スマホにパソコン、タブレット…年々早まる「はじめてのネット端末利用」(2014年)
2014/09/05 11:30
スマートフォンやタブレット型端末、通信機能を有する家庭用ゲーム機などが世間一般に浸透するに連れ、子供を持つ保護者の頭を悩ませる問題の一つが「いつ頃から子供にネット端末を触れさせるか」。過去に類似事象が無く、保護者自身もそれらの利用には不慣れな場合も多々あることから、まさに手さぐり、試行錯誤な状態にある。今回は総務省が2014年7月15日に公開した、【情報通信白書】の最新版(2014年版)の公開値から、現状を確認していくことにする。
スポンサードリンク
次に示すのは白書内で公開されている、「子どものICT利活用能力に係る保護者の意識に関する調査研究」を基にした、各情報通信端末を子供が小学校入学前に利用しはじめた割合。2014年2月から3月にかけて実施された調査を基にしており、調査対象母集団は小学校1年生から高校3年生を第一子に持つ保護者。各学年・子供の性別区分で200人ずつ、合わせて4800人(2×200×12)が対象。例えば携帯電話・PHSは5.3%とあるので、調査対象母集団全体のうち5.3%の子供は、小学校に入学する前にすでに携帯電話などの利用を開始していることになる。なお今件における「利用」は、専用端末を有する「占有」に限らず、必要な時に保護者などから貸し与える事例も含まれる。
↑ 各情報通信端末を子供が小学校入学前に利用開始した割合
昨今では通信機能も必要とする子供向けのソフトが多いこともあり、ゲーム端末の利用率は高く12.5%。次いでデスクトップパソコン、ノートパソコンが続いているが、これはいずれも保護者の監視下で利用できることがポイント。子供向けとして提供される事例も増えているスマートフォンは2.0%、タブレット型端末は1.3%と、少なめに見える。
これは調査対象母集団全体の平均値。これを各子供の現在の年齢=学年別に見ると、興味深い動きが確認できる。もし上記グラフの平均値が本当に平均的な状態を表しているのであれば、現在の子供の学年が違っても、似たような値を示すはずだが……
↑ 各情報通信端末を子供が小学校入学前に利用開始した割合(子供の現在学年別)
一部イレギュラーな部分もあるが、概して子供の年齢が幼いほど、高い値が出ている。つまりこれは昔よりも今の方が、ネット端末に触らせるタイミングが早まっていることを意味する。例えば携帯電話(ここでは従来型携帯電話を意味する)は現在の高校3年生においては小学校前に触った経験を持つ人は1.0%でしかなかったが、現在の小学校1年生では15.8%に達している。スマートフォンの場合における、そもそも論として高校3年生の子供が小学校1年生の時点で市場にほとんど出回っていなかった事例のような「対象端末自身の普及度合い」も多分にあるが、子供の「はじめてのネット端末利用」が年々早まる傾向に違いは無い。
特にこの数年、具体的には現在の小学校4年生から小学校1年生に渡る3年から4年の伸び率が著しい。タブレット型端末やスマートフォン、ノートパソコンのような、機動力の高い端末で動きが顕著であるので、その機動性を活かして幼い頃からこれらの端末に触れさせて、インターネットに慣れさせている状況がうかがえる。
今件調査項目は白書ベースでは経年調査の対象ではないが、昨今の子供に対するインターネット環境の浸透ぶりをかんがみるに、非常に興味深い結果に違いない。調査の大本は総務省情報通信政策研究所だが、是非とも来年以降も引き続き、同様の条件での調査を望みたいところだ。
■関連記事:
【家庭内での子供のインターネット利用状況(2011年分反映版)】
【インターネットを使う子供を持つ母親、「有害サイト対策」は5割強】
【子供にパソコンを使わせるメリット、そして不安なこととは】
【PCメイン、迫るスマホ…家庭内での子供のインターネット利用状況(2013年発表)】
【10歳未満の子供達のネット環境・今事情】
スポンサードリンク