もっとも空いているのは北海道…賃貸用住宅の都道府県別空き家動向(最新)

2025/03/18 02:27

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2025-0302先日【即入居可能な物件とそうでないものと…空き家数増加の実態(最新)】において、総務省統計局が2025年1月29日に発表した、2023年時点における住宅・土地統計調査の確定集計結果を基に、空き家の詳しい状況について解説を行った。巷で騒がれている「空き家の増加」とされる状況は細かく見ていくと、賃貸用や売却用住宅の空き家はさほど増えているわけではなく、税制上の問題などで半ば放棄されている、廃墟的住宅(「その他」区分)が増加しているというものだ。今回はそのような状況に関して、地域別動向を詳しく見るため、空き家の区分「二次的住宅」「賃貸用」「売却用」「その他」のうち、「賃貸用」の空き家について、都道府県別の現状などを確認していくことにする(【令和5年住宅・土地統計調査】)。

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全国平均では6.82%、最高値は大阪府の8.96%


今調査の調査要綱は先行記事【住宅の空き家率は13.8%で過去最高に(最新)】を参照のこと。

まずは都道府県別における、賃貸用住宅の空き家率状況。これは全住宅の数に対して賃貸用住宅の空き家が何%くらいあるかを示している。例えば北海道は8.96%と示されているが、これは北海道にある居住用住宅全体のうち、8.96%が賃貸用住宅としての空き家であることを示している。無論周辺環境や面積などの考慮はなく、単純な戸数による算出であり、同じ数字が出ていても現状はケースバイケースである。また戸数そのものの都道府県別比較でもないことに注意。

↑ 空き家率(全住宅比、賃貸用住宅限定、都道府県別)(2023年)
↑ 空き家率(全住宅比、賃貸用住宅限定、都道府県別)(2023年)

北海道や大阪府のようにグンと突き抜けている地域もあるが、概して近隣地域は似たような空き家率を示しており、賃貸住宅の需要が地域単位で上下しているようすがうかがえる。低めの地域は秋田県や山形県などの東北、九州、島根県などの中国地方か。他方、関東近辺や四国などでは賃貸住宅の空き家率がやや高めに見える。

これを都道府県別に、上位陣・下位陣について、序列を基にグラフ化したのが次の図。最上位は北海道の8.96%、次いで大阪府の8.85%、静岡県の8.14%と続く。

↑ 空き家率(全住宅比、賃貸用住宅限定、上位陣、都道府県別)(2023年)
↑ 空き家率(全住宅比、賃貸用住宅限定、上位陣、都道府県別)(2023年)

↑ 空き家率(全住宅比、賃貸用住宅限定、下位陣、都道府県別)(2023年)
↑ 空き家率(全住宅比、賃貸用住宅限定、下位陣、都道府県別)(2023年)

トップの北海道はともかく、それに続く大阪府の賃貸住宅における空き家率の高さは少々意外な気がする。他の地域は近郊都市圏が多いが、大阪府は都市圏そのままズバリに違いない。他の不動産系調査でも大阪府の賃貸住宅事情がやや悪化している話はあったが、その動向がここにも表れている。もっとも東京都も7.67%と高めに出ているので、大都市圏でも賃貸住宅にだぶつきが出ているのかもしれない(もちろん空き家の住宅の条件のよし悪しは別。古い賃貸住宅に空きが増えているのだろう)。

一方滋賀県や沖縄県、埼玉県などでは賃貸住宅の空き家率は低い。元々賃貸住宅が少なめなのも一因だが、仮にこれらの都道府県で新たに賃貸住宅を探す必要がある際には、よい物件を探すのに一苦労させられるかもしれない。

5年間でどのように変わったか


今調査は5年単位で行われているため、前回調査分は2018年のものとなる。そこで前回調査時における賃貸用住宅の空き家戸数を抽出し、今回分と比較してどれだけ数字の変化が生じているのかを算出した結果が次のグラフ。「全住宅比の値における変化」ではなく、「賃貸用住宅の空き家戸数そのものの変化」であることに注意。

↑ 空き家数(賃貸用住宅限定、都道府県別、2018年から2023年への戸数変化率)
↑ 空き家数(賃貸用住宅限定、都道府県別、2018年から2023年への戸数変化率)

もっとも下げ率が大きい、つまり空き家戸数が減ったのは滋賀県のマイナス22.77%。次いで埼玉県の16.31%。一方で熊本県の35.41%や北海道の26.69%などで空き家の大幅な増加が確認できる。

空き家戸数が減っているのは、単純には賃貸住宅の居住率が上昇していることを意味する。逆に増えているのは居住率の減少。九州・中国・四国地方でまとまった形で増加していることから、これらの地域では賃貸住宅の需要が減少し、空き家が増えているのだろう。


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