親と同居している若年就業者はどれほどいるのだろうか(最新)
2020/01/19 05:19
昨今では核家族化が進み、祖父母とともに暮らす人は少なくなりつつある。一方で成人して職を手にしても、親にせがまれ、職場に近く便利なため、あるいは金銭上の事情などから離れることができず、親と同居する就業者の事例も多々見聞きする。それでは実態として、親と同居している若年の就業者はどれほどいるのだろうか。厚生労働省が2019年12月18日に発表した、2018年時点における若年層(15-34歳)の雇用実態を調査した結果「平成30年若年者雇用実態調査結果の概況」を基に確認していくことにする(【発表リリース:平成30年若年者雇用実態調査の概況】)。
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今調査の調査要件、各種用語の意味については先行記事【若年労働者の割合など】を参考のこと。
次に示すのは若年層(15-34歳)の就業者で構成される調査対象母集団における、親との同居率。例えば総数では47.6%とあるので、若年就業者の47.6%は親と同居していることになる。若年全体に対する割合ではないことに注意。あくまでも働いている人に限定している。
↑ 若年就業者における親との同居率(属性別)(2018年)
男女別では女性の方が同居率は高く、年齢階層別では男女ともに若年層の方が高い。10代後半では男性9割近く、女性は8割強が親と同居しながら働いていることになる。介護による同居の人もいるだろうが、別項目の「自世帯の主な収入源」の項目を見ると、10代ではほぼ同率が「親の収入が世帯の主な収入源」と答えており、多分に稼ぎの少なさから一人暮らしなどができず、親元で暮らしている状況が透けて見える。
この状況も年を取って手取りが増えるに従い、同居率は減っていく。それでも30代前半に至っても、男性では約3割、女性は3割台後半が親と同居している。
興味深いのは雇用形態別。正社員では4割強なのに対し、非正社員では6割近くに及んでいる。親と同居する理由の多分が、手取り不足で同居せざるを得ない非正社員の実態を垣間見せてくれる。ちなみ正社員における「主収入は親の収入」とする回答は17.1%に留まっているのに対し、非正社員では39.6%に達している。
余談になるが、兄弟姉妹(就業している・していないを問わない。未成年でも構わない)との同居率は次の通り。親元に自分だけでなく兄弟姉妹がともにいる事例も多分にあり、親との同居と重なる事例も多々あることに注意。
↑ 若年就業者における兄弟姉妹との同居率(属性別)(2018年)
値そのものは少なめだが、親の同居とほぼ同じ傾向を示している。クロスオーバー的な値は公開されていないものの、親と同居している若年就業者の少なからずが、同じような割合で兄弟姉妹とも同居をしている、しかも若年層でその割合が特に高いことから、未成年の兄弟姉妹と親元で暮らしているようすが想像できよう。
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