夕刊を今なお読む人2割強、毎日読む人7人に1人(最新)
2018/01/23 05:10
新聞の発行スタイルは大きく朝刊と夕刊に分けられる。その名前の通り朝刊は朝に刊行・配布され、夕刊は夕方に展開される。元々夕刊は朝刊と比べて需要は小さいが、昨今のメディア環境の変化に伴い、朝刊以上に閲読者が減っているとの話がある。今回は財団法人新聞通信調査会が2018年1月18日に発表したメディアに関する全国世論調査から、夕刊の閲読状況を確認していくことにする(【発表リリース:第10回メディアに関する世論調査結果】)。
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夕刊の閲読率は23.7%
今調査の調査要綱は先行記事【じわりと下がるメディアへの信頼度、ようやく下げ止まりか(最新)】を参照のこと。
次に示すのは新聞のうち夕刊の閲読状況。購読では無く閲読であることから、回答者自身が購入していなくても、読んでいれば該当することになる。例えば配偶者が購入しておりその夕刊の回し読みをする、職場で定期契約をしているのを読み通すなども閲読には含まれる。
↑ 新聞(夕刊)の閲読頻度(2017年度)
↑ (参考)新聞(朝刊)の閲読頻度(2017年度)
印象的には朝刊と夕刊で「毎日」と「読まない」がそのまま入れ替わった雰囲気がある。ただし夕刊では実際には「毎日」読む人の値は朝刊の「読まない」よりも少なく、「週4-5日」などそれなりの頻度で読む人の値も夕刊では減っており、読まない人にシフトした形。毎日読む人は15.4%のみで、低頻度で読む人を積み上げても23.4%しかいない。見方を変えれば、18歳以上の大人たちの間で、夕刊を読んでいる人はまだ2割強もいることになる。
配られるタイミングが夕方以降となり、職場などでの回し読みが難しいのも夕刊の閲読率が低い一因ではあるが、それ以上に夕刊そのものの需要が大きく減退しているのが主要因なのだろう。実際後述するが、中期的には若年から中堅層の閲読者減少率は大きなものとなっており、帰宅途中の就業者が夕刊購読を止めてしまった事案が多数に及んでいる現状が容易に想像できる。
夕刊を毎日読む人、とにかく読んでいる人の属性を探る
続いて示すのは、夕刊を毎日読んでいる人、そして頻度は問わずにとにかく読んでいる人について、属性別に確認したもの。
↑ 新聞(夕刊)の閲読頻度(毎日読む人)(属性別)
↑ 新聞(夕刊)の閲読頻度(読む人合計)(属性別)
毎日読む人、実質的に自宅での定期契約者あるいは通勤・通学の帰りに必ず売店に寄って調達する熱心な愛読者と見てよいだろう。そのような人は直近の2017年度では全体で15.4%。男女差が開いているのは、やはり電車やバスなどの公共交通機関での移動(通勤)の際に読んでいることを示唆する結果ではある。
他方年齢階層別では朝刊や新聞そのものの閲読、さらには購読性向同様、若年層ほど低く、高齢層ほど高くなる(特にここ数年は18-19歳がゼロとなっている)。この傾向は「頻度はともかく読む人」でも大きな変わりは無いが、年齢階層間の格差は30代までは小さなものとなっている。若年層でも時折は夕刊を手に取る人がいるようだ。もっともそれでも1割前後でしか無いのだが。
前年度からの差異を見ると、前年度で生じた大きな減少の反動がいくつかの属性で見られる。とはいえ全体的な減少傾向から転換したわけでは無く、夕刊が読まれなくなっていることに変わりは無い。
見方を変えると新聞が好きなシニア層でも、毎日読む人は3割足らず、とにかく読む人ですら3割前後しかいないことが分かる。朝刊と夕刊の発行間隔は大よそ半日。その間に変化する情勢を新聞で追い求めるほどの需要はそれほどは無いものと考えられる。地域色や独自色、読み物的記事が多いのも夕刊の特徴だが、そのような工夫をもってしても、朝刊ほどの需要は確保できないようだ。
ざっくり進む夕刊離れ
今調査ではほぼ毎年同じような条件で各種設問を尋ねている。今件項目で比較できるもっとも古い値は2009年度分のものであることから、それと比較した結果を算出したのが次のグラフ。
↑ 新聞(夕刊)の閲読頻度(2009年度→2017年度)(%ポイント、属性別)
すべてがマイナス、つまり8年の間に夕刊を毎日読む人だけで無く、頻度を問わずに読む人も減っている。ともあれ読んでいる人は未成年者でずば抜けて減少し、それより上の層ではほぼ同じ程度に、毎日読む人は主に中堅層で大きな減少が見受けられる。もっとも若年層は元々夕刊を読む人が少ないため、毎日読む人の減り方が少ないのもある意味当然。
若年層においても「とにかく読む人」の減り方が大きいのは致命的。例えば18-19歳は2009年度では31.0%が夕刊に目を通していたのが、今や1割程度でしか無い状況となってしまっている。中堅層と未成年の新聞離れは、朝刊だけでなく夕刊でも起きている。
また全般的には「毎日読む人」よりも「読む人合計」の方が減少度合いが大きい(特に若年層)。元々あまり読んでいなかった人が、手放す事案が増えているものと考えられる。
部数減少度合いでは朝刊以上に危機的な状況にある夕刊。回し読みなどを合算しても、閲読者率は朝刊よりはるかに小さい。今調査では別項目として「夕刊発行の存続」について尋ねているが、それによると4割近くが「無くなってもよい」、4割強は「どちらでもよい」と回答しており、存続を望む人は2割を切っている。
全廃するほどの需要減退は無いものの、今後さらに需要が縮小すれば、何部かは休刊を余儀なくされることもあるに違いない。
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