単身25.3%、二人以上44.7%…タブレット型端末の普及率現状(最新)
2024/10/10 02:34
ここ数年の間にスマートフォンとともに急速に普及が進み話題に上るようになったモバイル端末に、タブレット型端末が挙げられる。クリップボードほどのサイズの液晶がメインのデジタルデバイスで、それなりに高い機動性を持ち、ノートパソコンに匹敵するパソコン的な使い方が可能で、スマートフォンのようなタッチパネル方式での操作が行える。いわばパソコンとスマートフォンの中間的な立ち位置にある端末だが、最近ではノートパソコン的に使えるものも登場し、その柔軟性の高さから、パソコンの代替機として選択する人も多い。今回は内閣府が定期的に公開している調査結果【消費動向調査】を基に、そのタブレット型端末の普及状況について確認していくことにする。
スポンサードリンク
単身と二人以上世帯それぞれ、そして男女別のタブレット型端末普及率
「消費動向調査」そのものの解説や「世帯」の区分、「普及率」の定義についてはまとめ記事【定期更新記事:主要耐久消費財・普及率(内閣府・消費動向調査)】で説明済み。
まずは全般的な世帯普及率。単身世帯は25.3%、二人以上世帯は44.7%。単身世帯ではおおよそ4世帯に1世帯、二人以上世帯では5世帯に2世帯以上がタブレット型端末を保有していることになる。
↑ タブレット型端末普及率(世帯主男女別)(2024年)
いずれの世帯種類でも男性の方が普及率は高め。普及が進んでいるとはいえ、まだ汎用的なレベルには届いていないため、デジタル系アイテムに強い関心を持ちやすい男性の方が、より強い所有願望を抱いているのだろう。また必要性の観点でも女性は男性ほど有用性を見いだしていないのかもしれない(より機動性の高いスマートフォンを好むとの観点もあるだろう)。
続いて「保有世帯あたりの」平均保有台数。元々の公開値は「保有の有無を問わず全世帯に対する保有台数」だが、その値を基に独自算出している。保有実態を把握するには、この値の方が理解しやすい。
↑ タブレット型端末保有世帯あたり平均保有台数(世帯主男女別、台)(2024年)
タブレット型端末はその機動性や利用通信環境上の問題(通信量の観点から無線LANによるアクセスが多い)もあり、複数を所有する必要性があまりない。二人以上世帯でも一人一人の所有ではなく、世帯全体の所有物として購入し、共用する事例が多い。結果として世帯種類による保有台数の差異があまり出ない形となっている。携帯電話のように、一世帯で2台も3台も保有する必要性はそれほどない。それでも二人以上世帯の方が台数が多めとなっているのは、プライベートな端末として世帯内の複数人がそれぞれ持っている場合があるからだろう。
タブレット型端末の男女別や年齢階層別の所有状況を確認する
続いて年齢階層別の保有率。男女別とクロスした区分と、詳細年齢階層別区分のデータが用意されているので、それぞれをグラフ化し、現状を確認する。
↑ タブレット型端末普及率(世帯主年齢階層別)(2024年)
↑ タブレット型端末普及率(世帯主男女別・年齢階層別)(2024年)
まず単純な年齢階層区分別。最多保有層は単身世帯が30代だが、29歳以下から30代まではさほど違いは無し。二人以上世帯は最多保有層は30代だが、29歳以下から50代で半数以上。新型デジタル機器への興味・好奇心の高さが若年層から中年層までの単身世帯の保有率を引き上げ、また二人以上世帯では子供との共有も考慮した上での調達事例が多いことから、50代までの保有率が高いものと考えられる(実際、子供、特に小中学生においてタブレット型端末の利用率は上昇のさなかにある)。具体的な値の抽出として世帯主の年齢が「単身世帯では50代までは3割台」「二人以上世帯では29歳以下から50代までが半数以上」とのタブレット型端末の保有状況は、覚えておいて損はない。
男女別の普及状況では全部の属性で、男性の方が高い値が出ている。女性はより機動性のあるスマートフォンを好むからだろうか。
世帯年収で大きく変わるタブレット型端末保有率
最後は世帯年収別に見た、タブレット型端末の保有率。なおグラフの表記上、一部の属性では「以上」を省略している。例えば「300-400万円未満」は「300万円以上400万円未満」を意味する。
↑ タブレット型端末普及率(世帯年収別)(2024年)
単身世帯・二人以上世帯ともに、低世帯年収ほど低普及率、高世帯年収ほど高普及率の傾向が見られる。ただし単身世帯では550-750万円未満をピークに、それ以上の世帯年収ではほぼ横ばいとなってしまう。950-1200万円未満でいくぶん跳ねているのはイレギュラーだろう(該当者数29人)。
今やタブレット型端末は安価なものも多数登場しているものの、外出して通信回線に直接つなぐ(WiFiを使わない)となればそれなりに通信コストは必要となる。また手持ちのパソコンやスマートフォンでインターネットへのアクセスは事が足りる人も多く、タブレット型端末は現状では「あれば便利だが、無くても特段困るものではない」との位置づけをしている人も多い。結果として、世帯年収による普及率の差が大きく出てしまうことになる。
タブレット型端末は屋内での利用機会が多く、また電子書籍との連動性が注目されている。一方でノートパソコンの代替機として使う場合はともかく、必要性の高い使い方を見いだしにくい、タブレット型端末が無いと困る事例が無いのも事実。他方、子供の教材や遊び道具として、あるいは教材用のタブレット型端末も多数市場に出回り始めており、こちらは子供(を持つ世帯)への急速な浸透が確認されている。さらにはそこから転じ、通常のタブレット型端末を子供の玩具代わりに使わせるケースも多々見受けられる。
現在は試行錯誤の中で、タブレット型端末の有用性が模索されている時代ともいえる。電子書籍リーダーとの兼用も併せ、多方面の切り口で提案がなされつつ、少しずつ普及が進んでいくのだろう。それに伴い、タブレット型端末ならではの利用スタイルも考案されて、それにマッチしたアプリも展開されていくに違いない。
■関連記事:
【「パソコンで十分」タブレット機不要論者、その理由とは】
【米国タブレット普及率は42%にまで躍進】
【紙媒体読書率減少、タブレット機の普及が電子書籍を後押し…最新米読書事情】
【タブレット機所有理由は「持ち運びに便利」「手軽にネット」】
【ネット検索、ニュースや天気予報の確認…タブレット所有者の利用サービス】
スポンサードリンク