職は探しやすくなったが経済復興は期待薄…アメリカ国民自身の経済見通し
2014/09/25 11:27
サブプライムローン問題の露呈に始まる、そしてリーマンショックで拡大した直近の金融危機は、ようやく最大の谷場を超え、少しずつではあるが回復基調にあるとされている。経済状態が堅調であるとは言い難いが、少なくとも以前よりはまし、かな? という雰囲気だろうか。そのような現状を、アメリカ合衆国国内の人達はどのように理解把握しているのか、同国の調査機関であるPew Research Centerが2014年9月4日に発表した継続観察レポートの最新版【Views of Job Market Tick Up, No Rise in Economic Optimism】から確認していくことにする。
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今調査の最新版については2014年8月20日から24日にかけてアメリカ国内に住む18歳以上の男女でRDD方式にて選択された人に対し、電話による対話形式でのインタビューで行ったもので、有効回答数は1501人。うち600人は固定電話、残りは携帯電話。携帯電話のうち487人は固定電話なし世帯。調査結果には国勢調査を基にしたウェイトバックがかけられている。
景気の回復動向は、個々人においては手取り額、さらにはその手取りを得られるか否かとの観点で、就業市場が大きな目安となる。職を得やすいか否か、働いているのなら手取りはどの程度か、そして仕事は忙しいか。そこで回答者に自分が住んでいる場所における労働市場の動向を聞いた結果が次のグラフ。2014年8月時点では「仕事を探すのは容易」の人は33%、「難しい」は58%という結果が出ている。
↑ あなたが現在住んでいる場所で仕事を見つけるのは容易か、難しいか(米)
ほぼ2対1の割合で「仕事を探すのは難しい」としている。それだけ求職者が余っている、職そのものが足りない状態にある事を意味する。これでもまだ、金融危機が始まった2007年夏以降の状況悪化ぶりと比べれば随分と回復基調にあることは違いない。内容はともかく、職の見つけやすさの観点では、ほぼ金融危機前までに回復したような、少なくとも一般の人たちにはそのような感触はあることになる。
労働市場はそれなりに回復したように見える。それではアメリカ全体の経済はどのように見られているのだろうか。回答時点から1年後、国全体としての経済はより良くなっていると思うか、あるいは悪くなっているのか、その予想を尋ねた結果が次のグラフ。いわば国民視点からの今後の経済的見通しである。
↑ 今から1年後、アメリカ全体としての経済は今よりよくなっていると思うか、悪くなっていると思うか、現状維持と思うか(米)
雇用と経済が浅からぬ関係にあることを考えれば、労働市場の改善がなされていることから、経済の先行き見通しも良くなるように見受けられるが、実際のところはそうでもない。特に2012年の後半以降は「改善する」の意見が減り、「悪化」「現状維持」が増加しており、景況感では期待できない状況にあることがうかがえる。
直近の動向について、回復具合を尋ねても、回復しているようには見えるが、その力は弱弱しいとの意見が多数を占めており、回復そのものをしていないとする意見も1/4を超えている。手ごたえのある回復感を覚える人は1割にも満たない。
↑ 米経済の回復具合について現状をどのように判断しているか(米、2014年8月)
オバマ現大統領の経済施策に関しても、経年で見る限り次第にその支持率を落としているとの結果も今調査では出ている。また自分自身の世帯の収入でも、支出と比べると立ち遅れているとの意見が多数を占めている。少なくとも同大統領がその座に居続ける2015年までは、現状の停滞感が続くとの認識による結果なのだろう。
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