米・パン・めん別に見た「中食や外食は増えているのだろうか」(最新)
2020/04/20 05:09
先行記事の【お米を食べる機会は減っているのだろうか】などで、JC総研が発表した農畜産物の消費行動に関する調査結果を基に、自宅でお米を炊いて食べる機会はわずかずつながら減っている傾向にあったものの、2014年度以降は増加に転じ、さらにここ1、2年ほどでは再び減少に転じたことを確認した。一方で飲食店やコンビニ・スーパーなどの惣菜関連の動向から、昨今では中食の需要が増加している動きも見受けられる。そこで今回は同調査結果を基に、主食のお米・パン・めん類に、中食や外食の摂取頻度がどのような変化を示しているのかを確認していくことにする(【発表リリース:農畜産物の消費行動に関する調査結果】)。
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お米を食べる頻度を中食と外食で見ていくと
今調査の調査要項は先行記事の【お米、パン、めん類…主食をどれだけ食べている?】を参照のこと。今調査対象母集団では、主食としてお米を食べる機会において、自宅で炊いて食べる炊飯の機会は減り、中食が漸増していた傾向が見受けられた。そして2014年度以降では炊飯が増加に転じ、その分中食や外食が減る、さらには直近1、2年度では再び炊飯が減少して中食や外食が増える動きを示している。
↑ 1日の主食平均食数(「米が主食」の内訳、回)(再録)
そこでもう少し長い時系列でデータを取得できる「既婚女性」「単身男性」「単身女性」において、中食(加工食品…パックごはんや冷凍ピラフ、お餅など)・中食(調理済…弁当、おにぎりなど)・外食の3様式に関し、1週間あたりの食数(要は頻度)の推移を見ていくことにする。
↑ 主食平均食数(「米」の内訳、1週間あたり、既婚女性、回)
↑ 主食平均食数(「米」の内訳、1週間あたり、単身男性、回)
↑ 主食平均食数(「米」の内訳、1週間あたり、単身女性、回)
まず外食。どの属性でもほぼ一様に減少傾向にあった。外食そのものの回数が減らされている話は本当のようだ。もっとも単身男性・単身女性は下げ止まりの動きを見せ、既婚女性は増加に転じる流れを示している。外食離れは底打ちをしたようにも見える。
一方中食だが、調理済みについては既婚女性は振れ幅が大きいもののほぼ横ばい、あるいはわずかな減少、単身男性と単身女性は減少から増加への動きを見せているようだ。他方加工食品ではいくぶんのイレギュラーな動きがあるものの、既婚女性と単身男性では減少から増加への動きを示しているが、単身女性ではゆるやかながらも減少の動きにあるようにも見える。
パンやめん類はどうだろうか
同じようにパン類やめん類についても、中食と外食の動きを見ていくことにする。もっともこれらは2010年度分以降しかデータが用意されていないので、現段階では都合10年分の動きを確認することになる。なおパン・めんともに元々内食のデータは無い。最近では製麺機やパン焼き器の普及も進んでいるが、今件のような調査にまで影響を及ぼすほどには浸透していないのが実体であり、事実上無視して構わない。
↑ 主食平均食数(パン類・めん類、1週間あたり、既婚女性、回)
↑ 主食平均食数(パン類・めん類、1週間あたり、単身男性、回)
↑ 主食平均食数(パン類・めん類、1週間あたり、単身女性、回)
10年間のみの変移なのでやや分かりにくいが、既婚女性はともかく単身者は男女ともに外食(破線部分)が減少している傾向にあるのが分かる。特に単身男性の減少ぶりは顕著。一方中食(実線)は2013年度までは既婚女性こそパン類・めん類ともにゆるやかに減少の気配が見えるが、単身男性はパン類・めん類ともに、単身女性もパンが明らかに機会を増やしていたのが確認できる。パンは具体的には食パン、菓子パン、サンドイッチ、ハンバーガーなどを指しており、惣菜パンの類を購入して自宅や職場で食する機会が増えていたようだ。独身諸氏にとって、スーパーやコンビニのパン類は強い味方となりつつある。
2014年度以降になると、中食のパン類・めん類はその食数を減らしている。原材料費の上昇に伴う各種パンなどの値上げで、購入性向が減少したのだろうか。ただし単身男性のパン類・めん類がここ数年で、単身女性がこの1、2年で増加に転じたように見える。
2013年度から2014年度にかけて複数属性で大きな変移が見受けられるが、調査期間のタイミングを見るに(原則は毎年3月)、消費税率の引き上げに伴い、食生活における消費マインドにも小さからぬ影響が生じた結果とする推定ができる。今調査結果からは因果関係までは説明はできないものの、納得できる理由ではある。
本文中でも触れているが、ここ数年の間に食生活は小さからぬ動き、具体的には中食の急速な浸透が生じている。今調査における直近数年の主食に関する動きを見るに、主食は自前で用意し、総菜を中食として選んで食卓で食べるというスタイルが浸透しつつあるのかもしれない。
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