日本は他国と比べて長い方? それとも…スマホやパソコンの利用時間の国際比較(2014年)

2014/09/02 11:30

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この数年におけるスマートフォンの急速な普及に伴い、その利用時間の長さが問題視されるようになった。またその他デジタル系機器の接触時間や、時間シェアの奪い合いの対象となるテレビや新聞の視聴時間も大いに注目されている。それらの時間は他国と比べるとやはり長いものなのだろうか、それとも日本はむしろ短いのだろうか。総務省が2014年7月15日に公開した、最新版となる2014年度版の【情報通信白書】の公開情報から、その実態を確認していくことにする。



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スマホの存在がキーポイントな平均利用時間


次に示すのは総務省が2014年3月に実施した「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」の結果をベースにしたもの。男女・10年区切りの年齢で均等割り当て(10代は16歳以上、50歳以上はひとまとめ)。各国とも1000人を対象としたインターネットアンケート調査によるものである。

それによると日本における携帯電話の私用での利用時間は一日平均で47.3分。意外に短いように見えるが、若年層だけでなく中堅・シニア層まで含めていることを考えると妥当な線。あくまでも社会全般としての平均値なのだから、むしろ多い位。

↑ 主要国別・1日あたりの端末などの接触時間(分)
↑ 主要国別・1日あたりの端末などの接触時間(分)

自宅でのパソコンの利用時間は2時間強、タブレット型端末の利用時間は12分。タブレット型端末の時間の短さは、多分に普及率そのものの低さがネックとなっているようだ。

これを諸外国と比較すると、パソコンは中ほどの順位だが、パソコン以外の項目では利用時間がかなり短い国となっている。タブレット型端末の件で顕著だが、日本ではスマートフォンの普及率の低さがそのまま携帯電話の利用時間の短さ、そしてパソコンの利用時間のそこそこの長さにつながっているようだ。スマートフォンの普及率がとりわけ高いことで知られている韓国やシンガポールにおける携帯電話の利用時間の長さとパソコンの短さ、そして日本国内限定でもスマートフォン所有者に限ると韓国やシンガポールと同じような傾向を示していることが、その裏付けになる。

見方を変えるとパソコンや携帯電話の利用性向は、少なくとも今回取り上げられた諸外国ではさほど大きな違いは無く、むしろ各種端末の普及度合いに大きな違いが生じていることが分かる。同時に各国ともスマートフォンの普及に伴い、パソコンの利用(時間)の一部がスマートフォンにシフトしていることがうかがえる。

非デジタル系の動向は?


パソコンや携帯電話、タブレット型端末は多分にそれらの普及率が利用時間に影響を与えていることが分かった。それでは非デジタル系メディアはどのような違いがあるのだろうか。これも色々と推測できそうな結果が出ている。

↑ 主要国別・1日あたりの端末などの接触時間(分)(従来型媒体)
↑ 主要国別・1日あたりの端末などの接触時間(分)(従来型媒体)

日本では良くテレビの観すぎ云々という話を見聞きするが、諸外国と比較すると長くも無く短くも無く、むしろ欧米と比べれば短い方であることが分かる。また新聞や書籍の購読時間も短い。

興味深いのはテレビの視聴時間。上記にある通りスマートフォンの普及率が高く利用時間も長い韓国やシンガポールでは、テレビの視聴時間もそれに連動するかのように短い。そして日本においても、スマートフォン所有者はそれに近い動きを示している。日本の各種調査ではテレビ番組とスマートフォンで利用するソーシャルメディアの連動性・親和性の高さが注目されているが、視聴時間という点では少なくともシェアの奪い合い的な関係にありそうだ。

一方で新聞や書籍の購読時間は、日本では概して低め。スマートフォン所有者はさらに低い傾向にある。今回取り上げた国の中での限定ではあるが、日本は他国と比べて紙媒体離れが進んでいるようではある。



今件調査は「通信情報白書」の特記事項的調査のため、定点観測的な調査予定はない。とはいえ、非常に興味をそそられる結果が出ており、是非とも来年の白書でも同じ条件で継続調査を願いたいものだ。各国のスマートフォンの普及に伴う時間の変化、紙媒体離れの度合いを、経年変化で知ることが出来るだろう。


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