「結婚すべき・した方がいい」日本では6割強、では世界では…? 諸外国の若年層での結婚観
2014/06/15 10:00
本人は当然だが周辺の人においても、人生の大きな節目となる「結婚」。法的関係で結ばれていない「事実婚」も含め、特に若年層においては憧れ、目標のイベントには違いない。しかしその「結婚」に対する意識は世界共通のものなのだろうか。2014年6月に内閣府が発表した、日本や諸外国の若年層を対象にした意識調査【平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査】の公開値を元に、諸外国の若年層における結婚観を見ていくことにする。
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「結婚すべき」韓国や日本が多く、欧米は低め
調査要項に関しては同調査に関する先行記事の【日本の若者が抱えるネガティブシンキング、各国比較で上位独走!?】を参照のこと。
調査対象母集団に対し、事実婚も含めた結婚そのものについて、どのような感想・イメージを持っているかを尋ねた結果が次のグラフ。結婚そのものに最も肯定的なのは韓国で、次いで日本、アメリカ、イギリスの順。スウェーデンでは肯定派は1/4足らずで、否定派はほぼ2/3にも及んでいる。
↑ 結婚(事実婚含む)についてどう思うか
強い肯定「結婚すべき」に限れば米英が一番多く、次いでドイツが続いており、「結婚した方が良い」も含めた結婚肯定派全体とは順位が大きく変化するのが興味深い。結婚を肯定するか否かではそれらの国は二極化しているということだろう。もっとも強い否定「結婚しない方が良い」はどの国でも数%に留まっており、二極化というよりは肯定派の多い・少ないの方が適切かもしれない。
一見意外に思えるのがフランスやスウェーデンの結婚肯定派の少なさ。「結婚しない方が良い」との強度否定派は少数だが、「結婚しなくても良い」という結婚に対する希望感の薄さが強く表れている。ヨーロッパ諸国でも特に両国は非婚カップルの割合が高く、結婚世帯を補完しているという社会情勢があり(スウェーデンではサムボ(カップル)と呼んでいる)、これが結婚観そのものへの興味関心の違いの一因となっているものと思われる。
↑ スウェーデンにおける法律婚カップル、サムボカップルの割合(【内閣府:スウェーデンの家族と少子化対策への含意−スウェーデン家庭生活調査から−】から)
なお他の社会慣習的行動に関する質問同様、日本は「分からない」とする回答がもっとも多い。社会全体の流れに従う、全体行動を好む習性が、自分自身の意志を発したくないとする選択につながっているのかもしれない。
「なぜ結婚した方がいいと思う?」
それではなぜ結婚した方が良いと思うのだろうか。結婚すべき・した方が良いと回答した人限定で、答えてもらった結果が次のグラフ。
↑ 結婚(事実婚含む)した方が良い理由(複数回答、結婚すべき・した方が良いと回答した人限定)
国ごとに特徴な差異は出ているが、「精神的な安らぎの場」「愛情を感じる人と暮らせる」「自分の子供や家族を持てる」との意見が多くの国で多数意見となっている。次いで「社会的信用・周囲との対等性」「生活上便利だから」などが続いている。
特徴的な動きをいくつか拾うと、韓国では「精神的な安らぎ」「愛情を感じる人と暮らせる」がずば抜けて高い。「親から独立」は米英で、「経済的余裕」はアメリカで、「生活上便利」は米独スウェーデンで他国より高く、アメリカが結婚を合理的、独立精神的な意味合いで考えている節があることを示唆する結果が出ている。
日本はといえば「自分の子供や家族を持てる」「親を安心させる・周囲の期待に応える」が他国よりも高い値が出ており、自身を固体として認識するのではなく、集団の中の一員として位置付ける傾向が強い、周囲との安定感を求める傾向にあることが反映された結果が出ている。他方「生活上便利」「経済的に余裕が出る」といった、合理的視点から見たメリットとしての観点は、他国よりは低めにとどまっているのが興味深い。
今件はあくまでも現在の若年層の回答であり、それぞれの国全体の思考、ものの見方を反映しているわけではないことに注意する必要がある。とはいえ結婚観は多分に若年層において重要視されるべき話であり、これらの値は大いに参考になることに違いは無い。
特に日本の若年層で結婚に肯定的な人の多数が、「自分の子供や家族を持てる」「親を安心させる・周囲の期待に応える」という観点で、諸外国よりも強い認識を示していることは注目に値する。見方を変えればこれらの長所・理由を叶えさせる手を打つことで、結婚を肯定する人、そしてそれを実働に移せる人が増えてくると考えても良いだろう。何ができるか、何をなすべきか、上記グラフからは透けて見えるに違いない。
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