お米を食べる機会は減っているのだろうか(最新)
2020/04/20 05:07
日本人が「主食は?」と聞かれれば多くの人が答えるであろうお米。だがそのお米の消費量は減少中で、パンやめん類など多彩な食材に主食需要が分散しつつある。食生活の多様化の観点ではよい傾向ではあるが、お米の生産に携わる人、そしてお米が好きな人には気になる話に違いない。今回はJC総研が2020年3月13日に発表した農畜産物の消費行動に関する調査結果から、お米を中心にこの数年間にわたる主食の消費性向の推移を確認していくことにする(【発表リリース:農畜産物の消費行動に関する調査結果】)。
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今調査の調査要項は先行記事の【お米、パン、めん類…主食をどれだけ食べている?】を参照のこと。
次に示すのは主食として1日あたりどの程度の回数、該当する食材を食べているかを答えてもらった平均値。1日3食と提示した上で一週間分・計21食の動向を尋ね、それを単純に7で割って一日あたりの平均値を算出している。平日と休日によって異なる食生活の動向は加味せず、単純な平均値となる。
なおJC総研の各調査はもう少し過去のもののデータも公開されているが、回答者属性の相違があることから、2010年度以降と2009年度より前とでは総計値としてのデータの連続性が無いため(2009年度より前は公開属性値に「既婚男性」が考慮されていない)、2010年度以降のものに限定している。
↑ 1日の主食平均食数(種類別、回)
いくぶんのイレギュラーはあるが、お米の食数は漸減し、その分パン類が増えて「いた」。めん類や「その他」はほぼ横ばい、そして「食べない」、つまり欠食事例も増加していたことが分かる。他方、2014年度分以降はお米の食数は増加に転じ、パン類・めん類は大きく減り、欠食事例は増加を継続している。主食を摂っている人において、食生活のスタイルに変化が生じた、具体的にはパン類からお米にシフトの動きが生じていたようだ。ちなみに「パン類」とは食パンや菓子パン、サンドイッチ以外にハンバーガーなども含まれている。また、内食・中食・外食の別を問わない。
ただし2018年度以降に限るとお米は減り、パン類や麺類、「その他」が増える動きを示している。他方、欠食事例は相変わらず増加傾向。お米と、パン類・めん類・「その他」との間で、片方が増えればもう片方が減り、片方が減ればもう片方が増えるという連動する動きを、数年単位で繰り返しているようにも見える。
このうち「お米が主食」の回答事例の中身を詳しく区分したのが次のグラフ。
↑ 1日の主食平均食数(「米が主食」の内訳、回)
米が主食の回数が減っていたのは事実だが、その中身としては内食に該当する「炊飯」が主要因だったのが分かる。要は炊飯器などでお米を炊いてご飯を調理し、それを食べる機会が減っていた。一方で加工食品(レトルト、冷凍品)や調理済みの米類(弁当、おにぎり)を購入して、自宅で食べる事例はわずかだが逆に増えていた。米食の機会が減ったのは米離れと表現するよりはむしろ、炊飯の手間が原因ではなかったのかと考えられる。
もっとも2014年度以降では直上の通りパン食が減り、お米が増えているが、その主要因はやはり炊飯であることも確認できる。外食を減らした、健康やコスト面を考慮し、炊飯にウェイトを置いた結果であることが推測される。さらに2018年度以降のお米の減少もまた、中身としては炊飯の減少によるもの。
忌避要因となりうる「炊飯の手間」といえば、食事を作る時間が割けない、面倒、ダイエットのためなどで、食事、特に朝食を抜く事案が増えているとの話がある。今回の調査結果からもそれを裏付ける値が出ている。朝食に限らず、ではあるが「食べなかった」の回答を示した結果、つまり主食を取らない値はほぼ漸増している(主食はとらずに惣菜のみ口にする事例はゼロとはいえないが、あまり想定しにくい)。今件は長期のデータが取得できる主婦・単身女性・単身男性に限りグラフ化している。
↑ 主食平均食数(「食べなかった」、1週間あたり、属性別、回)
1週間あたりの値で、しかも食事のタイミングは不明だが、各属性で欠食(厚生労働省の「国民健康・栄養調査」の基準のように、果物やヨーグルトも欠食扱いするのではなく、純粋に主食を食べないことを意味する)件数は中期的には確実に増加している。その理由までは今調査では尋ねていないが、上記動向や他の調査結果と合わせ、やはり多忙さや調理の面倒くささ、そして健康志向を狙っての傾向であると思わざるを得ない。
ライフスタイルやポリシー、体質などの都合で意図的に食事、恐らくは多分に朝食を抜く人も中にはいるのだろう。しかし単に多忙や面倒くささなどの理由で抜いているのなら、健康を害する可能性はある。1日3食しっかりと食事をとってほしいものだ。
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