小学1年生8.5%、高校2年生は96.8%…子供達の携帯電話保有状況(最新)

2018/10/22 05:10

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2018-1016子供達の生活環境、社会習慣、行動様式において、もっとも熱い視線が注がれ、また同時に問題の源となっているのが携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォン双方)。高校生ではすでに9割以上の保有率を示す調査結果も相次ぎ発表されているが、今回は小学1年生以降の保有状況について、国立青少年教育振興機構が2018年8月22日に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書の各種公開データから、その実情を確認していくことにする(【「青少年の体験活動等に関する実態調査」(平成28年度調査)報告書】)。



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直近では小学1年生は8.5%、中学2年生は58.7%、高校2年生はほぼ全員


今調査の調査要項については先行記事【果物の皮を包丁でむいたり、ぞうきんを絞ったり…いまどきの子供事情を探る】を参考のこと。

次に示すのは直近となる2016年度における、各学年別の携帯電話保有率。冒頭でも触れた通り、今件における携帯電話は(子供向けのGPSを用いた防犯機能に長けた)従来型携帯電話だけに留まらず、スマートフォンをも指している。また設問では「持っているか」だけを尋ねており、所有権そのものを子供が有している場合に加え、保護者が貸し与え、子供が常用しているパターンも該当する(家族と併用のケースは該当しない。「本人のみが使うもの」である)。一方、インターネットが使えるか否かは問われていないので、インターネット接続機能が無いもの、あるが封印されているものも該当する。

↑ 自分用の携帯電話(従来型携帯電話・スマートフォン)を持っているか(2016年度)
↑ 自分用の携帯電話(従来型携帯電話・スマートフォン)を持っているか(2016年度)

小学生の所有率の中身はおおよそが、防犯目的で持たされている携帯電話によるものだろう。小学1年生では8.5%だが、それが少しずつ保有率を上げていく。しかし小学6年生でも31.9%と3割強に留まる。これが中学生になると58.7%、高校生では96.8%にまで跳ね上がる。

見方を変えると、小学生では携帯電話の所有者は少数派だが、中学生になるとやや優勢に、そして高校生では圧倒的多数派となる。実質的にはインターネットへのアクセスができることを考えると(許可されているか、制限のある無しはまた別)、高校生のほとんどは携帯電話を有し、少なくとも電子メールのやり取りはできると見てよい。今調査は2017年2月から3月に実施された結果のため、現在ではさらに値が伸びている可能性はある。

なお小学生の値が低めに見えるが、これは設問が「本人のみが使うもの」となっているため。防犯用に持たせていたとしても、兄弟と併用、保護者のお古を使わせているが保護者自身も使うことがあるケースでは、回答に該当しないと判断した可能性がある。

急速な上昇を示す保有率


これを経年変化で見た結果が次のグラフ。

↑ 自分用の携帯電話(従来型携帯電話・スマートフォン)を持っているか(「不明」除いて再計算)
↑ 自分用の携帯電話(従来型携帯電話・スマートフォン)を持っているか(「不明」除いて再計算)

2006年度から2010年度まではほぼ横ばいだが、2012年度は急激な成長ぶりを示している。この上昇の仕方について当時の報告書では「特に、小学生での平成22年から平成24年にかけての増加が大きく、小学2年では、所有率が約3倍になっている(小学2年平成22年:5.2%→平成24年:17.8%)。これは、GPSや防犯ブザーなどの機能が付いた小学生向けの携帯端末やスマートフォンの普及による影響が考えられる」と説明している。他の多数の調査結果でも2013年、早いものでは2012年から未成年者全体ではスマートフォンの、小学生に限れば子供向け携帯電話の急速な普及浸透が数字となって表れており、この時期に日本の若年層の間に「ケータイ革命」「スマホ革命」的な動きが生じたものと考えられる。

直近となる2016年度では、2012年度・2014年度に生じた大幅な上昇から転じて、やや減少の動きを示している。報告書では特に解説は無いものの、2014年度における設問では従来型携帯電話とスマートフォンをそれぞれ区別していたのに対し(携帯電話の保有率ではいずれか一方でも該当していれば対象としてカウントしていた)、2016年度では双方合わせての選択肢によるものだったことから(質問票には「スマートフォン(携帯電話を含む)」とある)、回答時に何らかの違いが生じてしまった可能性がある。

学年別の動向を見るに、中学生・高校生では伸びる一方だが、小学生では2016年度で大きく減少してしまっているのが確認できる。

↑ 自分用の携帯電話(従来型携帯電話・スマートフォン)を持っているか(「ある」率)
↑ 自分用の携帯電話(従来型携帯電話・スマートフォン)を持っているか(「ある」率)

2012年度までは「携帯電話」のみの表記、2014年度では状況に応じて「携帯電話(スマートフォンを除く)」「スマートフォン」と双方を区分したにもかかわらず、なぜ2016年度では「スマートフォン(携帯電話を含む)」に戻してしまったのか、不思議ではある。

とはいえ、小学生の間にも携帯電話、特にスマートフォンの普及が進んでいることは疑いようもない事実に違いない。次回調査において、2016年度と同じ形式の選択肢の提示が行われても、保有率が上昇していることは容易に想像できよう。


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