「足跡」機能は大きな悩みのタネ…高校生のソーシャルメディア利用実態、悩みや負担を探る
2014/06/02 14:30
多種多様な人たちと気軽にコミュニケーションが可能となるソーシャルメディアだが、実社会における対人関係同様、ネット上におけるやり取りでも、付き合いが負担になること、悩みのタネとなることは少なくない。特に多感な時期を迎えている高校生には、過去において存在しなかったタイプの負担がのしかかることになる。今回は情報通信政策研究所が2014年5月14日に発表した「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」の速報版の結果をもとに、ソーシャルメディアを利用している高校生における、他人との意志疎通に関して「リアクション」方面を中心に、悩み・負担に感じることの実態を確認していくことにする(【発表リリース:「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」<速報>を追加しました】)。
スポンサードリンク
今調査は2014年1月7日から31日までの間、154校の都立の全日制・定時制の高等学校に対して、郵送法による無記名自記式質問紙調査方式で行われたもの。有効回答数は1万5191票。学年・性別区分はほぼ均等割り当て。
先行する別途解説記事の通り、高校生の9割以上がソーシャルメディア(今調査ではLINEも含めている)を利用し、その多くはスマートフォン経由で行われている。
↑ ソーシャルメディアなどの利用状況(高校生、2014年1月)(再録)
ソーシャルメディアのやり取りはリアルタイムに近い状態で行うことも可能となる(LINEやツイッター、さらにはFacebookもその感覚に近い)。また、リアルタイム的なやりとりで無くとも、対面での会話でないため、色々と難儀してしまう場合が生じてくる。特に多数の事例が生じ、話題に登ることが多い状況の一つが「リアクション」。要は「良好な関係にある相手との、会話のキャッチボールの仕方」である。
次に示すのは、高校生のソーシャルメディア利用時における、負担に思うこと、悩んだりすることのうち、その「リアクション」方面をまとめて再構築したもの。
↑ ソーシャルメディア利用時に悩んだり負担に感じる事(2014年1月、高校生、ソーシャルメディア利用者限定)
該当しうる項目でもっとも多くの人が悩んだり負担に感じていることは「メッセージの既読機能」。いわゆる「既読チェック」「開封機能」(広義では「足跡機能」や「ログイン履歴(第三者閲覧可能)」も該当する。アクセスしたのに何故メッセージを読まないのか、と指摘されうるからだ)というものだ。他の項目にも連動するものだが、メッセージを読み、それが相手に認識されると、「早く返事を出さねば」という圧迫感にさいなまれることになる。読んだにも関わらず返事をしなかった場合、相手は無視されたと思うかもしれない。
本来ならメッセージは意志疎通のための有益なツールにあるにも関わらず、読むこと自身が大きな精神的負担となってしまう(この点、投げっぱなしの電子メールの方がお気軽ではある)。その負担を感じている人は2割強にも達している。そしてこの真逆的な悩みが、第3番目の「自分のメッセージに反応が無い」。さらにリアクションスピードという点では「メッセージの即時返答が求められていること」も事実上の同義と考えて良かろう。
次いで多いのは「友達とのやりとりがなかなか終わらない」。これはチャット的な交流でもメールでのやりとりでもいえることだが、話の締めがなかなか見いだせない点。気軽に対話が出来るだけに、逆にどの点で終わらせればよいのか、タイミングがつかめない。誰もが一度ならずとも経験があるはずだ。
男女別に見ると、押しなべて女性の方が高い値を示している。女性は概して男性よりも口コミ、他人との会話を楽しむ傾向があるため、それに関わるやり取りも積極的なものとなり、結果として深みにはまり、悩みも大きなものとなるのだろう。特に上位2項目で男性のほぼ2倍の回答率を示してる点を見るに、女子高生におけるソーシャルメディアの利用に関する悩みは(少なくとも本人にとって)深刻なものであることが推測される。
ちなみに個々の自己判断テストの結果として区分した、ネット依存傾向別(自己判断テストの内容そのものは【スマートフォン保有者の方が「ネット依存傾向」は強い法則】参照のこと)による、ソーシャルメディア上のコミュニケーションにおける「リアクション」方面の悩み度合いは次の通り。当然といえばそれまでだが、自らを高度のネット依存状態にあると考えている人では、大きな割合で悩みを抱えていることが明らかにされている。
↑ ソーシャルメディア利用時に悩んだり負担に感じる事(2014年1月、高校生、ソーシャルメディア利用者限定)(ネット依存傾向別)
特に上位3項目において、「高」程度の人はほぼ同率の3割後半の値を示しているあたり、悩みの深さを覚えることができる。別項目では「高」状態の人はソーシャルメディア上でのみやり取りをする相手は93人程度との結果が出ているが、それだけ多くの人との交流ともなれば、リアクションも大変な労力を要することになるし、その分精神的な負担も大きくなる。
一方で「自分のメッセージに反応が無い」状態に悩む人も多い状況から察するに、ドタバタ的なコミュニケーションすら楽しんでいる節がある。だからこそ、自分自身を「ネット依存の傾向が強い」と判断しているのかもしれないが。
■関連記事:
【オンラインゲームで遊ぶ友人は平均で16人、半数は「ネット上だけの友人」】
【あなたも実はすでに……!? ネット依存症の26症状と13のチェックリスト】
【若年層の28%は「自分はネット依存」と考えている】
【もはや当たり前!? 高校生の9割以上がソーシャルメディアなどを利用中】
【過半数が「寝る前にチェック」、4割は「テレビを観ながら」…若年層のソーシャルメディア利用シーン】
スポンサードリンク