過去一年間の電子書籍利用率約2割、利用端末はスマホが一番
2014/11/07 15:05
印刷物の利用減退やスマートフォン・タブレット型端末の浸透と共に、少しずつではあるが確実に普及への歩みを進めている電子書籍。現状ではどの程度の利用率を示しているのか。今回は雑誌やコミックを除いた純粋な電子書籍に限定した上で、ライフメディアのリサーチバンクが2014年10月29日に発表した読書に関する調査結果から、その実態などを確認していくことにする(【発表リリース:読書に関する調査】)。
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電子書籍はスマホ>>パソコン
今調査は2014年10月17日から22日にかけてインターネット経由で10代から60代の男女に対して行われたもので、有効回答数は1200件。男女比、世代構成比は均等割り当て。
今調査対象母集団においては、過去1年間の電子書籍利用率は20.7%。そのうち無料の書籍利用は16.1%、有料利用は10.3%と、無料利用者の方が多い結果が出ている。
↑ 最近1年間の電子書籍利用状況(雑誌・コミック除く)(2014年10月)
今件では冒頭の通り、雑誌やコミックは対象外となっている。現状では雑誌やコミックの電子媒体での展開、特に無料配信が盛んに行われていることから(無料で一定期間閲覧をさせた上で、原稿がたまった時点で紙媒体として出版する、つまりインターネット上の展開をプロモーション的なものとして割り切るスタイルの手法も多分に行われている)、広義での電子書籍の利用状況はもう少し利用率の高いものとなっているだろう。
この利用者20.7%の人に、どのような媒体で利用しているのかを尋ねたところ、もっとも多い値を示したのはスマートフォンだった。全体では56.5%、女性に限れば67.3%もの人が、電子書籍をスマートフォンで購読したと答えている。
↑ 電子書籍をどの端末で利用するか(男女別)(複数回答、最近1年間で電子書籍利用者限定)
スマートフォンに続いて多い利用端末はパソコン、その次にタブレット端末。本来専用端末としてもっとも利用されてもおかしくない電子ブックリーダーは13.7%に留まっている。
男女別に見ると、スマートフォンは女性が、パソコンやタブレット型端末では男性の方が利用率が高い。それぞれの端末における生活への密着ぶりがそのまま電子書籍利用の数字となって表れたようだ。特に女性の場合、パソコンにおける利用率はスマートフォンの1/3程度でしかないのが象徴的ではある。
経年推移をたどると……
パソコンとスマートフォンの関係が気になる人も多いと思うので、リサーチバンクが読書に関する調査を始めた2010年以降の経年変化について、次のグラフにまとめておく。古い年代のデータでは一部ぶれ(スマートフォンなどは具体的な機種グループ名で仕切り分けしており、同一属性内のもっとも多い機種グループの数字を適用している)が生じ、実情より小さめに出ている可能性はあるが、大よそ状況の変移はつかみ取れる。
↑ 電子書籍をどの端末で利用するか(複数回答、最近1年間で電子書籍利用者限定)(経年)(一部端末略)
スマートフォンとパソコンの順位が逆転したのは2013年。それまではパソコンによる電子書籍利用者の方が値は高かった。経年でスマートフォンは増加、パソコンは減少が続いているが、これはそのまま端末の利用状況が表れているのに加え、スマートフォン向けのサービスが増加しているのも一因だろう。従来型携帯電話は端末そのものの普及率の低下に加え、対応サービスの数の問題もある。
タブレット型端末利用者も増加の一途をたどっており、早ければ来年にもパソコン利用者率を追い抜く可能性が出てきた。電子ブックリーダーも増えてはいるが、タブレット型端末にははるかに追いつかない。
今後これら端末種類別の力関係がどのような変化を迎えるのか、非常に興味深いところではある。
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