じわじわと本は読まなくなりにけり…47.5%は「月に1冊も本を読まない」
2014/09/30 08:18
情報そのものの増大と発信元の多元化に伴い、相対的に既存媒体の一つである紙を用いた本(書籍)は手に取られなくなりつつあるとの話がある。いわゆる「本離れ」というものだが、その実態はいかなるものだろうか。文化庁が2014年9月24日に発表した「国語に関する世論調査の結果」から、その実態をかいまみるデータを確認する(【発表リリース:国語に関する世論調査の結果について】)。
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「国語に関する世論調査の結果」は毎年行われている調査の結果発表だが、今回発表されたデータでは、過去3回分の「1か月に読む本」の冊数に関する結果が提示されている。なお今件における「本」とは電子書籍では無い紙媒体のもので、しかも雑誌や漫画本は含まれないものとする(同調査別項目表記・区分から判断)。また2002年度では選択肢の区分が一部異なっている部分があるため、他年調査との整合性のため「読まない」以外はすべてまとめて「1冊以上」と表記している。
↑ 一か月に読む本の冊数
一か月に1冊も本を読まない人は、2002年度時点で37.6%。それが2008年度には46.1%、そして直近の2013年度では47.5%にまで増加している。本を読む人においては冊数がいくぶん増えており、いわゆる二極化が進んでいるように見受けられる。
このうち「1冊も読まない人」の比率について、各調査年度別に世代区分動向を見たのが次のグラフ。イメージ的には若年層ほど本を読まず、シニア層ほど読むという印象があるのだが、実際には一番読まないのは高齢層、そして一番読書にいそしんでいるのは中堅層という結果が出ている。
↑ 1か月に本を1冊も読まない人の割合(世代別)
中堅層が一番本を読み、シニア層が一番読まない、40代以降は漸次読まない率が増加していくという構造は2002年度から変わるところが無い。そして最近の調査に至るにつれて、どの世代も少しずつ本を読まない層が増えていく実態が分かる。電子書籍の浸透などで若年層の本離れが加速しているように見受けられるが、実のところは全世代で押し並べて、少しずつ本から遠のいている状況である。
これら「1冊も読まない」人の中には、多分に「電子書籍で代替している」との意見の人もいるだろう。しかし電子書籍へのシフトだけでは、2002年度や2008年度の高い値、そして2002年度から2008年度に向けた上昇の説明は不可能(さらにいえば2002年度時点はインターネットの普及もまだまだ序の口だったため「ウェブ上での文章を読む機会が増えたので本を読んでいない」との説明も無理がある)。インターネットの普及は状況の加速化をうながしただけで、中長期的に紙の本離れは進んでいるさなかにある、と見た方が道理は通りそうだ。
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