男女平等かそれとも…世界各国の女性観(2017-2020年)(最新)

2021/02/01 05:38

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2021-0121身体的な性質、生物学上の役割の上での相違以外に、歴史的背景や宗教的観念などの影響で、男性と女性の間には性別の上での区別・差別が生じることがある。国や地域によって捉え方はさまざまで、ある国では常識的な考え方でも、他の国では問題視される行為も少なくない。今回は世界規模で国単位の価値観を定点観測している【World Values Survey(世界価値観調査)】から、男女の違いにおける社会的観念について、3つの観点で国ごとの違いを確認していくことにする。


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今調査「World Values Survey(世界価値観調査)」に関する概要、調査要項などは先行記事の【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度】を参照のこと。なお一部の国・設問では現在集計中らしく値が非開示の国があるため、設問によって回答国数が異なる形となっている。あるいは(その国の情勢を鑑みて)元から設問が用意されていない可能性がある。

まずは「妻が夫より稼ぐとトラブルが生じやすい」。強い同意はプラス2、同意はプラス1、不同意はマイナス1、強い不同意はマイナス2とした上で計算した結果が次のグラフ(次以降の設問も計算方法は同じ)。マイナス幅が大きいほど「妻が夫より稼いでも問題はなく、トラブルなど発生するはずがない」との意見が多いことになる。次以降の項目も合わせ、回答者における考え方を述べてもらっていることに注意。

↑ 妻が夫より稼ぐとトラブルが生じやすい(強い同意=+2、同意=+1、不同意=−1、強い不同意=−2)(2017-2020年)
↑ 妻が夫より稼ぐとトラブルが生じやすい(強い同意=+2、同意=+1、不同意=−1、強い不同意=−2)(2017-2020年)

夫よりも妻が稼いでも特に問題はないとする意見が多い国が多数を占めている。特に男女平等感の強い欧米でその傾向が強い。日本はマイナス0.207でマイナス圏、つまり問題はないとする派だが、やや値の伸びが弱い。これは他の国際調査でもよく見られる傾向、「どちらともいえない」の回答値が極めて高く(44.8%)、意見そのものが大きな動きを示していないことによるもの。

プラス、つまり妻の稼ぎが多いとトラブルになりうるとする意見は、エジプト、メキシコ、イラク、イラン、チリ、ロシアの6か国。一部の国では宗教的な問題もあり、大きな値が出てしまうのも仕方がない。

続いて子育てにもかかわってくる話。妻が働きに出ると、子供は不幸になることが多いとする意見に対する賛否。今設問の場合、プラス幅が大きいほど同意、つまり妻が働きに出ると子供が不幸になると思っている(から働くことに否定的考えを持つ)人が多いことを意味する。同意派の解釈としては「妻が働きに出ると当然子供との時間が少なくなる。収入の面ではプラスとなるが、その分、愛情が注がれる機会が減ってしまう」というところだろうか。

↑ 妻が働きに出ると子供は不幸になる(強い同意=+2、同意=+1、不同意=−1、強い不同意=−2)(2017-2020年)
↑ 妻が働きに出ると子供は不幸になる(強い同意=+2、同意=+1、不同意=−1、強い不同意=−2)(2017-2020年)

同意を示す国はエジプト、イラク、アゼルバイジャン、韓国、中国、ウクライナ、イラン、メキシコ、イタリア、ブラジル、チリ、ポーランド、コロンビア、キプロス、フィリピン。日本はやや非同意派というポジション。どちらかと言えば欧米で不同意派の傾向が強い感はある。

国毎に兼業主婦の現状や社会福祉体制、宗教観、家事の実態などの実情は異なるため、一概にくくるのは難しいが、国ごとの母子の愛情や兼業主婦の捉え方などの違いが垣間見えて興味深い。

最後は政治的な問題。女性よりも男性の方が政治指導者として優れているとの意見に、同意か不同意かというもの。

↑ 女性より男性の方がよい政治指導者になりやすい(強い同意=+2、同意=+1、不同意=−1、強い不同意=−2)(2017-2020年)
↑ 女性より男性の方がよい政治指導者になりやすい(強い同意=+2、同意=+1、不同意=−1、強い不同意=−2)(2017-2020年)

エジプトは強い同意感を示しており、男性による政治主導を強く求めている。これは宗教的な問題が主な理由だと思われる。それ以外ではイラク、アゼルバイジャン、ロシア、フィリピン、イラン、韓国、そして中国が女性による政治指導者に対し、否定的。

不同意派、つまり女性でもよい政治指導者になることは十分可能であるとする意見は、スウェーデンやスペイン、ドイツ、フランスなど西ヨーロッパ諸国に多い。特にドイツやフィンランドは実例としての首相が現在も活躍中であることが影響しているのだろう。

日本は不同意派ではあるが、その勢いはさほど大きなものではない。詳細を見ると、やはり「分からない」とする回答が22.0%と2割を超えており、これが値の伸びを押しとどめていることが分かる。いかにも日本らしい、といえばそれまでなのだが。



冒頭でも触れているが、他の属性関連の話同様、男女間における区分も国や地域の文化特性などによって常識やしきたりが定められる場合が多く、唯一無二の正解は存在しない。今件もまた、国ごとの傾向、姿勢を示したに過ぎない。どの国の考えが正しく、また間違っているとの話ではないことを、改めて記しておく。


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