。また未所属やその他項目は男女ともさほど変わりがない。
中学生では男子の8割近く、女子でも6割近くが運動部に入っている。高校になると男子の運動部所属は6割強、女子の文化部所属は4割足らずに減る。他方、文化部は男女とも中学生より高校生の方が所属割合が高くなるのは興味深い動き。高校に入ってからの方が、趣向の領域が広がり、また文化部の種類そのものも増えるからだろう。
なおグラフ化は略するが、男女別に区切っても、各項目をすべて足した合計値は100%をわずかに超え、最大で2%近い超過分が確認できる。統計上の誤差を超えており、1%内外で兼部をしている人がいるものと考えられる。
加入部活に変化は起きているのか? 経年による動向
運動部と文化部の入部動向は以上の通りだが、この傾向に時代の流れによる変化は生じているのだろうか。2007年度以降の動きを示したのが、次以降のグラフ。まず中学2年生について。
↑ 現在所属の部活動(複数回答、中学2年生)
大きな変化は無いが、ほんの少しずつ運動部が減り、文化部が増えているように見える。直近の2016年度分は運動部も文化部も減り、未所属が大きく増えるという、興味深い動きを示している。これがイレギュラーなものなのか、中学生の部活離れ的な動きなのか、もう数回分の調査結果を見定めたい。
変化の観点では高校生の方がよりはっきりとした動きを示している。
↑ 現在所属の部活動(複数回答、高校2年生)
運動部、文化部ともに回答率はじわりと上昇中。特に文化部ははっきりと増加傾向が表れている(直近2016年度ではやや減っているが)。運動部・文化部双方とも増えているのなら、差し引きでどこかが減らねばならないわけだが(掛け持ちの可能性もゼロでは無いものの、統計値上には上記の通り1%程度しかほとんど表れていない)、未所属が減っているのが確認できる。つまり帰宅部が減り、運動部や文化部に流れている次第である(ただし直近2016年度では増えている)。
単純に部活動への関心が高まりつつあるのか、それとも部活動への参加を義務付ける学校が増えたのかまでは分からないが、留意を払う必要がある動向には違いない。
学生の部活動に関しては昨今教師側、学校全体の負担の観点で、見直しを求める声を見聞きする。また生徒の視点でも負担になるとの意見もある。今後そのような声がさらに大きくなるようであれば、学校の方針、そして所属率の動向にも変化が生じてくるかもしれない。
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