2024年5月度外食産業売上プラス6.3%…30か月連続の前年比プラス

2024/06/25 15:11

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2024-0625日本フードサービス協会は2024年6月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2024年5月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス6.3%を示した。人流の活性化や円安による訪日外客需要が後押ししているが、国内消費者は物価高騰に頭を抱えて高品質・値ごろ感の商品へと傾注しつつある(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が229、店舗数は3万7136店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は減少、店舗数は増加している。

全業態すべてを合わせた2024年5月度売上状況は、前年同月比で106.3%となり、6.3%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で30か月連続の増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は変わらず、土曜日は1日少なく、売上の観点ではマイナス。気象環境では雨天日は東京は少なく、大阪は変わらず、平均気温は東京が高く、大阪は低い、客足への影響判断は微妙なところと判断できる。

新型コロナウイルス流行に関しての5類移行やインバウンドの回復傾向などの動きから人の流れは増加し、これらが外食機運の高まりとともに売上増につながっている。今回月では円安による訪日外客需要は旺盛なままだったが、国内消費者は物価高騰が悩みどころで、高品質で値ごろ感のある商品への支持が強まっている。

結果として客数は全体では前年同月比でプラス3.7%を示した。一方で客単価はプラス2.6%となり、結果として総合売上はプラス6.3%に。

業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から継続する形で39か月連続のプラス(プラス7.0%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、ファストフード全体をけん引するかのような好調さを示している。今回月では「12日の母の日以降減速の動きも見られたが、人気アニメとのコラボやテレビ露出などが奏功」と説明されている。

なおマクドナルド単体の2024年5月における営業成績はプラス4.9%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示している。客数はプラス2.3%、客単価はプラス2.5%と堅調な伸び。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス8.8%、客単価はプラス1.8%となり、売上はプラス10.7%。麺類は客数プラス0.6%、客単価はプラス7.3%となり、売上はプラス8.0%。麺類は「連休明けも外国人団体客の増加、気温が高めの日の冷たい商品の売れ行き好調」との説明がある。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がプラス2.1%。「物価高騰に対応した低価格路線がとくに西日本地域で好調」とある。

ファミリーレストラン部門は客数ではプラス3.7%、客単価はプラス3.2%、売上はプラス7.0%。新型コロナウイルス流行前との比較となる5年前同月比でも増加を示している(売上プラス5.5%)。

パブ/居酒屋部門では、パブ・ビアホールの売上はプラス4.4%、居酒屋の売上はプラス6.1%。部門全体では売上はプラス5.5%を示した。「「パブ・ビアホール」で都心部の人流が戻りつつあり、ターミナル駅周辺での集客増が目立ち」「「居酒屋」は夜遅くの集客の伸び悩みがあるものの、宴会規模は小さめだが海外からの来客も見られ」とある。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はプラス3.2%、客単価はプラスマイナス0.0%で売上はプラス3.3%を示した。「連休後にやや客足が落ちたが、法人利用の鈍い回復を近畿地方をはじめとしたインバウンド需要が補い」との説明がある。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2024年5月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2024年5月分)

↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2024年5月)
↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2024年5月)

↑ 外食産業売上5年前同月比(業態別)(2024年5月)
↑ 外食産業売上5年前同月比(業態別)(2023年5月)

人流活性
訪日外客需要強し。
国内客需要は節約志向。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種公開値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比でプラスを示している。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとはうって代わり、低迷感が否めない状態となった。中食に多分に客を奪われている感はある。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも精肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているようだ。

吉呑み現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけではない。牛丼チェーン店の吉野家が展開している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に合わせた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

テーブルにもソーシャルディスタンス新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても(場合によっては自治体からの要請に従う形で)時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、リモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。疫病の影響である以上、仕方がないとはいえ、衝撃的な値には違いない。

特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続している。コロナ禍前の5年前同月比では燦燦たる状況である(5年前同月比で売上高はマイナス28.3%。もっとも店舗数もマイナス31.7%と驚くべき値を示している)。昨今では新型コロナウイルスの流行による影響は少しずつ緩和の動きにあり、団体客も戻りを見せ始めているが、店舗の人員数不足が顕著化しており、とりわけピーク時間帯では著しい不足感が生じているとある。今回月ではさらに「物価高騰に悲鳴を上げる国内消費者はより一層の節約志向に傾き、高品質で値頃感のある商品への支持が強まっている」との言及もある。

次回月の2024年6月分では、今回月に続き行動制限などは無く、特に東日本と中部・中国の日本海側で平年より気温が高い。降水量は北海道北部や関東以南多い。客足はいくぶん抑えられるかもしれない。他方、原材料価格の高騰などは継続中であり、また人員数不足も深刻化しており、ビジネスの上では大変な状態が続くに違いない。


↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである



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