自分だけの部屋があるか、テレビを持っているか…いまどきの子供の環境事情(最新)
2018/10/21 05:15
子供が成長していく過程で保護者が判断に悩み苦しむ事柄の一つに、個室を子供に与えるか否かの問題がある。自立心を育むためには個室を与えた方がよいが、子供への監視の目が行き届かない場所が自宅内に存在することを望まない人もいる。一方子供自身は成長とともに、誰にも邪魔されないプライベートな空間を望み、個室を求めるようになる。そのせめぎ合い具合は個々の世帯によって大きく異なるもの。今回はその実情について、国立青少年教育振興機構が2018年8月22日に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書の各種公開データから確認していくことにする(【「青少年の体験活動等に関する実態調査」(平成28年度調査)報告書】)。
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高校生は3/4が個室持ち
今調査の調査要項については先行記事【果物の皮を包丁でむいたり、ぞうきんを絞ったり…いまどきの子供事情を探る】を参考のこと。
次に示すのは子供に対し自分の部屋を持っているか否かを尋ねた結果。兄弟との共同利用では無く、回答者一人だけの部屋との意味である。また施錠が可能か否かは尋ねていない。
↑ 自分だけの部屋(自分が一人で使っている部屋)があるか(2016年度)
小学1年生では2割強、これが6年生になると45.5%、中学生ではおおよそ2/3、高校生では約3/4にまで個室率が増加する。世帯全体としての教育方針や住宅の間取りの問題、世帯構成などの理由から個室化できない場合もあるものの、多くは子供の成長とともに子供自身の要望が高まり、許可を与えるようになるものと思われる。また中学校以上では夜間の勉強をする機会が多くなるため、静かな環境が必要との理由で個室を許可されることもあるだろう。
経年変化では大きな変化は無い。
↑ 自分だけの部屋(自分が一人で使っている部屋)があるか(「不明」を除いて再計算)
いくぶん増加しているようにも見えるが、2014年度以降は前回調査から減っていることもあわせ、正直誤差の範囲でしかない動きとの解釈の方が妥当。「前世紀末から約半数は個室を与えている。今も変わらない」と覚えおくのが妥当。
子供のテレビ離れ…か?
個室同様、子供に与えるべきか否かでよく話題に上るのが、一人用のテレビ。詳しい説明は行われていないが、リビングなどで家族共用とは別に子供専用のテレビが配されている状況は考えにくいので、事実上設問の内容は「子供の個室に子供専用のテレビがあるか否か」と読んでよいだろう。また、携帯電話などのワンセグは、視聴環境があったとしても該当しないと解釈しても問題ない。携帯電話を持っている人が「テレビを観る」と説明することはあっても、「テレビを持っている」とは言わない。
↑ 自分だけのテレビ(自分だけが使っているテレビ)を持っているか(2016年度)
学年が上になるに連れ、保有率も増えていく。自室保有率と似たような動きを示しており、自室が与えられている人ほどテレビを持たされる可能性も高いことが分かる。また年上になるに従い、遅い時間の番組を見たいと思う、しかし家族はすでに寝ているので居間などでは視聴できない、だから自分のテレビが欲しいとの事例もあるのだろう。
これを経年変化で見ると、明らかに減少している。
↑ 自分だけのテレビ(自分だけが使っているテレビ)を持っているか(「不明」を除いて再計算)
18年の間に9.2%ポイントの減少、大体半分に低下している。テレビそのものの観賞離れか、それとも上記にある通りワンセグ、さらにはパソコンやスマートフォンなどへの分散による結果か、判断は今件データだけでは難しい。
詳細解説の機会は別途設けるが、インターネットの利用時間の伸び、携帯電話の所有率の増加などを見るに、子供達の娯楽は少しずつテレビからインターネットにシフトしていそうである。
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