オンライン回答希望者は31.6%・20代では57.1%…通信利用動向調査、オンラインでのアンケートを希望するか(最新)
2021/07/19 03:55
これまで複数の項目にわたり、総務省が2021年6月18日に詳細値を発表した「通信利用動向調査」の公開値を基に、インターネット関連などのデジタル方面の現状をさまざまな視点から確認した。今件調査は先行する解説記事【光回線は57.7%…自宅パソコンのインターネット接続回線の種類(最新)】で説明の通り、世帯向け調査は郵送による調査票の配布および回収の形式によって行われているが(一部オンラインでも実施されている)、これについて「インターネットでの調査にしてもよいか否か」の問いも実施している。非常に興味深い結果が出ているので、今回はこの実情を確認する(【発表ページ:通信利用動向調査】)。
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冒頭で触れた通り「通信利用動向調査」のうち世帯向けは主に郵送調査票配布・回収方式で行われている。一方昨今ではスマートフォンをはじめとするインターネット接続機器の利用率が上昇しており、いわゆるデジタルデバイドをあまり気にしなくてもよいのでは、との考え方も広まりつつある。
それでは今「通信利用動向調査」の世帯回答者は、オンラインによる回答を希望するだろうか。現時点の調査対象世帯に聞いた結果が次のグラフ。総数としては賛成派(「する」)は3割強にとどまり、反対派(「しない」)は4割強、意見留保派(「分からない」)が1/4近くとの結果となった。
↑ 通信利用動向調査についてオンラインによる回答を希望するか(2020年)
インターネットを多用する20-40代が世帯主の世帯は賛成派も多い傾向にあり、賛成派が多数派となっている。世帯主が年上になるに連れて拒絶感は強まり、50代以降では反対派が賛成派を上回り、60代前半で反対派が過半数となる。
一方世帯年収別では、おおよそ高世帯年収ほど賛成派が増える動きを見せる。高世帯年収は高年齢層であることが多く、連動性があるものの、デジタルメディアの利用率とも連動性があるため、今件では後者の方が強く働いているようだ。もっともそれでも賛成派が多数派となるのは世帯年収が600万円以上の世帯のみ。
インターネットに関する調査をメインに据えた「通信利用動向調査」で、インターネットによる調査を希望する人が少数派となる結果が出たのは、何とも皮肉な感はあるが、現状ではまだ抵抗感が強いのだろう。
仮に意見留保派がすべて賛成派に回ったとしても、反対派が多い属性は複数にわたる。総世帯で試算しても賛成派はやや多い程度(賛成派と意見留保派を足すと56.5%)。スマートフォンがある程度普及し、インターネットへのアレルギー的忌避感が弱まりつつある昨今ですら、この程度の数字でしかないのだから、公的機関におけるインターネット調査の本格的導入は、まだ難しいのかもしれない。あるいはデジタル系・インターネット関連の調査だからこそ、デジタルデバイドが生じないように、との考えで、希望しないと回答している事例もあるのだろう。
ただしインターネットが多くの人にとって、回答ハードルの低い選択肢であることも事実に他ならない。現状では「調査票の入手・提出は、オンラインでも可能です」とある今調査だが、オンラインがメインベースとなる日は果たして来るのだろうか。
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