最近どんなことに生活の不安を感じる? 健康、雇用、災害、それよりも……
2015/01/23 14:55
ソニー生命保険は2015年1月16日、ライフプランニングに関する調査結果を発表した。それによると調査対象母集団においては、さまざまな生活への不安要素のうち「家計・経済状態への不安」を感じている人がもっとも多く、6割を超えていることが分かった。次いで「健康状態」「老後の生活設計」「雇用状態」が続く。世代別では若年層ほど「雇用状態」「家族・親戚との人間関係」、高齢者ほど「健康状態」「老後の生活設計」の点で不安を覚える人が多い実態が示されている(【発表リリース:ライフプランニングに関する調査】)。
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お金、健康、老後……不安は自分自身やごく身近なもの
今調査は2014年12月16日から17日にかけてインターネット経由で20歳から59歳の男女に対して行われたもので、有効回答数は1000件。男女比、10歳区切りの世代構成比は均等割り当て。調査協力会社はネットエイジア。
現状を見据えた上で先行きに関して、自分の思い通りにならない、今より状況が悪化する可能性を危惧し、色々と思い悩むことを総じて「不安を持つ」と呼んでいる。この不安という心理状況に関して、現在生活面でどのような不安を抱いているか、想定されうる項目を選択肢として掲げ、該当するものを複数回答で尋ねたところ、もっとも多くの人が同意を示したのは「家計・経済状態」だった。62.6%は現状を憂い、将来について不安を抱いていると答えている。社会全体の経済状態に関して、安定感が乏しいことがうかがえる。
↑ 最近、どのようなことに生活不安を感じるか(複数回答)
次いで多くの人の同意を得た不安要素は「健康状態」。これが44.9%。現状ですでに何らかのトラブルを抱えている、あるいは現在はまったくの健康体でも今後何らかの病症のリスクを覚えるかもしれないとの不安。中堅層以降は特に老化の点で気になることが容易に想像できる。
「家計・経済状態」「健康状態」とやや重なる部分があるのは「老後の生活設計」。こちらは42.2%。多分に金銭面での問題で、定年退職を果たした後の収支の勘案、そして出費がかさむであろう健康面での問題をいかに補うかなどが該当する。「家族の老後・介護」も配偶者を対象とする場合は、この項目に該当することになろう。
以後「住宅」「家族・親戚との人間関係」など、個人的、あるいは極めて身近な人・環境に関する要因への不安が大きく、社会全体の事象として間接的に自分にも影響が及びうる項目への不安(例えば「自然災害」)は少なめの傾向がある。いざ自分自身の身に降りかかれば大きな影響を受けるのには違いないが、具体的なイメージが沸きにくく、結果として不安には結び付きにくいのだろう。
自分がイメージしやすい対象への不安は大きい
これを世代別に仕切り分けしたのが次のグラフ。各項目で比較しやすいよう、双方グラフの縦軸は揃えてある。
↑ 最近、どのようなことに生活不安を感じるか(複数回答)(世代別)
全体像では「自分、あるいはその周辺の身に降りかかりやすい要因へ不安を感じる人が多い」との傾向が見受けられたが、世代別で見るとその実態がより一層分かりやすい。世代別に抱えている、あるいは身近な問題への不安が、他世代よりも強い結果が出ている。
例えば「健康状態」は若年層より高齢層の方が高い値を示している。50代では過半数に達しており、今後老化を示す一方の自分自身の身体への不安感が募る様子がよくわかる。また定年退職へのカウントダウンの数字が減るに連れ、「老後の生活設計」の値も急上昇している。
他方「雇用状態」は若年層の方が不安を覚える人は多い。20代では4割が不安と答えている。非正規雇用者の割合も多いであろうし、中には就職を果たしていない人もいるかもしれない。ある程度勤めあげている人でも、若年層の雇用は不安定な状態にある実情を日々伝えられれば、不安感を抱く人が増えるのも当然の話。
また若年層は絶対値こそさほど高くないものの、人間関係の点で不安を感じる人が多いのも特徴的。人付き合いには経験を積み重ねることが何より大切なのだが、その蓄積がまだ十分でなく、不安さを抱いてしまうのだろう。
トップの「家計・経済状態」は20代でいくぶん低めではあるが、大よそどの世代でも高い値を維持している。経済の不安心理はさまざまな方面へマイナスの影響を及ぼす。逆に考えれば、経済の不安を取り除くことで、他の不安要素も多くが連動して解消する。何よりもまず最初に経済の不安解消が、関係各方面に求められることは言うまでもあるまい。
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