アメリカ合衆国はアジア太平洋地域の平和と安定のため日本にどれだけ期待しているか(最新)

2020/04/18 05:25

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2020-0329中国の経済的発展と軍事的影響力の強化に連れ、アジア太平洋地域では今世紀に入ってから前世紀とは比べ物にならないほどの緊張が高まっている。情勢の変化に伴いアメリカ合衆国も憂慮の念を強めており、同地域の同盟国である日本への期待も並々ならぬものがある。今回は外務省が2020年3月18日に同省公式サイト内において発表した、アメリカ合衆国における対日世論調査の結果から、その期待度を垣間見る結果を確認していくことにする(【発表リリース:令和元年度海外対日世論調査】)。


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調査概要に関しては今調査に係わる先行記事【アメリカ合衆国の日本への一般人信頼度85%・有識者は89%に(最新)】を参考のこと。

日々のニュースを見聞きすれば分かる通り、正当行動を自称するもののはたから見ればとてもそれは肯定できないような威圧的、軍事的挑発行為や、侵犯行為、資源の盗取などを近隣諸国に対し繰り返している中国に対し、対象国からは危機感とともに激しい抗議や防御的活動が繰り広げられている。これら繰り返される国家野心的行動をはじめとした、アジア太平洋地域の不安定化に際し、アメリカ合衆国の人たちはどのような心境を抱いているのだろうか。日米関係の観点に立ち、現場にある日本への期待のほどを調査した項目の結果が次以降のグラフ。

まずは日本とアメリカ合衆国はアジア太平洋地域の平和と安定のために、緊密に協力すべきと思っているか否か。「安全」では無く「安定」であることに注意。つまり現状…厳密には昨今の騒乱的情勢が起きる以前の比較的安定した状況を継続させるため、日米が緊密に協力し、状況の改善を模索すべきか否か。これには直近年度では一般人で92%、有識者では100%の人が同意を示した。

↑ 日本とアメリカ合衆国はアジア太平洋地域の平和と安定のために緊密に協力すべきと考えるか(「はい」「いいえ」「分からない」のうち「はい」の回答者)
↑ 日本とアメリカ合衆国はアジア太平洋地域の平和と安定のために緊密に協力すべきと考えるか(「はい」「いいえ」「分からない」のうち「はい」の回答者)

今項目は2014年度から新設されたもので経年変化の動向は都合6年分のみ。昨今では緊張の度合いを増しているとの認識が強まり、新たに確認項目として付け加えられることとなったのだろう。いくぶん一般人の方が低めの値は出ているものの、双方とも9割以上の同意者で占められており、日本との緊密な協力体制を望んでいることが分かる。

それでは単なる協力姿勢だけでなく、これまで以上の施策などによる積極的な役割を、日本は果たすべきであるとアメリカ合衆国は考えているのだろうか。これについては単純な密接度の高い協力体制の確認と比べるとやや賛意者は減るものの、直近年度では一般人で69%、有識者で88%の人が同意を示す結果となった。

↑ 日本はアジア太平洋地域の平和と安定のためにより積極的な役割を果たしていくべきと考えるか(「はい」「いいえ」「分からない」のうち「はい」の回答者)
↑ 日本はアジア太平洋地域の平和と安定のためにより積極的な役割を果たしていくべきと考えるか(「はい」「いいえ」「分からない」のうち「はい」の回答者)

やはりこちらの項目でも有識者の方が同意率は高い。「より積極的な役割」が何を意味するのかは調査結果からはうかがい知ることはできないが、事態打開のための行動に関して、もっと前に出るべきだとの思惑であるとの認識で違いは無いだろう。

ただしそれが「現状ではひかえめだからもっと積極的に動いてもいいのだが」なのか、「アメリカ合衆国はこれ以上手出しできない(したくない、係わりたくない)ので、日本にもっと前に出てもらいアメリカ合衆国は後ろに下がるように」を意味するのか、今調査項目だけでは判断が難しい。また、そこまで深読みすることなく単純に、このままか積極姿勢かどちらかといえば後者の方が、程度の意味かもしれない。

なお2017年度では一般人の回答率が前年度比で17%ポイントも落ちている。内情としては「分からない」の回答率が8%から32%に急増している。また複数の先行記事で言及の通り、2017年度の調査では一般人で前年度比においてイレギュラー的な回答率の低下が確認されており、経年変化の動向精査には注意を要する状況となっている(設問の形態が変わった可能性は否定できない)。一般人の間で心境の急激な変化が生じたとの判断は早急に過ぎると見た方がよさそうだ。

ともあれアメリカ合衆国においては一般人も有識者も、アジア太平洋地域の平和と「安定」のため、日本との協力関係を維持強化しつつ、日本へは一層の積極姿勢を望んでいることは間違いなさそうではある。


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