持家と借家、銀行や病院への距離はどちらが近い?(最新)

2025/03/15 02:48

このエントリーをはてなブックマークに追加
2025-0301住宅の住環境のよし悪しを決定する大きな要素の一つが、社会生活関連施設や公共機関までの距離。スーパーやコンビニが近くになければ日用品の調達に難儀するし、病院が遠いと何かトラブルがあった時のことを考えるだけで不安になる。できれば各種施設は自分の家のそばに欲しいが、考えることは皆同じで、そのような好立地の条件にある住宅には人気が集まるため、当然地価・家賃は高くなり、手が届きにくい。どこかで折り合いをつける必要が生じてくる。それでは一度購入したら多くの人はそこに一生住まうことになる持家と、持家と比べれば容易に転居が可能な借家それぞれにおいて、それらの住環境はどのような状態となっているのだろうか。総務省統計局が2025年1月29日に発表した、2023年時点における住宅・土地統計調査の確定集計結果から、項目をいくつかに絞った上で確認していくことにする(【令和5年住宅・土地統計調査】)。

スポンサードリンク


借家の方が周辺環境はよい!?


今調査の調査要綱は先行記事【住宅の空き家率は13.8%で過去最高に(最新)】を参照のこと。

次に示すのは社会生活関連施設としてポイントが高い、近所にあればとても便利な「郵便局・銀行」「医療機関」について、それぞれの住宅種類の何%がどれぐらいの距離内に収まっているかを示したもの。例えば「郵便局・銀行」で「100メートル未満」は持家では5.2%なので、個人所有の居住住宅のうち5.2%は100メートル未満に郵便局か銀行があることになる。

↑ 最寄りの郵便局・銀行までの距離(住宅の所有関係別、世帯数比率)(2023年)
↑ 最寄りの郵便局・銀行までの距離 (住宅の所有関係別、世帯数比率)(2023年)

↑ 最寄りの医療機関までの距離(住宅の所有関係別、世帯数比率)(2023年)
↑ 最寄りの医療機関までの距離 (住宅の所有関係別、世帯数比率)(2023年)

郵便局・銀行だが、全般的に借家の方が近い距離に存在する。短距離の区切りは借家が、長距離では持家の方が回答値が高い。「500メートル未満」で区切ると持家は43.2%なのに対し、借家では58.6%にまで達する。これは借家の方が好立地条件の環境に建てられていることが多いのが原因。「立地条件がよい」「居住者が集まりやすい」「借家ビジネスが成り立ちやすい」「賃貸業が盛況となる」という次第。また好条件の場所では当然地価も高いため、持家を建てる・購入しようとしても高値となり、手が出しにくいのも大きな要因となる。

似たような状況は医療機関でも生じている。短距離の区切りは借家、長距離は持家の方が多い。同様に500メートル未満で区切り直すと、持家では50.2%だが、借家では68.9%にまで達する。子供あるいはお年寄りがいる世帯では特に重要な要素となるため、高齢者が(立地条件のよい)賃貸住宅を選択する傾向があるのも理解はできる。

駅からの距離もやはり持家の方が遠い


医療機関や金融機関と並び、むしろ就業者が居る世帯ではそれ以上に重要視されるのが、最寄りの鉄道駅までの距離。住宅情報誌でも「駅からの距離」は最重要項目として必ず載っているし、その項目がソート内容となっていることも多い。鉄道駅に近ければ容易にその鉄道を使って遠出(通勤・通学含む)もできるのに加え、駅前の商店街など商業施設の利用も期待できる。

↑ 最寄りの鉄道駅までの距離(住宅の所有関係別、世帯数比率)(2023年)
↑ 最寄りの鉄道駅までの距離(住宅の所有関係別、世帯数比率)(2023年)

持家と公営借家は同程度の距離感で、他の賃貸住宅と比べて駅からは遠め。かろうじて公営借家の方が駅に近いというところ。公営借家の多くは高度経済成長期に建てられたもので、いわゆるニュータウン構想の一環として郊外に建設されることが多いのが要因。その分、多くの事例で駅と住宅を結ぶバス網が整備されている。持家が駅から遠いのは、上記にも示した通り価格との折り合いの結果。支払いに上限を設けなければ駅前にでも持家を建てることは不可能ではないが、大抵においては持家を取得すること自体が優先され、地価の安めな駅から離れた場所の物件を選ばねばならなくなる。

一番駅から近いのは民間借家、ほぼ同じ形で公社借家。やや遅れを取る形で給与住宅が続く。給与住宅が駅から遠めなのは、それを運用する企業側の懐事情の問題と、住宅の提供そのものの方が優先順位が高いのが要因。



自家用車を持ち、使用する機会があれば、ある程度各種施設や駅までの距離の配慮はしなくてもよくなる。とはいえ、下準備をしなくてもすぐに歩きで行ける距離に、駅や病院、金融機関があるのは、やはり心強い。それだけ多くの人がその環境を望むため、家賃や地価が上昇するのも理解はできる。

今件住宅・土地統計調査では対象項目には挙げられていないが、例えばスーパーやコンビニもまた、「近くにあれば便利」な施設に違いない。コンビニの存在が住宅の点在度合いにどのような影響を及ぼすのか、資料があれば精査をしてみたいものだ。


■関連記事:
【歩きは1キロ、自転車は3キロ……普段の生活で行ける距離】
【一日の平均歩数は男性6465歩・女性5820歩(最新)】

スポンサードリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2025 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|X(旧Twitter)|FacebookPage|Mail|RSS