意外に多いが確実に減っている…祖父母と一緒に住んでいる子供達の割合(最新)
2018/10/21 05:13
高齢化社会が進み高齢者の人口そのものや対全人口比率は増加しているが、同時に世帯人数の減少や核家族化も進行していることから、祖父母と親子世代が同居する、いわゆる「三世代世帯」は減少の一途をたどっていると伝えられている。その実情について、子供を中心軸に据えた上で国立青少年教育振興機構が2016年5月2日に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書の各種公開データから、確認していくことにする(【「青少年の体験活動等に関する実態調査」(平成26年度調査)報告書】)。
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小学生は2割強、中高生は1/4強が「祖父母と同居」
今調査の調査要項については先行記事【果物の皮を包丁でむいたり、ぞうきんを絞ったり…いまどきの子供事情を探る】を参考のこと。
次に示すのは直近となる2016年度における、回答者となる子供達が祖父母と同居しているか否かの割合。同居、祖父母に関して特に定義は無く、この質問文言に各回答者が判断した内容に従って答えてもらっている。二世帯住宅的な居住スタイルをしてる場合でも、子供にとっては同居と見ている場合も多々あるだろう。一方、最近同居に代わりトレンドとなりつつある居住スタイルの「近居」(同居では無いが容易に行き来が可能な距離に住まう様式)は、今件には該当しないと見てよい。歩いて5分の距離に祖父母世帯が住んでいても(近居状態)、それを「同居」と認識することは無いだろう。
なお子供自身の回答は今項目では中学生以上に限定されているため、小学生の回答に関しては保護者によるものとなっている。該当する学年の子供の保護者による回答であることから、実質的には同じ状況に関する回答であるため、同一グラフ内に収めている。
↑ あなたはおじいさんやおばあさんと一緒に住んでいるか(2016年度)
小学生はおおよそ2割が同居、中学生・高校生は1/4程度が祖父母と同居していると答えている。全体では21.8%(2016年度分は全体値の公開が無いため、回答者数などから加重平均方式で当方にて独自算出)。世帯全体における三世代世帯比率と比べると随分と高い値のように思えるが(【種類別世帯数の推移】によれば2017年時点で5.8%)、全世帯比で計算する場合、一人暮らし世帯や夫婦のみ世帯も勘案されるため、比率は小さいものとなる。子供が居る世帯に限定すれば、案外これぐらいなものなのだろう(意外といえば意外だが)。
他方、回答者の学年別に見ると、一部イレギュラーはあるものの、高学年ほど高い値を示している。これは学年が上になるほど祖父母が同居したがるわけでは無く、若い世代の世帯ほど、祖父母と同居しなくなる傾向にあることを意味している。祖父母との同居に関して子供の意向が反映されることはまず無い。
経年変化を見ると
「若い世代の世帯ほど、祖父母と同居しなくなる」。この傾向がはっきりと確認できるのが、次のグラフ。同じ条件下における経年変化を見たものだが、明らかに昔ほど同居率は高く、現在に近づくに連れて低下する傾向にある。
↑ あなたはおじいさんやおばあさんと一緒に住んでいるか
2006年度時点では全体で28.6%だったが2016年度では21.8%となり、6.8%ポイントもの減少を示している。もっとも高い値を示すであろう2006年度時点の高校2年生では31.6%(2007年度は32.2%)、最も低い値が出ると思われる2016年度の小学1年生は上記グラフの通り20.7%。10%ポイント以上もの差が生じている。
大規模な社会情勢・環境の変化が無い限り、この傾向は継続することになる。今後数年のうちに、小学1年生における同居率は2割を切ることになるだろう。
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