一心同体、ネット依存、試験に失敗…高校生のスマホ生活、その悪影響の実態を探る

2014/05/23 11:30

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多種多様なアプリケーションによりさまざまな娯楽を手のひらの中に収めることができる、マジカルアイテムのような存在が、スマートフォンとして実在している。ほんの数年前にその機能を説明しても、信じる人はほとんどいなかっただろう。その魅力は自制心が未熟な子供達において、ハイリスクさを伴うものとなる。それではスマートフォンを介してインターネットにアクセスし、多様なアプリに没頭することで、子供達はどのようなマイナスの影響を実体験しているのだろうか。情報通信政策研究所が2014年5月14日に発表した「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」の速報版の結果から、高校生の実態について確認していくことにする(【発表リリース:「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」<速報>を追加しました】)。



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今調査は2014年1月7日から31日までの間、154校の都立の全日制・定時制の高等学校に対して、郵送法による無記名自記式質問紙調査方式で行われたもの。有効回答数は1万5191票。学年・性別区分はほぼ均等割り当て。

先行記事【「寝る間も惜しんで」が言葉通り…高校生のスマホ利用で減った時間】の通り、スマートフォンを利用する高校生たちは寝る間も惜しみ、勉強やテレビなどの時間を削ってまで、スマートフォンの利用に勤しんでいる。

↑ スマートフォン利用開始により減った時間(高校生、スマートフォン利用者限定、2014年1月、複数回答)(再録)
↑ スマートフォン利用開始により減った時間(高校生、スマートフォン利用者限定、2014年1月、複数回答)(再録)

このような状態で利用を続けていれば、当然何らかのマイナス影響が生じることになる。発生しうる状況を列挙し、経験がある、身に覚えがあるものについて複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。「暇さえあればスマートフォンを操作している」との意見は42.6%。スマホ利用者の4割強はスマホと一心同体状態で、しばしばネットへのアクセスをしていることになる。

↑ ネット利用を原因とする生活などへの影響・経験(スマートフォン利用者限定、高校生、2014年1月、複数回答)
↑ ネット利用を原因とする生活などへの影響・経験(スマートフォン利用者限定、高校生、2014年1月、複数回答)

さらにその状態が強度を増し、起きている間はずっとスマートフォンでインターネットにアクセスしている人も12.3%。これは暇で無い時、具体的には何か他のことをしている最中にも(例えば食事やトイレ)、スマートフォンを操作しているとの認識をしている人が1割を超えていることを意味する。そのような状態の人がいれば、当然「依存症かな」との自覚症状を持つ人も多い。この自覚を持つ人は25.0%。スマホ持ちの高校生の4人に1人は「自分はインターネット依存状態にある」との認識を持つ状態は、少なからぬ人に驚きを覚えさせることだろう。

もう少し具体的な悪影響も挙げられている。選択肢の中では「試験に失敗」がもっとも多く5.4%。回答者の中には高校3年生もいるが、回答期日を見るに「受験に失敗」では無く、高校で行われる通常の試験において悪い点数を取ったものと解釈できる。ともあれ、20人に1人以上は「スマホによるネットのし過ぎで試験で悪い点を取った」高校生がいることになる。

さらに「友達を失ってしまった」「学校をずる休みしてしまった」との回答も、数%だが確実に存在する。さらには不健康になって病院に通院したことや、不登校・休学に陥った人もゼロではない。

これを自己判断テストにおけるネット依存傾向の区分別(自己判断テストの内容そのものは【スマートフォン保有者の方が「ネット依存傾向」は強い法則】参照のこと)に仕切り直したのが次のグラフ。自意識で「ネット依存傾向にある」と強く感じている人ほど、各悪影響の実体験率も高いものとなっている。

↑ ネット利用を原因とする生活などへの影響・経験(スマートフォン利用者限定、高校生、2014年1月、複数回答)(ネット依存傾向別)
↑ ネット利用を原因とする生活などへの影響・経験(スマートフォン利用者限定、高校生、2014年1月、複数回答)(ネット依存傾向別)

特に一心同体状態を表す上位3項目「暇さえあれば」「依存症自覚」「起きてる間」の回答率は高く、それぞれ3/4強、7割強、5割近くに達している。また悪影響の実体験事例でも「高依存傾向」は「中」「低」と比べて体験率が非常に高く、「試験に失敗」では2割近く、「友達喪失」は1割強、さらに「学校のずる休み」は14%近くに及んでいる。高い依存傾向自覚がある人は、それだけ多様な方面で依存している状況にある・体験をしており、その一部がこれらの選択肢にも反映されているのだろう。

百歩譲って「暇さえあれば」「起きている間は」を容認できたとしても、「試験に失敗」をはじめとした実体のマイナス影響が少なからず生じていること、特に依存自覚を持つ人にその経験率が高いことは、十分に留意する必要がある。そして高校生の保護者はもちろん周辺の人達においては、今更「スマホを使うな」と利用禁止を断じるのは無理だとしても、適切な使い方について今まで以上に啓蒙・教育を果たす必要があることは言うまでもない。


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