2026年2月度外食産業売上プラス6.6%…51か月連続の前年比プラス
2026/03/25 14:30
日本フードサービス協会は2026年3月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2026年2月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス6.6%を示した。年始需要の反動でひかえめだった客足も月後半には戻り、各社の積極的なお買い得キャンペーンの実施も奏功して客足を後押し。結果として売上は伸びた(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。スポンサードリンク
今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が227、店舗数は3万7075店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は減少、店舗数も減少している。
全業態すべてを合わせた2026年2月度売上状況は、前年同月比で106.6%となり、6.6%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で51か月連続の増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は変わらず、土曜日も変わらずで、売上の観点では影響なし。気象環境では雨天日は東京は多く大阪は少なく、平均気温は東京・大阪ともに高い。客足への影響判断は微妙にプラス。
新型コロナウイルス流行に関しての5類移行やインバウンドの回復傾向などの動きから人の流れは増加し、これらが外食需要の高まりとともに売上増につながっている。今回月では年始需要の反動から低迷気味だったがそれも月後半には回復、さらに各社の積極的なお買い得キャンペーンが奏功して客足をけん引し、結果として客数は全体では前年同月比でプラス3.9%を示した。一方で客単価はプラス2.6%となり、結果として総合売上はプラス6.6%に。
業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から継続する形で59か月連続のプラス(プラス7.3%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、ファストフード全体をけん引するかのような好調さを示している。今回月では「日替わりのお得商品キャンペーンや期間限定商品の好調」と説明されている。
なおマクドナルド単体の2026年2月における営業成績はプラス8.0%(売上、既存店、前年同月比)を示している。客数はプラス6.9%、客単価はプラス1.1%。
牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス4.6%、客単価はプラス6.3%となり、売上はプラス11.1%。麺類は客数プラス4.9%、客単価はプラス0.8%となり、売上はプラス5.7%。和風は「新商品の好調や各社値引きキャンペーンが奏功」との説明がある。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がプラス3.9%。「回転寿司が引き続き食べ放題店舗の拡充が客数増」との説明が。
ファミリーレストラン部門は客数ではプラス2.7%、客単価はプラス3.6%、売上はプラス6.3%。「洋風」では「低価格業態の好調が続いているほか、各社コスパ重視のメニュー改定にも積極的」との説明がある。
パブ/居酒屋部門では、パブ・ビアホールの売上はプラス3.6%、居酒屋の売上はプラス3.8%。部門全体では売上はプラス3.7%を示した。「年始からの新年会需要が一巡して月前半は集客に苦戦したが、月後半に盛り返し」とある。
ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はプラス2.1%、客単価はプラス0.4%で売上はプラス2.5%を示した。「週末などの家族客を中心にしたハレ需要は比較的堅調だったものの、一部では選挙期間中の接待控えを反映してか法人宴会を中心に客足は伸びず」「中国人団体客の減少は他のインバウンドでカバーされたが、春節の中国人団体客が大きな割合を占めていた一部店舗では、売上に影響」との説明がある。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2026年2月分)

↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2026年2月)
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種公開値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。
2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比でプラスを示している。
ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。
ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとはうって代わり、低迷感が否めない状態となった。中食に多分に客を奪われている感はあった。もっともこの数年でその苦境からは脱しているようにも見受けられる。
現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけではない。牛丼チェーン店の吉野家が展開している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に合わせた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。
新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても(場合によっては自治体からの要請に従う形で)時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、リモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続していた。しかし業界側では2024年7月発表分で「2019年同月比につきましては、新型コロナの5類移行から満1年が経過したため、2024年5月度を以て掲載を終了いたしました」とコロナ禍前との比較値を非公開とし、それが今回月も継続している。少なくとも数字の上では、状況は改善しているようだ。解説コメントにもそれを裏付ける文言が踊る。
次回月の2026年3月分では、今回月に続き行動制限などは無く、平均気温は中国・四国地方で低く、それ以外で高め。特に北海道で高い。降水量は北海道で多めで、それ以外では少なめ。特に関東・東北の太平洋側では少ない。客足の動向はやや底上げされるかもしれない。他方、原材料価格の高騰などは継続中であり、また人員数不足も深刻化しており、ビジネスの上では大変な状態が続くに違いない。
↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである
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