なかなか増えない貯蓄額、どうやって貯めてます?

2014/06/29 20:00

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貯蓄額は多ければ多いにこしたことはないが、一方でなかなか貯められないのも事実。手元にまとまったお金が入るといつの間にか物欲が沸き上がり、色々なものに手を出し、あっという間に財布の重量は本体と小銭分だけになってしまう。それでは人々はどのような方法を用いて貯蓄を成しているのだろうか。メディケア生命保険が2014年6月17日に発表した、消費税増税後の節約術・貯蓄術に関する調査結果から、そのお金周りのテーマの一つ、「現在の貯蓄額」について、現状を見ていくことにする(【発表リリース:消費税増税後の節約術・貯蓄術に関する調査】)。



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「余った時に余った額」が貯蓄手法として最大手


今調査は2014年5月9日から15日に渡り、20歳以上59歳以下の男女に携帯電話を用いたインターネット経由で行われたもの。有効回答数は1000件。男女比・10歳区切りの世代構成比で均等割り当て。調査実施機関はネットエイジア。

先行する今調査の解説記事の通り、今調査対象母集団では平均貯蓄額は354万円(現金あるいは理流動性の高いものに限定し、不動産や有価証券などは考慮外)。ゼロ円も1割近くいる一方、1000万円以上も5.7%、そして「分からない・答えたくない」も1/3近く確認できる。

↑ 現在の貯蓄額(単一回答)(再録)
↑ 現在の貯蓄額(単一回答)(再録)

これら貯蓄を果たしている人に対し、どのような工夫、方法で貯蓄をしているかを聞いたところ、もっとも多くの人が答えたのは「余った時に余った額を貯蓄する」で、45.1%だった。要は余剰資金を貯蓄に回す、という切り口で、ごく普通に行われている方法に他ならない。

↑ どのような方法で貯蓄しているか(複数回答、貯蓄額がゼロ円、具体的額を答えたくない・分からない人は除く)
↑ どのような方法で貯蓄しているか(複数回答、貯蓄額がゼロ円、具体的額を答えたくない・分からない人は除く)

もっとも「余った時に」「余った額」をそのまますべて貯蓄に回せれば、さっくりと貯蓄額は跳ね上がるのだが、実際にはそう上手くいくものではない、というのが多くの人の実体験からの結論。少々の額ならちょっとした贅沢、例えば外食や欲しかった衣料品に充当してしまうかもしれない。余った、つまりフリーハンドを得た金銭を手にすると、人はどうしても気が強くなり、色々と欲が出てしまうものだ。

このような誘惑に駆られないため、世間一般ではもっとも有効な貯蓄方法として知られているのが、「定期的に自分で決めた額を貯蓄」。これが37.5%。例えば毎月5000円、手取りの10%というガイドラインを設け、そのガイドラインを忠実に守るような貯蓄をしていく。さらにこれが確固たるものとなっているのが「財形貯蓄(給与天引き)」で、強制力が強くなるため、より確実に貯蓄が出来る。当然自由に使える金額は削られるため、生活はその分柔軟性が低くなる。

意外に多いのは「気が向いた時に貯蓄」で27.8%。余剰資金が結構ある人でないと、この方法では貯蓄はゼロのままとなりかねない。見方を変えれば、貯蓄をしたいという強い意志を持つ人ならば、この方法でも何の問題なく貯蓄が出来る。貯蓄に強い関心をいだき気を常にむかせることで、積極的に貯金箱へお金を投入するようになるだろう。

恐らくは主婦層、一人暮らしの人が多く実行していると思われるのが「特定硬貨・紙幣を貯める」で22.3%。財布の目方、体積を膨らませやすい少額硬貨、さらには500円玉などを意図的に財布から抜き出し、貯金箱に収めていく。買い物で発生する小銭を邪魔扱いせず、むしろ貯蓄に役立てるという、賢い手法に他ならない。もっとも最近では電子マネーが普及しつつあることから、小銭を得る機会も減り、このスタイルの貯蓄もあまり貯まらなくなってきているのが実情だろう。

世代別の貯蓄スタイルの違いを確認


これを回答者の世代別に仕切り直して確認したのが次のグラフ。

↑ どのような方法で貯蓄しているか(貯蓄額がゼロ円、具体的額を答えたくない・分からない人は除く)(複数回答(一部抽出、世代別))
↑ どのような方法で貯蓄しているか(貯蓄額がゼロ円、具体的額を答えたくない・分からない人は除く)(複数回答(一部抽出、世代別))

「余った時に余った額を貯蓄」「気が向いた時に貯蓄」は若年層ほど実行率が高い。天引きの形などで手取から引かれると生活に支障が生じることが多いほど、まだ余裕が無いのが大きな要因だろう。また貯蓄に対して強い意志、必要性を実感していない面もあるかもしれない。

一方、「財形貯蓄」や「特定硬貨・紙幣を貯める」は歳を経るほど高い実行率を示すようになる。手取でも、財布の中でのお金のやり取りでも余裕が出てきて、これらの貯蓄方法を行っても、生活の面でさほど影響が生じないようになったからと考えれば道理は通る。同時に「気が向いた時に貯蓄」の値が大きく減っていることから、「自分の気が向いた時に貯蓄していたのでは、いつまでたっても貯まらない」という達観をしたことも考えられる。



残念ながら今調査結果では、貯蓄方法別の実貯蓄額は示されていない。この貯蓄額をしている人は貯蓄額も大きい、この貯蓄方法は実行者は多いが現状の貯蓄額は大したことが無いので効果が疑問視される、などの考察が出来ないのが残念だ。

優柔不断な人が「気が向いた時に」では一向に貯蓄はできないし、手取りがカツカツの時に「定期的に自分で決めた額」の方法をとったのでは生活が立ち行かなくなる。自分の現状に合わせ、ベストな手法で貯蓄にいそしみたいものだ。


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