自家用車と自宅、「これなら買ってもいいな」と若年層が思う年収は!?(最新)

2024/02/13 02:48

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2024-0212自動車や住宅の所有・取得率が若年層の間で減少していると語られる機会が増えたが、そのもっとも大きな原因は現状、そして将来にわたる見通しとしての可処分所得の減少にある。見方を変えれば金銭的な充足があれば、若年層も自動車や住宅所有に積極さを見せることになる。それ自身は極めて当たり前の話ではあるのだが、ならば年収でどれぐらいの額を確保できれば、所有を考えるようになるのだろうか。SMBCコンシューマーファイナンスが2024年1月29日に発表した調査結果から、その実情を確認していく(【発表リリース:20代の金銭感覚についての意識調査2024】)。

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自家用車 500万なら 5割未満


今調査は2023年12月13日から15日にかけて、携帯電話を用いたインターネット経由で20代男女に対して行われたもので、有効回答数は1000件。男女・20代前半と後半の区切りで均等割り当て。未婚者826人、既婚者174人。調査協力機関はネットエイジア。

今や若年層にとっては高嶺の花的存在と表現できる、自家用車や自宅。宝くじでも当たれば話は別だが、大抵はローンを組み複数年にわたって代金を支払わねばならず、相応の収入が前提となる。手取りも満足なものでなく、将来にも不安を覚えるとなれば、手が出しにくいのも理解はできる。それでは世帯年収がいくらぐらいになれば、それらを所有してもよいと考えるようになるだろうか。

なお今件における「年収」とは特に設問中で定義がされていないため、世間一般に認識されている通り、手取り(所得)ではなくサラリーマンなどなら天引きされている税金や社会保険料を含めた金額を意味するものとする。また、世帯「主」年収ではなく、世帯年収であることに注意。回答者が所帯持ちだった場合、配偶者の収入も合わせてカウントされる。

次に示すのは年収の一定区分別の回答値と、累積回答値を併記したもの。例えば年収400万円に達した時点で取得してもよいと考える人は、年収500万円の条件でも当然取得したいと考える。400万円より500万円の方が、金銭的余裕は一層あると考えられるからだ。そこで各年収の区切り別回答値に加え、累積の回答値も併記した次第。例えば自家用車で300万円の累積回答値は23.0%だが、これは「年収を問わず所有したい」の12.4%、「200万円」の4.2%、「300万円」の6.4%をすべて足した結果である。

↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自家用車、円)(2023年)
↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自家用車、円)(2023年)

個々の区分回答値では年収がいくらになっても所有・購入したいとは思わない人が25.9%ともっとも多く、次いで500万円の12.8%が続く。仮に少なくとも半数が自家用車を所有・購入したいとする年収を算出するなら、累積回答値を用いる必要があるので、600万円の54.3%となる。つまり年収600万円が確保できれば、20代の半分以上は自家用車を所有しようと考える。2/3以上を目指すならば年収は1000万円以上。

若年層の自動車所有値を高めたいのなら、関連各方面は該当世代の世帯年収を少なくとも600万円程度に引き上げ、安定化させる方策が費用対効果の上でも望ましい切り口となる。ただしその条件の場合、望めるのは半数強でしかないが。

同様の調査は過去においても実施されており、その累積回答値を直近年分も含めて5年分さかのぼり併記したのが次のグラフ。

↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自家用車、累積、円)
↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自家用車、累積、円)

一部イレギュラーな動きもあるが、おおよその階層で値が減少している、つまり自家用車を所有しようとする人が減っている傾向があった。2021年ではその前年の2020年分から大きく持ち直しており、新型コロナウイルスの流行における景況感の後退が、ある程度落ち着いてきたとの認識が影響したのかもしれない。しかし2022年以降は再び減少に転じてしまう。

過半数が住宅取得意欲を持つのには世帯年収900万円が必要


同様の発想で自宅について尋ねた結果が次のグラフ。自家用車よりも単価が高いこともあり、累積回答値の上昇度合いは緩やかなものとなっている。なお設問では単に「自宅」とのみあり、一戸建て・分譲マンション、新築・中古の区分は無い。

↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自宅、円)(2023年)
↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自宅、円)(2023年)

自宅は単価が高いだけでなく値幅も大きいため、想定している対象によって金額が大きく異なることから、上昇の度合いもゆるやか。自動車が累積回答値で半数に達したのは年収600万円だったが、自宅では800万円でようやく届く。

単独回答区分で一番高い回答値を示しているのは、年収がいくらになっても所有・購入したいとは思わない人で25.8%、次いで1000万円以上で21.5%。1000万円以上の値は直前の区分の900万円から大きく跳ね上がる動きを見せており、住宅取得が相当好条件下における選択である、「自宅所有は高嶺の花」と考えている人が多いようだ。

この動向について直近5年間分だが累積の動き、そして取得可能な全年分の「いくら世帯年収があっても自宅を所有・購入しようとは思えない」の割合を確認する。

↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自宅、累積、円)
↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自宅、累積、円)

↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自宅、「思えず」の割合)
↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自宅、「思えず」の割合)

自家用車同様に自宅においても、年収との勘案では年々慎重になっていた傾向が見受けられる。1000万円以上の値はほとんど変わらなかったが、そこに至る層がおおよそ減少し、「自宅は欲しいけれどよほど年収の余裕がないと難しい」との認識が強まっていたようだ。2021年では自家用車同様に、前年と比べて積極的に所有・購入をしようとする意欲が生じているような動きを示した。やはり新型コロナウイルスの流行における景況感の後退が、ある程度落ち着いてきたとの認識があり、それが影響しているのだろう。2022年以降は再び減少傾向に戻ったのも自動車と同じ。

また「(どのような高年収でも自宅取得をしようとは)思えず」の回答値はおおよそ年々増加していた。若年層では高額出費となる、そして多くはローン返済のために長期間にわたり金銭的負担が増える自宅購入には、自家用車の調達同様に、いやそれ以上に、慎重な姿勢を示しつつあったようだ。しかしこちらも2021年では前年比で大きく下落した。若年層の消費意欲に対するブレーキが一時的に緩められた感はある。他方、2022年以降は再び増加する動きとなっている。



例えば自家用車所有ならば仕事柄、居住地域の状況から取得が不可欠な人もいる。個々の環境によって所有動機は大きく変動するため、世帯年収はあくまでも要素の一つ。

一方で金銭上の問題が大きな影響を与えることも事実。消費の活性化を若年層に望むなら、それを後押しすべく、その世代の世帯年収の底上げと安定化を促進してほしいものである。


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