じんわり増える夫の家事お手伝い率(最新)

2019/10/07 05:12

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2019-0920兼業主婦の増加に伴い、夫の家事参加の一層な積極化をとの雰囲気が強まりつつある。一方で古来からの習慣や就業時間の関係から、夫の家事の手伝いを敬遠する向きがあるのも事実。それでは実際、夫はどの程度家事に参加しているのだろうか。国立社会保障・人口問題研究所が5年おきの定点観測調査の最新版として2018年に調査を実施し、2019年9月13日に発表した全国家庭動向調査の第6回分の結果から、その実態を確認していくことにする(【発表リリース:全国家庭動向調査】)。



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夫の家事参加率は増加中


今調査の調査要項は先行記事の【夫婦別姓賛成派、夫がいる妻では賛成派過半数(最新)】を参考のこと。

次に示すのは、夫が週に1回から2回以上、家事(今件では育児は含まれない)を行ったとする回答率を経年で記したもの。「週に1回から2回以上」なので、例えば平日は手がけなくとも土日に実行すれば該当するため、「平日は就業で忙しいから家事の手伝いはしないが、土日は積極的に家事をしてくれる」のようなパターンの場合、該当することになる。なお空白部分はその当時、まだ該当項目の調査は実施していなかったことを意味する。

↑ 家事の種類別にみた週1-2回以上家事を遂行した夫の割合
↑ 家事の種類別にみた週1-2回以上家事を遂行した夫の割合

挙げられた項目に限れば、家事の遂行率は概して上昇を続けている(「炊事」は一度大きな減少を示した上で再上昇しているが)。つまり夫の家事手伝いが年々積極的になりつつあることを意味する。

値が特に高いのは「ゴミ出し」「日常の買物」「食後の片付け」「風呂洗い」などで、これらは時間がかかる、移動が必要になる、体力を要求されるものの、技術的なハードルは低め。夫が手掛けてもそれなりにこなしやすく、失敗によるリスクも低い。夫の家事参加としては適したテーマではある(「炊事」や「洗濯」とは対照的)。もっとも最近では洗濯機の性能の向上などを受けてだろうか、「洗濯」も高い値を示しつつある。それだけ妻の負担が減る機会が高まっている実情を意味する。

一方見方を変えると、週1-2回程度の「ゴミ出し」ですら、5割近くしか夫は手伝っていないことになる。作業ハードルを考えると、まだまだ低いと評せざるを得ない。

妻の年齢階層別や夫の帰宅時間別に見ると


結果報告書では夫の家事手伝い率に関して、いくつかの属性区分による集計結果も掲載されている。そのうち気になるものを確認していく。まずは妻の年齢階層別。間接的には(歳が離れた夫婦はあまり想定できないことを考えれば)夫の年齢階層別でもあると見てもよいだろう。

↑ 妻の年齢階層別にみた週1-2回以上家事を遂行した夫の割合(2018年)
↑ 妻の年齢階層別にみた週1-2回以上家事を遂行した夫の割合(2018年)

「日常の買物」など一部で例外的な動きも見られるが、おおよそは「若年層ほど高い値」「年上になるに連れて低い値」傾向にある。理由はいくつか考えられるが「妻が年上になるに連れて夫は仕事が忙しく割ける時間が無い、または休日も疲れて家事をしたくない」「年上ほど夫は古い価値観にとらわれて家事を敬遠する」などが挙げられる。夫婦間の付き合い方、ライフスタイルそのものにおける世代間格差が生じているのも、年齢階層別で違いが生じる一因として挙げられよう。

「夫が忙しく、疲れてしまい、家事を敬遠する」との可能性は、次の夫の帰宅時間別の集計結果からも推測できる。

↑ 夫の帰宅時間別にみた週1-2回以上家事を遂行した夫の割合(2018年)
↑ 夫の帰宅時間別にみた週1-2回以上家事を遂行した夫の割合(2018年)

上記にある通り平日は仕事で時間が割けなくとも、土日に手掛ければ「週1-2回以上」のハードルはクリアできるはずなのだが、それでもなお帰宅時間が遅いほど、夫は家事手伝いをしなくなる傾向がある。土日も残業や仕事上の付き合いがあるのか、疲労困ぱいで休んでいるのかは今件調査項目だけではつかみきれないが、仕事の忙しさが家事手伝い率と大きな相互関係にあることは否めまい。

唯一「食事片付け」は帰宅時間が遅いほど、手伝い率は高い。食事の片付けをするのには家族が揃って食事をすることが前提になるので、せめて仕事の無い土日には家族揃って食事を取り、後片付けをするという具合なのだろうか。



単純作業に近く、技術をあまり要しない家事ならば、夫でも容易に手伝いをすることは可能。あとはいかに時間を抽出できるかと、やる気にかかっている。ちょっとした配慮、分担でも、妻には大いに役立つはず(逆に仕事を増やすようなヘマばかりをしたのでは問題だが)。

「ゴミ出し」ですら5割以上の夫が、週1回から2回ですらしていないのは、やはり妻にとっては「もうちょっと、手伝ってくれないかな?」と愚痴をこぼさざるを得ない状況には違いない。


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