買い物7割強、料理やお風呂掃除は6割強…子供達のお手伝いの実情を確認する(最新)
2018/10/18 05:08
母親の家事全般の負担軽減、そして情操教育の一環として、子供に家事の一部を任せたり、手伝わせることは子育てにおいて欠かせない「しつけ」の一つ。昨今では男性諸氏への家事分担に注目が集まっているが、子供がいる世帯では子供への家事分担・手伝いにも、これまで以上に視線が注がれている。今回は国立青少年教育振興機構が2018年8月22日に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書を基に、子供のお手伝いの実情を確認していくことにする(【「青少年の体験活動等に関する実態調査」(平成28年度調査)報告書】)。
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買い物は7割強、靴揃えや磨きは5割近く
今調査の調査要項は先行記事【果物の皮を包丁でむいたり、ぞうきんを絞ったり…いまどきの子供事情を探る】を参考のこと。
他にも家事の上で子供にしてほしい、あるいはしている家事は多数考えられるが、列挙された限りにおける、直近調査結果となる2016年度時点での、調査対象母集団(小学生、中学2年生、高校2年生)のお手伝いの実情は次の通り。買物は時々の頻度まで含めれば7割強が手伝っていることになる。
↑ お手伝いの実態(2016年度)
食器を揃えたり片づけるのは67.8%。買い物よりも技術を必要とせず、室内でも可能(=保護者の監視がし易い)なことから、「いつもしている」の回答値はむしろ買い物よりも高い。さらに室内の掃除や風呂洗い・窓ふき、料理が続く。
ゴミ袋を出したり捨てる行為のハードルは低いように思えるが、ゴミの重さなどもあり、実施率はさほど高くは無い。さらにペットや植物の世話は半数足らずに留まっている。もっともこれについては、ペットを飼っていない・植物を育てていなければ世話のしようがないことから、手伝いようが無い事例も多々あるものと考えられる(「まったくしていない」が飛びぬけて多いのもその推測の裏付けとなる)。
男女別、経年別で見てみると…
この「子供達のお手伝い実情」をいくつかの属性で区切って確認していくことにする。まずは直近2016年度分における男子と女子の、各学年別の行動率の違い。その差が分かりやすい料理のお手伝いは次の通り。
↑ 料理の手伝い(いつも+時々、男女別)(2016年度)
料理の場合は特に女子の方が積極的な手伝いの様子が見受けられる。おおよそ20%ポイントほどの差が出ている。グラフ化は略するが、男女別では料理ほどではないものの、他のお手伝いの項目でも概して女子の方が値は高い。男子の方が実施率が高いのは、力仕事となる場合が多いゴミ捨てぐらい。
また料理では男女とも学年が上になるほど、お手伝いの実施率は減少していく。理由は色々と考えられるが、例えば学校の授業や部活動など自分自身の生活行動が忙しくなる、気恥ずかしさを覚えるなどが、手伝い率減少の理由として考えられる。
一方で、子供の手伝いそのものは時代の流れとともに活発化している。次に示すのは、調査様式の変更に伴い変更された調査対象母集団構成を合わせるため、一部調査対象を調整した上で再計算された、いくつかのお手伝い項目に関する実施率の推移を見たもの。
↑ お手伝い実施率(いつも+時々、無回答除き再計算した値)
共働き率の増加に伴い家事分担の必要性が増えてきた、お手伝いが情操教育としても有益であるとの考えが浸透しているなど、理由はいくつか想定できるが、ともあれ子供のお手伝い度合いはおおよそ積極的になりつつある。少なくとも保護者の立場からは、ありがたい、頼もしい話には違いない。
子供にお手伝いをさせる際には、いきなりすべてを丸投げするのではなく、最初は保護者自身のやり方をよく観察させる。その上で、ともに手取り足取りの形で教え、手伝いをさせることが望ましい。手伝い行為は子供の視点からは、自分自身の価値について、家庭を支える一員との認識を確かなものとさせる。その経験は成長の大きなステップとなるに違いない。
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