2025年11月度外食産業売上プラス8.7%…48か月連続の前年比プラス
2025/12/25 15:14
日本フードサービス協会は2025年12月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2025年11月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス8.7%を示した。曜日まわりによる土日の多さがファストフードやレストランの客数を押し上げ、インバウンド需要や客単価の好調さ等を受け、全体としての売上は伸びた(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。スポンサードリンク
今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が221、店舗数は3万6721店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は増加、店舗数も増加している。
全業態すべてを合わせた2025年11月度売上状況は、前年同月比で108.7%となり、8.7%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で48か月連続の増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は1日多く、土曜日も1日多く、売上の観点ではプラス。気象環境では雨天日は東京も大阪も少ない。平均気温は東京・大阪ともに低い。客足への影響判断は微妙なところ。
新型コロナウイルス流行に関しての5類移行やインバウンドの回復傾向などの動きから人の流れは増加し、これらが外食需要の高まりとともに売上増につながっている。他方、物価高騰の影響から客足が引っぱられる業態が生じている。結果として客数は全体では前年同月比でプラス4.2%を示した。一方で客単価はプラス4.4%となり、結果として総合売上はプラス8.7%に。
業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から継続する形で56か月連続のプラス(プラス8.8%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、ファストフード全体をけん引するかのような好調さを示している。今回月では「期間限定商品やお得なランチのキャンペーンなどによる集客(が奏功)」と説明されている。
なおマクドナルド単体の2025年11月における営業成績はプラス5.6%(売上、既存店、前年同月比)を示している。客数はプラス2.8%、客単価はプラス2.7%。
牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス6.3%、客単価はプラス7.4%となり、売上はプラス14.1%。麺類は客数プラス2.0%、客単価はプラス3.6%となり、売上はプラス5.7%。和風は「新メニューの好評と値引きキャンペーンによる集客増」との説明がある。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がプラス4.2%。「お得な期間限定メニューなどは好評であったが、客数低迷が続き、客単価に支えられて」との説明が。
ファミリーレストラン部門は客数ではプラス5.0%、客単価はプラス4.1%、売上はプラス9.4%。「洋風」では「低価格業態の好調とメディア露出よる集客増もあり」との説明がある。
パブ/居酒屋部門では、パブ・ビアホールの売上はプラス1.6%、居酒屋の売上はプラス3.6%。部門全体では売上はプラス3.0%を示した。「平日の少ない曜日まわりと、一部で中国人訪日客の予約キャンセルが影響したことに加えて、忘年会シーズンを控えて客足があまり伸びなかったこともあり」とある。
ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はプラス7.0%、客単価はプラス9.9%で売上はプラス9.8%を示した。「引き続き平日ランチが好調で、土日数の多い曜日回りのなか週末の集客が増加」との説明がある。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2025年11月分)

↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2025年11月)
客単価底上げで
売上に貢献。
2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比でプラスを示している。
ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。
ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとはうって代わり、低迷感が否めない状態となった。中食に多分に客を奪われている感はあった。もっともこの数年でその苦境からは脱しているようにも見受けられる。
現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけではない。牛丼チェーン店の吉野家が展開している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に合わせた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。
新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても(場合によっては自治体からの要請に従う形で)時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、リモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続していた。しかし業界側では2024年7月発表分で「2019年同月比につきましては、新型コロナの5類移行から満1年が経過したため、2024年5月度を以て掲載を終了いたしました」とコロナ禍前との比較値を非公開とし、それが今回月も継続している。少なくとも数字の上では、状況は改善しているようだ。解説コメントにもそれを裏付ける文言が踊る。
次回月の2025年12月分では、今回月に続き行動制限などは無く、平均気温は全国的に高め。降水量は中国・四国・九州・関東の一部を除き多め。客足はある程度活発化するかもしれない。他方、原材料価格の高騰などは継続中であり、また人員数不足も深刻化しており、ビジネスの上では大変な状態が続くに違いない。
↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである
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