2014年2月の東京都知事選における世代別投票率

2014/06/28 14:00

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猪瀬前都知事の辞任に伴い2014年2月9日に実施された、東京都の知事を選ぶ都知事選挙は、舛添要一氏の圧勝という形で幕を閉じ、現在もなお舛添都政が続いている。一方で今件選挙においては、前日の豪雪で投票率が大きく下がり、世代別の投票率動向にも大きな注目が寄せられていた。この世代別投票率について、東京都選挙管理委員会は2014年6月26日付で、年代別投票行動調査結果のデータを公開し、その実情が明らかになった。今回はそのデータなどを用い、かの選挙における投票動向を再確認しておくことにする(【東京都選挙管理委員会:年代別投票行動調査結果】)。



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冒頭にもある通り、2014年2月に行われた都知事選は、舛添要一氏の圧勝という形で幕を閉じている。

↑ 立候補者別得票数(2014年2月9日実施・東京都知事選挙、東京都選挙管理委員会発表値、小数点以下省略)
↑ 立候補者別得票数(2014年2月9日実施・東京都知事選挙、東京都選挙管理委員会発表値、小数点以下省略)

2014/2/9時点の積雪の状況民間調査会社の調査を基にした推測で、一部候補の一部世代からの支持率が舛添氏に肉薄していたことなどもあり、何かと話題性に富んだ結果ではあった。一方、この選挙の投票日は前日に東京地方でも季節的に珍しく大雪が降り、これが特に若年層の得票率を大きく押し下げたとの観測も見受けられた(【東京・練馬でも積雪が......(2014/02/08)】)。

今回選挙管理委員会から発表された世代別投票率によれば、積雪に関する投票率の減退予想はほぼ的中しており、前回の都知事選(2012年12月実施)と比べて全体では16.5%ポイントもの下げが確認されている。

↑ 東京都知事選投票率(世代別)
↑ 東京都知事選投票率(世代別)

↑ 東京都知事選投票率変移(2012年12月→2014年2月、世代別)
↑ 東京都知事選投票率変移(2012年12月→2014年2月、世代別)

投票率は気象条件で大きく左右されるとの話はよく見聞きし、実例も複数挙げられる。しかし今件は東京都という大都市において、しかも豪雪翌日という条件下における選挙であったことから、注目に値する動向に違いない。

一見すると下げ幅はどの世代でも同じように見えるが、二つ目のグラフ中オレンジで着色した世代にある通り、全体値よりも大きな下げ幅を示したのは若年層と中堅層。積雪による若年層の投票率が特に落ち込んだとの推測がなされていたが、それは正しかったことになる。また中堅層の下げ幅が大きかったのは意外といえば意外。当時の状況を思い返すと、自宅周辺の積雪処理に追われ、投票との優先順位の上で除雪作業が勝ってしまった可能性はある。

これらのグラフは前回都知事選の投票率と比較した変化幅(%ポイント)だが、これを変化率に算出すると、別の動きが見えてくる。

↑ 東京都知事選投票率変移(率)(2012年12月→2014年2月、世代別)
↑ 東京都知事選投票率変移(率)(2012年12月→2014年2月、世代別)

これは例えば全体なら、前回の投票率と比較して、今回の投票率は26.3%、約1/4ほど減っていることになる。この計算方法で確認すると、若年層ほど下げ率の平均値より高く、シニア層は低めに抑えられている。元々投票率は若年層ほど低く高齢層ほど高い傾向があるため、積雪によって同程度の投票率の下げ幅が生じた場合、投票率の変化率は若年層ほど高い値が出てしまう次第である。

最大の下げ幅は20代前半。前回都知事選の投票率は43.59%で、今回は25.70%だったため、4割以上もの投票率減退が発生していることになる。人口数は2年でそう大きく変わるはずもないことを考えると、これはほぼそのまま「20代前半の投票数がほぼ4割減少した」と見ても良い。



若年層の人口数・比率減退に伴い、政治の上での影響力、意見力の低下、それを受けての政策動向・決定、そしてその状況を見て若年層がさらに意気消沈し、ますます投票率を下げる……という、選挙の上でのマイナススパイラルが懸念材料とされている。今件のような天候に伴う投票率の低下はどの世代でも起きうる状況を考慮すれば、逆に若年層が奮起し投票所に向かうことで、パワーバランスに変化が生じる可能性はあったのだが、現状はそう甘くは無いようだ。

やや余談になるが、東京23区に限定した上で、投票率の上位区・下位区を列挙したのが次のグラフ。

↑ 2014年2月東京都知事選における区部別投票率(上位・下位5位)
↑ 2014年2月東京都知事選における区部別投票率(上位・下位5位)

この区別動向は前回の都知事選挙においても大きな変化は無い。区別の世代比率や住宅構成、各種政治に対する気質などさまざまな要因による結果ではあるが、最大の区と最小の区で15%ポイントもの差が出ているのは興味深い。各区の選挙権保有者と合わせて考えれば、次の都知事戦の立候補者における、選挙活動の重点配慮の指針にもなることだろう。


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