1.0%ポイント前年同期から改善…大学生の2025年2月1日時点での就職内定率は92.6%に
2025/03/25 02:43


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調査開始以降同時期で過去最高
公表された調査結果によると、2025年2月1日時点で大学生の卒業予定者による就職内定率は92.6%となり、前年同期の91.6%と比べて1.0%ポイントのプラスとなった。つまりそれだけ同じ時期における就職内定状況が改善したことになる。

↑ 大学など卒業予定者の就職内定率(2025年2月1日時点と2024年同時期)
今回発表された2月1日時点における就職率92.6%は調査開始以来同時期において過去最高の値を示している。ロシアによるウクライナへの侵略戦争で生じている世界的な物価高による景況感の後退が生じている中で、このようなよい値が出たことに、驚きを覚える人も多いだろう。

↑ 就職内定率(大学・全体)(各年2月1日時点)
就職内定率が改善した原因についてリリースでは一切言及されていないが、ロシアによるウクライナへの侵略戦争で生じている世界的な物価高で生じている景況感の後退を背景に、卒業予定者の焦りが就職活動を後押しした結果かもしれない。就職そのものをあきらめた人が増えて就職内定率が上がる可能性もあるが、公開値の限りでは就職希望率は前年同期で変わらず(76.6%)なので、その可能性は否定される。労働市場は景況感の先行き指数とも呼ばれるため、その観点でも喜ばしい話には違いあるまい。
高等専門学校は専門技術に特化し、企業側もその技術を頼りに求人を行うため、内定を出しやすく、囲い込みやすいのが、高就職(内定)率の主要因。企業側の「即戦力優遇主義」が多分に反映され、他の学校種類と比べて高い就職(内定)率が出る。今回もその実情が反映された結果が出ている。
国公立と私立大学、男女別で確認
今回発表された就職(内定)率のうち大学(国公立・私立の合計、個別)にスポットライトを当て、男女別にその動向を確認したのが次のグラフ。

↑ 国公立・私立大の男女別就職内定率(2025年2月1日時点と2024年同時期)
今グラフで対象とした区分において前年同時期比では、男女ともに国公立大でマイナスが出ている。マイナス幅は女性の方が大きい。現時点では男性の方が労働市場では恵まれているのかもしれない(ただし私立大のプラス幅は女子の方が大きく、結果として大学全体の前年同期比は男女ともに変わらずとなっている)。
中期的な就職(内定)率推移から就職戦線の動きを推し量る
厚生労働省が定期的に発表している今件就職(内定)率において、過去のデータを逐次抽出し、(金融危機ぼっ発直前からの動向を推し量るため)その動向をグラフ化したのが次の図。リーマンショック後は下げ続け、2011年3月卒分を底とし、それ以降は少しずつ回復基調にあったことが容易に把握できる。それゆえに、2015年における解禁日の大幅後ろ倒しに伴い就活学生側に混乱が生じ、内定率の改善状況が一時的に足踏み状態となってしまったのは残念でならない。

↑ 就職(内定)率(大学・全体)(2025年2月1日まで)
今回対象となった10月1日時点の結果は2011年3月卒を底として、ほぼ順調に上昇しつつあった。しかし2019年3月卒で頭打ち的な状態となり、2021年3月卒では新型コロナウイルス流行の影響を受け、大きな落ち込みを見せてしまう。新型コロナウイルスの流行が大学生の就職活動にどこまで悪影響を与えているのか、よく分かる動きとなっている。今回の2025年3月卒では2月1日時点の値は前年よりいくぶん上乗せし、4年連続の前年同期比プラスになった。
大学生などの就職(内定)率は、その時の経済状態や企業の景気判断、とりわけその時点の景況感ではなく、今後の見通し的なものと深い関係にある。現在景気がよくても、今後の見通しに不安があれば、わざわざ人材を増やしてリスクを底上げする酔狂さを持つ企業はさほど多くない。逆に企業の先行きが明るければ、それを見越して事業拡大を図るため、人材の追加確保に勤しむことになる。
つまり学生諸子の就職率を底上げし、安定化させるには、(非常に大雑把な話ではあるが)景気回復こそが一番の対策となる。それとともに安易な、大人側の一方的な思惑で人生設計を揺るがすような変更をスナック感覚で行うことなく、十分な思慮の上での決定が求められよう。
↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである
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