平日の携帯ネット平均時間は小学生1時間半・中学生2時間10分、そして学力テストとの関係はいかに!?(最新)

2022/08/25 03:05

このエントリーをはてなブックマークに追加
2022-08121日は誰でも24時間しか与えられないため、何か一つの物事に費やす時間が増えれば、当然他の時間を減らす必要がある。大人ならばある程度自制も利くが、子供はつい自分の好きなことに注力してしまい、本来しなければならないことがおろそかになる懸念が生じる。そのような懸念を引き起こす、最大の要因として問題視されているのが、従来型携帯電話やスマートフォンを用いたインターネットへのアクセス(携帯ネット)。今回は文部科学省が2017年8月29日に発表した全国学力・学習状況調査の最新版による公開値を基に、小中学生の携帯ネットの利用実態と、学力テストとの関係について確認をしていくことにする(【発表リリース:令和4年度全国学力・学習状況調査の報告書・集計結果について】)。

スポンサードリンク


携帯電話経由の1時間以上のネット率、小学生は50.6%・中学生は75.6%


今調査の調査要項は先行展開記事の【増加傾向にある小中学生のテレビゲーム時間、そして学力テストとの関係は…!?(最新)】を参考のこと。

今調査ではゲームで遊ぶ時間は以前から調査が行われているが、携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォン双方)を用いてインターネットにアクセスしたり、メールや通話をする利用性向は、2014年度分から2017年度までの実施のため、経年データが4年分しか無い。さらに2018年度以降は実施されておらず、2022年度には実情に合わせる形で「従来型携帯電話やスマートフォンでSNSや動画視聴など(ゲームや学習は除く)をする利用性向」に設問が改められている。内情はほぼ同じのため、精査などでは同じものとして取り扱う(両者とも「ゲームや学習の利用時間」以外の「携帯電話の利用時間」との設定)。

小学生は携帯電話そのものを持っていない、あるいは所有していてもインターネットにアクセスする許可をもらっていない事例が多く、中学生と比べると随分と低い値にとどまっている(今件は保有していない人も含めた、全体の平均値である)。なお1時間未満の回答選択肢には「持っていない」以外に「30分未満」「30分から1時間未満」がある。

↑ 平日に従来型携帯電話やスマートフォンでSNSや動画視聴など(ゲームや学習は除く)を1時間以上する人の割合(学校種類別)
↑ 平日に従来型携帯電話やスマートフォンでSNSや動画視聴など(ゲームや学習は除く)を1時間以上する人の割合(学校種類別)

↑ 平日に従来型携帯電話やスマートフォンでSNSや動画視聴など(ゲームや学習は除く)をする平均時間(学校種類別、時間)
↑ 平日に従来型携帯電話やスマートフォンでSNSや動画視聴など(ゲームや学習は除く)をする平均時間(学校種類別、時間)

今件ではインターネットにアクセスしていても、その利用理由がゲームや学習目的だった場合は含まれていない。ゲームに関しては先行する記事「増加傾向にある小中学生のテレビゲーム時間、そして学力テストとの関係は…!?(最新)」で記載の通りで、昨今のゲームが多分にインターネットへのアクセスを前提とするものであることを考えると、総合的なネットアクセス性向はもう少し高い値となる。

とはいえ、中学生では3/4ほどが平日でも1日1時間以上SNSや動画視聴などを行っており、平均時間は2.17時間、つまり130分ほどに達しているのが実情。ちなみに中学生では全体の15.4%が「1日4時間以上SNSや動画視聴などをしている」と回答している。今件調査は小中学生限定だが、仮に高校生にも同様の調査をすれば、当然もっと高い値となるに違いない。

携帯電話でSNSや動画視聴などの時間が長いと学力テストの正答率は下がる!?


冒頭でも触れた通り、時間の限りは誰もが同じなため、携帯電話でのSNSや動画視聴などの時間が長ければ長いほど、他の時間が削られてしまう。そしてその行為は何らかの形でひずみを生むことになる。保護者が気になるひずみの一つが学力にあるわけだが、少なくとも相関関係においては次のグラフの通り、「携帯電話でのSNSや動画視聴などの時間の時間が長い子供ほど、学力テストの正答率が低い」結果が出ている。

↑ 平日に従来型携帯電話やスマートフォンでSNSや動画視聴など(ゲームや学習は除く)をする平均時間と教科の平均正答率との相関関係(小学生)(2022年度)
↑ 平日に従来型携帯電話やスマートフォンでSNSや動画視聴など(ゲームや学習は除く)をする平均時間と教科の平均正答率との相関関係(小学生)(2022年度)

↑ 平日に従来型携帯電話やスマートフォンでSNSや動画視聴など(ゲームや学習は除く)をする平均時間と教科の平均正答率との相関関係(中学生)(2022年度)
↑ 平日に従来型携帯電話やスマートフォンでSNSや動画視聴など(ゲームや学習は除く)をする平均時間と教科の平均正答率との相関関係(中学生)(2022年度)

先行するゲーム関連の話同様、これは直接の因果関係、つまり「携帯電話でのSNSや動画視聴などの時間が長いのが原因で、学力テストの正答率が低くなる」を意味しない。あくまでも「携帯電話でのSNSや動画視聴などの時間が長い子供ほど、正答率が低くなる傾向がある」に過ぎない。単純に元々低正答率を出す学力の子供ほど、携帯電話でのSNSや動画視聴などの時間が長い場合もありうる。

とはいえ、少なからぬ因果関係も想起できる関係に、携帯電話でのSNSや動画視聴などの時間と学力があることにも違いはない。今件結果はその相関関係を立証するとともに、因果関係についての可能性を一つ積み増すものに違いない。ここまできれいなカーブを描いている以上、その事実は否定できまい。

一方、携帯電話を持っていない人の値が、「30分未満」より低いのも興味深いところ。やはり相関関係であることに留意が必要だか、「利用を禁止するよりは短時間ではあるが利用させた方がよい」との大義名分のヒントとなるかもしれない。


■関連記事:
【一心同体、ネット依存、試験に失敗…高校生のスマホ生活、その悪影響の実態を探る】
【1/7の子供は「携帯しながら食事OK」…子供視線からのながらスマホ・携帯許容状況】
【高校生と大人から見た、ながらスマホで許せる・してしまう行為】
【「歩きスマホ」規制賛成2割・反対3割、規制されても続ける人3割強】
【注意され成績が落ちて寝不足で…高校生が実感した、携帯使い始めてからのヤバいこと】

スポンサードリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|X(旧Twitter)|FacebookPage|Mail|RSS