携帯電話は大体自宅で使われている…パソコンと携帯電話、インターネットにアクセスする場所の違い(最新)
2023/11/13 02:35
パソコンは高機能だが機動力の点で今一つであり、それはパソコンの主流スタイルがデスクトップ型からノート型になった現在でも変わらない。一方、その機動力の点で優れたスマートフォンやタブレット型端末が急速に普及しつつあるものの、総合的な処理能力の点ではパソコンに届かない。半ばそれぞれの端末が一長一短的な状態にある現在においては、どのような場所でどれほどまでに、各端末が利用されているのだろうか。情報通信政策研究所が2023年6月23日に発表した「令和4年度 情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査」から、パソコンや携帯電話などによるインターネットの利用状況について確認していくことにする(【情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査】)。
スポンサードリンク
調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間】を参考のこと。また今件においてパソコンはデスクトップ型とノート型パソコンの双方、携帯電話は従来型携帯電話とスマートフォンの双方を意味する。さらに今件の各値はインターネットの平均利用時間であり、単純な端末平均利用時間ではないことに注意を要する。もっとも現在ではパソコンも携帯電話も、事実上インターネット無しにはほぼ利用不可能な端末として存在していることから、状況把握の上では特に問題はない。
次に示すのは、自宅・職場・学校・移動中の4項目に使用場所を区分した上における、それぞれの端末によるインターネットの平均利用時間を年齢階層別に区切ったもの(元の資料ではこの他に「その他」の場所区分があるが、今件では省略している)。また、今データは各年齢階層の全体比であり、利用していない人の平均利用時間はゼロとなるので、利用者そのものが少なければ、必然的に平均利用時間は短いものとなる。
↑ 主要機器によるインターネット平均利用時間と利用場所(平日、機種別・年齢階層別、分)(2022年)
平日は職場や学校にいる機会が多いことから、パソコンの自宅での平均利用時間は後述する休日と比べて短めの年齢階層が多い。職場では20代より30-50代の方が長い時間パソコンと相対していることになる。意外なのは10代・20代の学校での平均利用時間で、ほとんど利用している人がいないこと(学校におけるパソコンの利用の際にはインターネットは遮断されているケースもありうる)。20代は大学生における利用だろうか。さらに移動中のパソコンの時間がほぼゼロであることから、かつては結構な割合で見受けられたノートパソコンを利用しての移動中の作業をする人が、今ではほぼいないことが見て取れる(類似ケースとしてタブレット型端末の操作をよく見かけるようになったが)。
携帯電話は平日においては、自宅での利用が長い(以前の記事で取り上げた時間帯別利用傾向から見るに、多くは朝の出勤・登校時間前、そして夕食後就寝に至るまでの間に利用している)。おおよそ若年層ほど平均利用時間が長いのは、単に利用者における平均利用時間の長さだけでなく、利用率の高さも影響している。その観点では50-60代がやや長めなのは驚きだ。また移動中の利用は20代が一番長くなっている(とはいえ、ほとんど誤差の範囲だが)。
これが休日になると小さからぬ変化を見せる。縦軸の区切りの単位が平日とは異なっていることに注意。
↑ 主要機器によるインターネット平均利用時間と利用場所(休日、機種別・年齢階層別、分)(2022年)
ほとんどの年齢階層でパソコンの平均利用時間は平日より長い。また休日でも職場で利用している動きがわずかに見受けられるが、これは休日出勤の実情が見て取れる。たまたま調査日に出勤した、と思いたいが、日常化している人も中にはいるのだろう。
興味深いのは携帯電話の動向。平日だけでなく休日でも圧倒的に自宅における利用が多い。携帯電話は機動力の高さが買われて利用されているはずだが、実態としては自宅での利用が多分に及んでいることが分かる。機動力が高く移動中や移動先で使えるから、ではなく、移動中や移動先「でも」使えるから、携帯電話は評価されているのが実情のようだ。あるいは長時間の利用ではなく、断続的に、絶え間なく移動中に利用しているため、利用時間としてはカウントされにくいのだろうか。
機動力の高さは「自宅内での」運用のし易さとの点で特に重宝されている、そう考えると今結果も納得ができる。あるいは自宅内での利用は、単に電池切れを恐れての結果かもしれないが。
余談になるが、同様の区切りでタブレット型端末に関する動向を確認したのが次のグラフ。利用率そのものがまだ低く、平均利用時間が短いため、縦軸の区切りが上記グラフとは大きく異なっていることに注意する必要がある。
↑ 主要機器によるインターネット平均利用時間と利用場所(タブレット型端末、年齢階層別、分)(2022年)
タブレット型端末も自宅における利用がメインで、20代の長さが目にとまる。学校では10代、職場では40代が多用しているようだ。
職場での利用はまだ少数だが、利便性と普及度合いから考えると、今後はこれらの値も上乗せを示すことになるのだろう。
■関連記事:
【これはオモシロ・明大がタッチパネルを拡大するシートを開発】
【「ファブレット」なる端末がなぜ受け始めているのか】
【小学生高学年でも1割近くはタブレット型端末を保有している】
【パソコン、携帯、タブレット、そして紙媒体…テレビと一番相性が良いのはどれだろうか】
スポンサードリンク