他国と大きく異なる日本の若者の宗教観・「よりどころになる」は2割足らず
2014/06/13 14:30
先進諸国の中でも日本は他国と比べ、宗教観が薄いという話はよく見聞きする。信心に欠けるところがあるのではなく、文化的に多様性を持つため、一つのものに固執しない結果であるとの分析も行われている。例えばクリスマスとお盆とお正月を多数の人が楽しみ、さらには結婚式の様式の多彩さからは、いわゆる「つまみ食い」感すら覚えることができる。それでは若年層において宗教たるものは、どの程度暮らしの中で心や行動の支えとして位置づけられているのだろうか。2014年6月に内閣府が発表した、日本や諸外国の若年層を対象にした意識調査【平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査】から、その実情を確認していく。
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調査要項に関しては同調査に関する先行記事の【日本の若者が抱えるネガティブシンキング、各国比較で上位独走!?】を参照のこと。
宗教観の問題として、回答者自身にとって「宗教」が日々の暮らしの中で、心の支えや態度・行動のよりどころになると思うか否かについて、4段階「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」、さらには「分からない」の計5選択肢を用意し、いずれか自分に一番合うものを選んでもらった結果が次のグラフ。
↑ 自分自身にとって宗教は、日々の暮らしの中で心の支えや態度・行動のよりどころになると思うか
調査対象となった7か国の中では、一番宗教観が浸透しているのはアメリカ。肯定派は55.3%に達している。次いでイギリス、ドイツと続き、韓国、スウェーデンが続く。強い肯定はイギリスの次に韓国が続くが大勢に変化は無い。
やや意外なのはフランス。7か国中では日本に続き2番目に肯定派が少なく、22.8%に留まっている。しかも「分からない」とする態度留保派は極めて少なく5.9%しかなく、「そう思わない」との強い否定は日本すら超えて最大値の58.1%。宗教観においてはとりわけ強い否定感を覚えている。将来への展望や、不安・不信感などの項目でもフランスは他の西洋諸国とはやや異なる傾向を示し、むしろ日本や韓国に近い値の動きが確認できるが、根底にはこのような宗教観が一因としてあるのかもしれない。
さて肝心な日本だが、冒頭でも触れている通り、日本の宗教観は(今件は若年層を対象としたものだが)非常に薄い。自分の日常生活におけるよりどころとして何らかの宗教を抱く人は18.4%に過ぎず、7か国では最低値。さらに強い肯定派は3.5%でしかない。強い否定派は46.6%とフランスにこそ負けるものの、第2位の値を示している。
そしてある意味もっとも日本らしいのが「分からない」の回答項目。他国では韓国が10.7%とやや多めだが、それすら大いに抜き離し、17.5%にまで達している。若年層に限らずといえるが、日本人の宗教観「あまり深い関係は無い」「そもそもよく知らないし、分からない」という実態が、実によく出ている結果といえよう。
今件は深い宗教観を持つことが良い、あるいは逆に悪い、という意味はまったく無い。単に若年層の社会生活、日常の意識形態の中で、宗教がどのような関わり合い、ウェイトを持つか否か、その実態が表れているに過ぎない。そしてその観点では(若年層限定ではあるが)日本は他の国々とは、大きな違いを有していることは間違いあるまい。
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