花王のトップは変わらず、飲料系企業の躍進や携帯系も奮闘(民放テレビCM動向:2014年7月分)
2014/08/13 14:00
多くの小中学生も夏期休暇の時期に入り、子供の昼間視聴率も高まる中で、子供向けのテレビCMも増えているような雰囲気を覚える昨今。映像音声検索技術「AVマーカー」などの各種同社技術を活用して取得されたテレビCMのメタデータを提供するゼータ・ブリッジは2014年8月12日に、そのテレビCMにおける、2014年7月度分の関東民放5放送局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)のオンエアランキングを公開した。今回はその公開データを基に、昨今のテレビCMの動向をチェックすると共に、気になるCMを公式動画を用いて確認していくことにする(【ゼータ・ブリッジ公式サイト】)。
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花王の群抜きトップは変わらず、コカ・コーラの次点も継続中
データの取得場所や、各種データの語彙、今件記事が関東地域のみを対象としている状況の解説、同カテゴリーのバックナンバーは、まとめページの【定期更新記事:関東民放テレビCM動向(ゼータ・ブリッジ)】にて掲載している。
発表資料では「出演者ランキング」をはじめ、複数項目の観点で集計されたランキングが公開されている。詳細はそのリリースで確認してほしいが、最初に今記事でチェックを入れるのは、「企業別オンエアランキング(放送回数順位)」。上位10位に厳選して抽出し、当サイト側でグラフとして生成したのが次の図。
↑ 企業別放送回数ランキング(2014年7月、上位10位)
5月以降「花王がトップで日本コカ・コーラがそれに続く」という形が続いている。しかも花王の群を抜いた出稿量は先月からの継続。同社は元々トイレタリー系や化粧品系を多く取り扱う企業だが、夏に向けた季節商品が多く、ケーキならクリスマス、チョコレートならバレンタインのように、一番の稼ぎ時でもあることから、テレビCMでの公知にも力が入っている。花王という企業名まで認識はしていなくても、個々の商品のテレビCMを繰り返し視聴している人は多いはずだ。季節商品との観点では興和も花王とほぼ同じ理由で攻勢に出ているし、商品区分は大きく異なるものの、日本コカ・コーラやサントリー酒類、アサヒビールなどの飲料系企業が出稿量を増やしているのも納得がいく。
一方携帯電話関連企業としては、ソフトバンクモバイルとNTTドコモが上位入りしている。特にソフトバンクモバイルでは従来のイメージキャラクタ的存在の「お父さん」に加え、新たなキャラクタとして「Pepper(ペッパー)」を出演させ、大いに注目を集めている。宣伝効果としてのみで考えても、十分「Pepper(ペッパー)」への投資に関する採算は取れそうな勢いである。
↑ ソフトバンクモバイルの「お父さん」なCM。短いながらもしっかりとオチがついている。:福岡ソフトバンクホークス CM 「お父さんが再現」篇 本多MX 15秒
これら上位10位の企業のCM出稿量に関して、各放送先のテレビ局ごとに細分化した上で再構築したのが次のグラフ。個々のCMもすべて押し並べて全局に同量ずつ展開されているのではなく、多分に偏りが生じているのが分かる。
↑ 企業別放送回数ランキング(2014年7月、上位10位)(局別)
出稿数ではトップを行く花王は、日本テレビとフジテレビに多めの配分をしている。また類似商品を展開する興和はテレビ朝日への出稿量が極めて多い。これは主に提供番組があるのか否かがその理由となる。
一方、第二位のポジションにある日本コカ・コーラに代表されるような、局毎の出稿回数にほとんど差が無い企業も少なくない。提供番組が無い、商品内容として局ごとのウェイトをかける必要が無いなど、理由はさまざま。特定局の番組をよく見ている人には、「そういえばあの企業のCMを良く見かけるな」的なことも思い返されるかもしれない。
有名人が登場するとつい目が留まる、あのCM
企業別の区切りではなく、個別商品のCM別に算出したランキングは次の通りとなる。
↑ 商品別オンエアランキング(放送回数、2014年7月)
企業別では第二位に大きく差を付けてトップについている花王。しかし商品区分にするとトップテンには顔を見せていない。これは上記で「企業名までは認識しなくとも」との言及からも分かる通り、多種多様な商品のCMを同時期に大量出稿しているため。
一方で似たような商品属性を持つ興和では、「パワードコーヒー」がトップについている。
↑ 色々な意味で興味深い、マーク・パンサーによる「パワードコーヒー」の解説CM。:コーワ パワードコーヒー マーク・パンサー テレビCM『とても美味しい』篇
↑ おお、あの人が!? とびっくりさせられる著名人シリーズ。:コーワ パワードコーヒー ブルース・ウィリス テレビCM 『ブルース』篇
これは「パワードコーヒー」をアクションスターがプッシュするという、少々驚かされるタイプのCMで、実は4月から展開が始まっている。新バージョンとして最近加わったのは上記映像にあるマーク・パンサー氏によるもの。楽曲まで担当するという力の入れようである。これだけ強力な印象を植え付けられたら、店頭でその商品の姿を見れば「ああ、あれか。それでは一度……」という動機づけには十分なパワーとなる。
また、昨今のスマートフォンのゲーム界隈では大きな注目を集め活力もみなぎっているように見えるミクシィでは、その活力の源となるモンスターストライクのCM展開も著しい。
↑ ゲームの基本システムを別のゲームに無理やり当てはめてギャグ形式で見せるCM。インパクトは大きい。:モンスターストライク(モンスト)TV CM 囲碁篇
↑ 厳密には8月からの提供なので今回のランキングには反映されていないが、大きな反響が予想される、LINEのメインキャラクタとのコラボCM。勢いがついている証拠でもある。:モンスターストライク(モンスト)TV CM LINEコラボ 教室篇+パジャマパーティ篇+焼肉屋篇
特に下の映像にあるLINEのキャラクタとのコラボは、ターゲット層をほぼ同じくしているだけにその成果も大きなものが期待できる。8月の動向にも反映されることだろう。
ランキング上ではみずほ銀行の「サマージャンボ宝くじ」の姿も確認でき、まさに夏本番を思わせるものがある(こちらは公式の動画が無く、紹介はできない)。
季節商品と携帯関連アイテムが上位を独占する形となった7月のテレビCMだが、同時にミクシィの「モンスト」に代表されるように、子供の視聴がされやすい時期であることを意識したCMが増えているのも特徴の一つ。来月の8月も環境的には同じ状態となるため、CM構成もまた似たようなものとなるだろう。
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