不安を覚える会社員達、その心のうちは……!?(2014年)
2014/07/06 20:00
よほどの楽天家で無い限り、人は誰にもその胸の内に不安を抱え、時にはそれに押しつぶされそうになり、実生活にまで影響を受けることになる。数々の調査で日本人は他国の人と比べてネガティブな思考に陥りがちで、その分不安や悩みをかかえる人も多いという。それでは日本を支える就業者の代表的な職種、会社員ではその実情はいかなるものだろうか。サラリーマンの小遣い事情を中心に就業者の活動様式を定点観測的に調査している、新生銀行の「サラリーマンのお小遣い調査」の最新版報告書をもとに確認していくことにする(【発表リリース:サラリーマンのお小遣いは2年ぶりに上昇−「2014年サラリーマンのお小遣い調査」結果について】)。
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今調査の調査要件などは先行する解説記事【2014年のサラリーマンこづかい事情】で解説済みなので、そちらを確認のこと。
調査対象母集団に対し複数選択肢を挙げて「最近どのようなことに不安を感じていますか」と複数回答で尋ね、何らかの該当する不安要素があった人は、全体で9割近くに達していた。具体的不安事例は上位10位分までしか公開されていないので詳細は不明だが、とにかくほとんどの人は何らかの(明確な)不安を覚えていることになる。
↑ 何らかの不安を感じているか(2014年、会社員)
男性では世代間でほとんど差異は無い。誤差の範囲といえる。一方男女間ではわずかだが女性の方が高い。震災後の各種調査結果からも明らかな通り、男女間では女性の方が物事に対する構え、心配感情が強い傾向がある。今回の調査方法からは「不安を感じている」というよりは「超楽観主義では無い」人の割合の方が適切かもしれないが、ともあれ女性の方が不安を覚える人が多いことに違いは無い。
それでは具体的に、どのような内容に対する不安を抱いているのか。公開されている上位陣の結果が次の通り。一部で男性の方が高値をつけているものの、多くは女性の回答率の方が高い結果が出ている。
↑ 不安の具体的内容(2014年、会社員、不安を感じている人限定、複数回答)(上位陣)
男性は「自分の将来」がトップで「老後」が第2位。女性は「老後」が最上位で「自分の将来」が続く。時系列的には未来が「老後」に直結する人も居れば、「自分の将来」から「老後」に連なる人もいることを考えれば、「自分の将来」の方がより長い期間の心配をしていることになる。男性は家計的に家族全体を抱えている事例が多いため、老後の前の段階、つまり就労中の動向も大いに心配となるということか。男性が女性以上の回答率を示している「会社の将来性」「景気」を合わせ見ると、納得も行く。
他方、上位陣はすべて女性の方が高回答率を示している。特に「親の介護・家族の健康」は男性と比べて2倍近い差が出ている。これは親が要介護の状態となった場合、多くは女性が対応しなければならないため、その分不安も多くなるということだろう。
人間が思考する生物である以上、不安を抱えるのは当然の成り行きであり、それ自身を悩むことは無い(不安のために悩むという、永久機関的な状態に陥りかねない)。一方で不安要素の上位に挙がっている項目は、社会システムの上で問題視されているものが多い。見方を変えればこれらの不安要素を解消する手立てを講じ、それが実現化できれば、社会はより良い方向に歩んでいくに違いない。
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