スマホの利用ぶりやソーシャルメディアの影響力…ネット通販の現状を探る(2014年)
2014/08/31 19:30
インターネットの普及に連れて多くの人が用いるようになったサービスの一つに、インターネット通販(ネット通販)がある。カタログ通販のインターネット版のようなものだが、検索性・比較性に優れ、多様なサービスを縦断的に利用でき、しかも利用時間の制限が無く深夜でも利用できるなど、インターネットの長所をフルに活用できるのが大きな魅力。そのネット通販とスマートフォンとの関係や、ソーシャルメディアの影響力、そして具体的にどのようなジャンルの商品購入でネット通販がよく使われているかに関して、総務省が2014年7月15日に公開した、最新版となる2014年度版の【情報通信白書】の公開情報から、現状を確認していくことにする。
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スマホとソーシャルメディアとネット通販との関係
次に示すのは過去1年間にネット通販を使った経験がある人における、スマートフォン経由で通販をした人の割合。スマホのみ、スマホとパソコン両方使った経験の有る人双方を含む。
↑ ネット通販でスマートフォンを利用した人の割合
元々若年層の方がスマートフォンの利用率が高いのも一因だが、圧倒的に若年層ほどスマートフォン経由でのネット通販利用経験が豊富であることが分かる。30代まではほぼ3割、40代になるとグンとその割合は減っていき、60代ともなればほとんどゼロに等しい。ただし見方を変えれば、ネット通販利用者でも10代の2/3ほどはスマートフォンをネット通販に使っていないことになる(もっとも今件はインターネットによる調査結果であり、多分にパソコン経由の回答であることが予想される。同時にネット通販はスマートフォンのみの利用者も使っている可能性は多分にあることから、実際にはもう少し比率は底上げされるだろう)。
他方、同じ調査対象母集団の回答で、世代別ではなく、各種ソーシャルメディア系サービスを利用しているか否かで仕切り分けし、その上でスマートフォン経由のネット通販経験を聞いた結果が次のグラフ。
↑ ネット通販でスマートフォンを利用した人の割合(利用しているソーシャルメディア系サービス別)
ツイッター、Facebook、LINE利用者いずれも、全体平均と比べて高い値を示している。特にLINE利用者はネット通販との親和性が高い。ただし、これらのソーシャルメディア系サービスの利用者は多分にスマートフォンの利用者でもあることから、一概に「ソーシャルメディア系サービス利用者は、ネット通販をよく利用する傾向にある」とは言い切れない。
とはいえ、知人や第三者からの公知・お薦めを受ける機会が設けられ、特にLINEは良く見知り合う人との対話ツールとして用いられることから、多分な相関関係・連動性はあると見ても良いだろう。本好きな知人が「良い本を先日買って読んだ。実際に素晴らしい内容だった」とソーシャルメディアで語っているのを見聞きすれば、つい自分も興味を抱いてしまう。そのような経験を持つ人は多いはずだ。
購入機会は実店舗とネット、どちらが多い
続いて示すのは、特定分野の商品を購入する際、実店舗とネット通販、どちらをより多く利用するかを尋ねたもの。こちらは総務省の調査「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」をベースとしていおり、インターネット経由での質問であることから、幾分インターネット通販に有利な結果が出てしまう……が、現在のインターネット普及率を考慮すると、誤差の範囲だろう。なお双方合わせても100%に届かないが、残りは「買わない」「同じ位」「どちらとも言えない」などが該当する。
↑ 購入する物品別・購入場所の傾向
インターネット経由の調査結果とはいえ、「CD/DVD/BD類」といった光メディア系の音楽・映像媒体はすでにネット経由の購入頻度の方が多いという結果が出た。本の類も肉薄しており、差異は10%ポイント強でしかない。小型家電(例えば扇風機やデジカメの類)も高い比率を示している。
一方で大型家電や大型家具のような金額の張るもの、雑貨や日用品、食品のような気軽に購入でき単価が安く、しかもすぐ使う必要が生じるものは、実店舗経由の方が多いとする人が圧倒的となっている。
白書ではこの傾向について「大型の家電や家具類及びPCについては、配送料や設置・設定作業等の有無などの点が実店舗での購入が好まれている背景として考えられる」と分析しているが、なるほど感を覚えるものがある。実際、当方(不破)も昨年冷蔵庫を買い替える必要に迫られたが、それらのポイントが大きな考慮の対象となり、実店舗に駆け込んで速攻で購入した経験を有している。一方、見方を変えればこれらのポイントが解消できれば、ネット通販はさらに領域を拡大しうるということでもある。
今件は日本に限った話ということで省略したが、「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」では同様の調査を他国でも行っており、白書にはその結果も掲載されている。それによると国別特性で特に注目すべき動きとして、スマートフォンの保有率がとりわけ高い韓国とシンガポールで、「韓国…ネット通販利用者多し」「シンガポール…ネット通販利用者低迷」という対照的な結果が出ているのが注目に値する。両国の通販事情や社会文化の違いからのものだろうが、興味深い話ではある。
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