パソコンと携帯電話の利用状況は1年間でどれだけ変化したのだろう(2014年)
2014/10/17 08:15
先日姉妹サイトにて【若年層のパソコン・キーボード離れその後】などの記事で、若年層、特に10代のスマートフォンやタブレット型端末などタッチパネル方式の情報端末利用が主流となり、パソコンなどのキーボード方式による利用が減少して不慣れになる人が増えているとの話を紹介した。先日詳細版が発表された情報通信政策研究所の「平成25年 情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査」でも「特に10代を中心に、若年層ではパソコンから携帯(スマートフォン)に利用の中心が移っている」「10代については、パソコンからスマートフォンに利用がシフトし、「パソコン離れ」が進んでいる可能性もあり」などの言及が確認でき、注目に値する動きといえる。今回はその詳細版をはじめとした報告書のデータを基に、最新版2013年分とその1年前の2012年分との値を比較し、実際にどの程度の変化が生じているのかを確認していくことにする(【情報通信政策研究所:平成25年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査】)。
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10代ではむしろ減っている? 携帯電話の利用動向
今調査に係わる調査要項は先行記事【「LINEの次にGoogle+が高利用率」総務省の調査結果を検証する】を参考のこと。また今件における携帯電話(従来型とスマートフォンの双方)やパソコンの利用とは、それぞれのハードを用いた多種多様な利用を意味する。例えばパソコンでワンセグ経由にてテレビを観ても、テレビの利用に該当する。また行為者とは特定の時間帯において10分以上連続して該当する端末を利用した人のことを指す。
次に示すのは昨年発表された、つまり2012年分の「情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査」による、携帯電話の時間帯別・世代別行為者率。比較するため先行記事で記した2013年分、つまり直近分も併記しておく。なお2012年では休日分の調査は行われていないため比較が出来ないことから、精査は省略する。
↑ 携帯電話の時間帯別行為者率推移(2012年、平日、世代別)
↑ (参考)携帯電話の時間帯別行為者率推移(2013年、平日、世代別)
ピークの形成時間帯などは変化がないものの、特に20代で行為者率が上昇したように見受けられる。10代はあまり変わらない、むしろピーク時などに限ると漸減したようにも見える。
そこで2012年から2013年の変化を算出し、その推移をグラフにしたのが次の図。スポットライトを当てている若年層の動きが分かりやすいよう、10代と20代のみを抽出したものも別途作成した。
↑ 携帯電話の時間帯別行為者率推移(2012年→2013年の変化、平日、世代別)
↑ 携帯電話の時間帯別行為者率推移(2012年→2013年の変化、平日、10-20代)
世代ごとの傾向はつかみにくいが、60代では概して減少、20代から30代では増加、そして10代ではやや減少時間帯の方が多い感はある。
あくまでも概念論ではあるが、それぞれの世代の各時間帯の行為者率を単純加算することで、1日の総行為度合が導き出せるが、その値を両年で比較すると、2012年から2013年に至っては20代・30代・50代はプラスで10代と60代はマイナスとなり、大体イメージ通りの結果が出る。特に30代は大きなプラスを表しており、携帯電話を使うシーンが増えていることがうかがえる。また、少なくとも10代においては、携帯電話の利用シーンは増えていないどころか少々減っていた。
パソコンではどうだろうか
同じ手法でパソコンの行為者率についても精査を行う。まずは2012年分のグラフ作成。
↑ パソコンの時間帯別行為者率推移(2012年、平日、世代別)
↑ パソコンの時間帯別行為者率推移(2013年、平日、世代別)
明らかに2012年と比べて2013年の行為者率が落ちている。特に10代における午後のピークがほとんど生じていないのが特徴的。
続いて差異の計算結果。
↑ パソコンの時間帯別行為者率推移(2012年→2013年の変化、平日、世代別)
↑ パソコンの時間帯別行為者率推移(2012年→2013年の変化、平日、10-20代)
40代以外は押し並べて減少。特に10代の減り方が著しい。携帯電話同様に世代別の全時間帯における行為者率を加算して比較しても、10代がもっとも大きなマイナス、次いで50代・20代の順となり、プラスは40代のみ、しかも誤差の範囲でしかない。
中でも10代において、夕食後の時間帯における減少度合いは注目に値する。学校から帰宅して夕食を取り、その後就寝までのプライベート時間において、これまでパソコンに向かっていた人の多くがそこから離れたことを意味するからだ。携帯電話でも21時台に似たような動きが確認できるが、その時間帯前後では逆に増えている点を見ると、多分にパソコンから携帯電話に時間の配分をシフトしたようすがうかがえる。
今件は2年間のみの経年変化のため、誤差などの可能性も多分にあることもあわせ、状況を特定するにはまだまだデータ量が不足していることは否めない。とはいえ、特に10代のパソコン離れが進んでいる傾向はつかみ取れる。
来年、2014年分のデータが公開された時点で再度同じようなスタイルで検証を行い、若年層のパソコン離れがどのように進んでいるのかを確認していくことにしよう。
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