ネットをする時間が長いほど「遅寝遅起き」は本当なのだろうか(2015年)(最新)

2015/01/29 14:55

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スマートフォンにしてもパソコンにしても、インターネットを利用できる端末が身近なものとなった昨今では、自制心の弱い子供達はつい夢中になって使い倒してしまう。そのため少なからぬ子供が遅寝遅起きをし、睡眠不足に陥っているとの話がある。それが原因で健康不良となる、日常生活にマイナスの影響を及ぼす可能性が多分にあることから、保護者の心配も並々ならぬものとなる。今回は少年教育振興機構が2014年6月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書の各種公開データを基に、子供のインターネット利用時間と睡眠、起床時間の関係を確認していくことにする(【「青少年の体験活動等に関する実態調査」 (平成24年度調査)報告書】)。



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利用時間が長いほど起床時間が遅い子供は増える


今調査の調査要項については先行記事【果物の皮を包丁でむいたり、ぞうきんを絞ったり……いまどきの子供事情を探る】を参考のこと。

次に示すのは平日における、一日あたりのインターネット利用時間別・普段起きる時間の区分を示したもの。青系統ほど早い区分であることから分かる通り、利用時間が長い子供ほど、起床時間は遅くなる傾向にある。

↑ 普段のインターネットの1日あたりの利用時間別・普段の起きる時間(2012年度)
↑ 普段のインターネットの1日あたりの利用時間別・普段の起きる時間(2012年度)

1時間未満の場合はまったくインターネットを(平日に)していない場合とほとんど変わらない。一方、1時間を超えると時間が長くなればなるほど、起床時間が遅くなる。3時間以上使っている子供は約4割が午前7時以降に起床すると答えている。

これを中央値を元に概算平均値を算出した結果が次のグラフ。きれいな形で直上の解説内容が数字化されている。

↑ 普段のインターネットの1日あたりの利用時間別・普段の起きる平均時間(2012年度)
↑ 普段のインターネットの1日あたりの利用時間別・普段の起きる平均時間(2012年度)

無論これはあくまでも相関関係であり、因果関係を示したものではない。実態として、平日にインターネットを使う時間が長い子供ほど、起きる時間が遅くなる傾向があることを呈したのみである。とはいえ後述する就寝時間と合わせて考えると、ネットの使い過ぎが夜更かし、そして朝寝坊的な生活様式の起因となり、実情として表れてしまっていることは、容易に想像が出来る(見方を変え、朝寝坊が出来る生活環境下にあるからこそ、夜更かししてインターネットを長時間使っているパターンもありうるが)。

利用時間が長いほど就寝時間が遅い子供も増える


続いて就寝時間。こちらも起床時間同様、平日におけるインターネットの利用時間別に、就寝時間を確認したもの。概算平均値の算出方法も同じである。

↑ 普段のインターネットの1日あたりの利用時間別・普段の寝る時間(2012年度)
↑ 普段のインターネットの1日あたりの利用時間別・普段の寝る時間(2012年度)

↑ 普段のインターネットの1日あたりの利用時間別・普段の寝る平均時間(概算、2012年度)
↑ 普段のインターネットの1日あたりの利用時間別・普段の寝る平均時間(概算、2012年度)

就寝時間では全く利用しない人と1時間未満の利用者との間にも、それなりの差が出ている。一方で利用時間が長い人ほど就寝時間が遅くなるのは起床時間と変わらない。物理的に時間を圧縮できない以上、インターネットを利用する時間が伸びるほど、その後に続く就寝時間が遅くなるのは道理ではあるのだが、1日3時間以上使っている子供のほぼ5人に2人が午前ゼロ時以降に、2割近くは午前1時以降に就寝するという実情に、驚きを覚える保護者もいるかもしれない。

概算平均時間は1時間未満では午後10時18分、これが3時間以上になると午後11時26分となる。利用時間の差と就寝時間の差に開きがあるのは、長時間利用者は就寝までの他の時間も多分にインターネットに利用しているから。他の娯楽の時間はもちろん、それこそ勉強時間を削ってまでネットに勤しんでいるかもしれない。



今件データだけを見ると「平日からインターネットを利用すればするほど遅寝遅起きとなる。多分に睡眠時間も削られる」との結果が導き出せる……ように見える。しかし今件はあくまでも相関関係を示したもので、容易に因果関係の一因であることは想像できるが、完全な因果関係までを立証するものではない。

別の複数項目で、その項目動向と就寝・起床時間を比較すると、同じような傾向が見受けられる。例えば塾通いでは、塾に通う頻度が高い人ほど、就寝時間は遅く、起床時間も遅くなる動きが確認されている。あくまでもネットの長時間利用と遅寝遅起きは因果関係と思われる一要因としての認識に留めておくべきだろう。

とはいえ、子供自身がインターネットの長時間利用により、夜更かしをしてしまうという自覚はあるようだ。

↑ 普段のインターネットの1日あたりの利用時間別・夜更かしして遅くまで起きている人の割合(「よくある」回答者、2012年度)
↑ 普段のインターネットの1日あたりの利用時間別・夜更かしして遅くまで起きている人の割合(「よくある」回答者、2012年度)

夜更かしの自覚を有する状況は避けるよう、保護者としてて注意をうながすことが求められよう。


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