すべて良くなるとは限らない…実現したらマズイかなとアメリカで思われている科学技術たち

2014/05/01 11:30

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科学技術の進歩発展は概して生活の向上を目指してなされるものであり、それが体現化されれば人々の生活はより豊かになる、というのが大義名分。しかし実際には必ずしもその原則が当てはまらない事例も数多く存在する。また、万人にプラスとなるような技術も存在しない。今回はアメリカの大手調査機関【Pew Research Center】が2014年4月17日に発表した調査結果から、どちらかといえば否定的に考えられている「実現化されるかもしれない科学技術」についてチェックを入れることにする(【発表リリース:U.S. Views of Technology and the Future】)。



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今調査の調査要項は先行記事の【今後50年間で「物質転送技術が可能に」と思う米成人は4割】の通り。その記事で解説したが、調査対象母集団では約6割が、全般的に科学技術の進歩は人の生活をより一層良いものとしてくれると考えている。

↑ 技術革新は人々の生活を良くしてくれるか悪化させるか(米、2014年2月)(再録)
↑ 技術革新は人々の生活を良くしてくれるか悪化させるか(米、2014年2月)(再録)

しかしながら実現が夢見られている、開発途上の科学技術の中には、懸念の方を抱く人の方が多いものも多々存在する。次に示すのはその類の4技術だが、いずれも「実現したら世の中は悪くなる」と考える人の方が多い結果となっている。

↑ 技術革新によって実現したら世の中は良くなるか悪くなるか(米、2014年2月)
↑ 技術革新によって実現したら世の中は良くなるか悪くなるか(米、2014年2月)

4選択肢の中では一番否定的なのは「生まれてくる子供のDNA操作による技能操作」。具体的には身体能力や思考能力などにおいて、生まれる前に特異な技術を身につけさせようというもの。SFなどで見聞きする「超人化計画」的なものである。この技術が仮に実現化したら、世の中は悪い方向に進むのではないかとする意見が2/3に達しており、良くなると考える人は1/4に留まっている。

意外なのは医療介護分野における人間同様のロボットの介在に対する意見で、これもほぼ2/3が反対的姿勢。賛同派も3割に満たない。まだ埋め込み式デバイス化はなされていないが、近いうちに現実のものとなりそうな「周辺情報が常時展開される埋め込み式デバイスなど」は4割近くが肯定的だが、過半数は否定的な姿勢を示している。

また、社会全体の動向とは別に、個人的に使いたくないとする意見のある技術も多い。次に示すのはその類の3技術だが、いずれも半数以上の人が「もし実現化しても自分は使わない」としている。

↑ 技術革新によって実現したら個人的に利用するか(米、2014年2月)
↑ 技術革新によって実現したら個人的に利用するか(米、2014年2月)

自動車の自動操縦機能は賛否両論という状況だが、人造肉や脳内インプラントについては否定派が多数を占めている。自分の肉体に直接関わり合いのある技術に関しては、リスクが体現化した時の影響を考慮して、出来ればタッチしたくないとする考えが働くのだろう。



これらの技術のうちどれが実際に実現のものとなるかは、現時点では分からない。いくつかはすでに試験試用段階に進んでいるものもあり(商用・民生化できるかはまた別)、発想論としては存在するものの、それを開発する意味があるか否かも含めてまったくの未知数であるものも存在する。

いずれにせよ、これらの技術が仮に現実のものとなるとしたら、その効用やリスクなども合わせ、改めて多くの人の間で論議が交わされることになるのだろう。


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