全体85%、1年生なら87%超…高校生のスマホ利用率状況
2014/05/22 15:00
この数年で急速に普及率を高めているスマートフォン。小中学生の場合は防犯や保護者との連絡も兼ねるために専用の従来型携帯電話を持たせることも多いが、高校生にはインターネットへのアクセスの窓口として役割も期待され、圧倒的にスマートフォンを利用する人が多い。それでは実態として現在の高校生におけるスマートフォン利用率はどれほどなのか。情報通信政策研究所が2014年5月14日に発表した「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」の速報版の結果から、その現状を探ることにする(【発表リリース:「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」<速報>を追加しました】)。
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今調査は2014年1月7日から31日までの間、154校の都立の全日制・定時制の高等学校に対して、郵送法による無記名自記式質問紙調査方式で行われたもの。有効回答数は1万5191票。学年・性別区分はほぼ均等割り当て。
今調査ではタイトルの通り、高校生のスマートフォンの利用実態と、それを通じてのインターネットへの依存傾向の動向を調べている。当然、スマートフォンがどこまで普及しているのか、利用しているのかは重要な要素となる。次に示すのは、調査対象母集団におけるスマートフォン利用の是非について「利用している」と回答した割合。「していない」「無回答」は除いている。また、状況的には非常にまれな事例と考えられるが、「スマートフォンを利用しているが、インターネットは利用していない」という事例も含まれる。
↑ スマートフォン利用率(高校生、2014年1月)
全体では84.5%。20人のうち17人がスマホ利用者。1クラス30人とすればそのうち25人はスマートフォンを利用していることになる。男女別では5.7%ポイントの差で女性の方が高い。先行記事にある通り、スマートフォンの利用者の多くはソーシャルメディアを利用しており、ソーシャルメディアの利用率も女性の方が高いことから、「ソーシャルメディアを使いたい」とする強い需要が女性にあり、それが反映されたものと考えられる。
また学年別では低学年の方が利用率は高い。高学年の方が分別がつき、財力もあるはずで、その観点からのみで考えれば高学年の方が利用率は高いように見える。しかし実際にはその逆の結果が出ている。
考えられる理由は2つ。1つは高学年になるほど受験勉強に注力する必要があり、スマートフォンそのものの利用を止めている・止めさせられている人がいる可能性。そしてもう一つは「携帯電話」は持っているが「スマートフォン」ではない可能性。
以前【スマホは高一3/4、高三6割…高校生の携帯電話所有状況】でも挙げた別調査機関の調査結果でも、やはり高校生内では低学年ほどスマートフォンの利用率は高く、高学年ほど低いという結果が出ている。一方で従来型携帯電話の利用率は高学年ほど高く、携帯電話全体の保有率は学年でさほど変わらないという結果となっている。
↑ 携帯電話所有状況(Z会発表の調査結果より、再録)
今件調査結果は速報のため詳細値が確認できず、従来型携帯電話の利用状況は把握できないが、恐らくは同じパターンと考えられる。つまり携帯電話全体の利用率はどの学年でもほぼ同じだが、高学年ほど従来型携帯電話の利用率が高く、低学年ほど低いというものだ。
これには「スマートフォンの市場浸透が著しいスピードで進んでいる」と「高校生の携帯電話購入・買換えのタイミングは入学時がほとんど」の2つの事象が絡んでくる。つまり回答時の高校1年生は2013年春に携帯電話を購入・買換えした可能性が高く、その時にはほとんどの携帯電話の新商品はスマートフォンだったことから、必然的にスマートフォンを選ぶ人が多く、結果としてスマートフォン利用率は高いものとなる。ところが高校3年生が高校に入学して買換えの機会を得たのは2011年春で、2013年春と比べるとスマートフォンの市場展開度は低かったため、結果としてスマートフォンの利用率は低めになるという次第である。
↑ 携帯電話を使い始めた時期(専用・家族共用携帯電話保有回答者)(2011年の警察庁発表資料より、再録)
見方を変えれば、「高校では低学年ほどスマートフォンの利用率が高い」という状況は、あと数年で終わりを迎えることになる。普及過渡期における、一時的現象と見れば良いだろう。
恐らくは過渡期を終えたころには、高校生全体の普及率は、現在の1年生と同程度のものになる。つまり85%後半から90%近辺に落ち着く。この利用率はそのまま卒業後、大学生や社会人においても引き継がれることになるので、若年層のスマートフォン普及率は漸次他世代よりも速いスピードで上昇していくことになると考えられよう。
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