携帯電話は実店舗での買い物機会を減らす? 増やす? アメリカの場合
2014/05/05 13:55


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今調査は2014年3月21日から23日にかけて、RDD方式にて選択されたアメリカ国内に住む18歳以上の人を対象に、電話インタビュー方式で行われたもので、有効回答数は1505人。対象となる電話の携帯電話・固定電話率はほぼ1対1。国勢調査に基づいたウェイトバックが実施されている。
世間一般的な見聞きした結果ではなく、回答者自身の経験・感想として、実店舗の小売店での買い物について、携帯電話(従来型・スマートフォン双方)はどのような影響を与えているかを尋ねた結果が次のグラフ。好影響は「かえって実店舗での購入機会が増えた」、悪影響は「ネット通販利用機会が増えて、実店舗での購入機会は減った」、そして影響なしは「携帯電話を使っても実店舗での購入機会は変わらない」とするものだ。

↑ 自分自身における実店舗小売店での買い物について携帯電話はどのような影響を与えているか(米、2014年3月)
影響なしとする人が59%とほぼ6割に達する一方、好影響・悪影響がほぼ2割ずつ。懸念されている「携帯電話で実店舗の来店が減る」との実感想を持つ人は、「逆に増えたよ」の人とさほど変わらない……というよりむしろ全体的には来店機会が促進されている感がある。
これを世代別に見たのが次のグラフ。携帯電話の利用の有無は考慮されていないので、当然携帯電話の所有状況そのものが大きく影響することになる。

↑ 自分自身における実店舗小売店での買い物について携帯電話はどのような影響を与えているか(米、2014年3月)(世代別)
意外なことにむしろ高齢層の方が、全体的には「携帯電話で実店舗購入機会減少」と判断できる結果が出ている。30歳未満に限れば3割近くが「かえって増えた」とするのに対し、「減った」との意見はその半分に留まっている。
レポートではこのような動きについて、オンライン上で掲示板やウェブサイト、ソーシャルメディアなどの情報伝達手段を巧みに使いこなし、従来型媒体の広告(例えばチラシやラジオ、テレビなどの広告)よりも効果的なマーケティングを行ったことで、携帯電話利用者の来店機会を底上げしたと分析している。
一方で「若年層はネット通販の決済手段としてよく使われるクレジットカードを持っていない場合が多い。だからインターネット上で各種情報を取得できても、それをネット通販につなげることができず、実店舗で購入する結果となる」という分析もしている。これはこれで説得力のある見方といえる。
また年収別で仕切り直した場合、高年収の方が悪影響が大きいとの結果も出ている。

↑ 自分自身における実店舗小売店での買い物について携帯電話はどのような影響を与えているか(米、2014年3月)(世帯年収別)
この傾向についてレポート側では断定こそしていないものの、「高年収ほどスマートフォンやタブレット機を保有する比率が高い」とし、ネット通販にアクセスしやすい環境を有しているからこそ、実店舗からネット通販へのシフトが起きやすい、結果として実店舗来店に関しては悪影響が生じやすいことをほのめかしている。また直上で触れているが、クレジットカードを所有しているか否かも年収との連動性が高いことが予想されるので、その影響も多分にあるのだろう。
ちなみに同レポートから関連記事としてリンクが張られている、類似調査結果によれば、実店舗での購入機会はまだまだ多数派なポジションにある。

↑ 一番最後に食料雑貨店以外で50ドル以上の買物をしたのはどのタイプの店・ルートか(米、2013年)
調査そのものが昨年のものなので、状況が幾分変化している可能性はあるが、実店舗での購入が今なお主力で、魅力的な購入機会であることに変わりはあるまい。
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