「楽しんで勉強」「すぐに調べもの」タブレットでの勉強期待、では不安は……?

2014/07/20 10:00

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タブレット型端末の普及は先端技術を好む中堅層から、シニアや幼少児へと進んでいる。特に幼少児については、保護者が情緒教育用ツールや玩具として、スマートフォン以上に期待をかけている節が見られ、この世代における普及率が他世代と比べても著しい値を示している。それではそれらタブレット型端末を用いた子供の学習について、保護者達はどのような期待、不安を持っているのだろうか。英会話のGabaが2014年7月10日に発表した調査結果(【発表リリース:小中学生の教育とコミュニケーションに関する保護者調査】)から、その実態を確認していくことにする。



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楽しんで勉強、ネットで調べものがメリット


今調査は小学生または中学生の子供(複数子供がいる場合は末子)を持つ20代から50代の男女(保護者)に対し、インターネット経由で行われたもの。有効回答数は1000人。回答者性別と子供の学校種類区分(小学生低学年・同高学年・中学生)、子供の性別区分でほぼ均等割り当て。調査会社はネットエイジア。

【タブレット機普及動向】などで解説している通り、総務省の通信利用動向調査でも幼少児のタブレット端末利用率は高い値を示している。6-12歳層は30代の19.8%に続く18.7%という高率である。

↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2013年末)(パソコン以外)(再録)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2013年末)(パソコン以外)(再録)

今件調査対象母集団では小学生高学年で1割近く、中学生ではもうすぐ2割に届くほどの値(利用率では無く保有率であることに注意。これはフリーハンドで対象者が利用できることを意味する)が確認されている。

↑ 子供にスマートフォンやタブレット型端末をもたせている(保有させている)か(保有者率)(再録)
↑ 子供にスマートフォンやタブレット型端末をもたせている(保有させている)か(保有者率)(再録)

少なからぬ保護者が子供に持たせ、そして与えることを予定しているタブレット型端末。それにかける最大の期待は「学習」効果に他ならない。それではタブレット型端末で学習させることにより、どのような効用を期待しているのだろうか。複数回答で聞いた結果が次のグラフだが、最上位には「楽しんで勉強できる」がついた。4割以上の保護者が「タブレット型端末で勉強させれば、子供は楽しんで勉強できるだろう」と考えている。

↑ 子供がタブレット型端末を使って学習することに対するイメージ(複数回答/期待面)
↑ 子供がタブレット型端末を使って学習することに対するイメージ(複数回答/期待面)

次いで多いのは「インターネットへの接続ですぐに調べものができる」で32.0%。辞書をはじめとする各種実物の資料に当たるのではなく、インターネット上の情報を当たることで、スピーディーで豊富な情報を用いることができるようになる(もちろんその情報の正確さの検証、取捨選択を学ばせる必要はある)。さらにマルチメディアによる資料を当たれるため「動画や音声などで教材の幅が広がる」との点も強い。

実際にインターネットに触れることで経験を積み、「ITリテラシーが身に付く」事を期待する人も少なくない。正しい切り口を学ぶか否かは大人がガイドする必要があるが、経験を積むこと自体は悪くない。

デジタル系学習の肝ともいえる「子供のペース・習熟度に合わせて学習できる」への期待はさほど大きくなく、13.4%に留まっている。学校の勉強に関して、子供の学ぶペースは人それぞれなので、全体のペースに付いていけない場面も必ず出てくる。図形に関する問題は得意だが、分数に係わる部分は概念を把握しにくく、なかなか覚えられないといった事例は数多く見聞きする。タブレット型端末で提供されるデジタル教材などは、そのような事例にも対応が容易であることから、もう少し高い期待を寄せられても良い感はあるのだが。

最大の不安は「ゲームばかりしてしまう」


一方、タブレット型端末による学習では、保護者の不安も少なくない。

↑ 子供がタブレット型端末を使って学習することに対するイメージ(複数回答/不安面)
↑ 子供がタブレット型端末を使って学習することに対するイメージ(複数回答/不安面)

最大の不安要素は「ゲームばかりしてしまうのでは」で2/3強。最大の期待「楽しんで勉強できる」が4割強だったのと合わせ見ると、タブレット型端末による勉強では、保護者が抱く不安は期待以上のものがあることがうかがえる。

期待で「ネット接続ですぐに調べものが出来る」「動画や音声などで教材の幅が広がる」「ITリテラシーが身に付く」など多分にインターネットへのアクセス・利用を前提とした長所が挙げられているが、同時に生じる問題として「ネットトラブルに巻き込まれる」「ネット閲覧ばかりしてしまう」といった不安も大きい。これらも過半数の保護者が懸念視している。

さらに「間違ったネットの使い方を覚える(例えば書かれている内容をコピー&ペーストして自分の回答としてしまうなど)」のような、「期待面」と連動性のある、そして相反する不安面が多いことがうかがえる。

要はタブレット型端末による学習は、多分に「諸刃の剣」的なものであり、保護者としては自身に向けられる刃の方が鋭く、大きいとの考えであることが分かる。この不安点を上手く解消することができれば、タブレット型端末の幼少児への普及は大いに前進するに違いない。


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